マスコミは嫌いだが、勝手に自壊してくれるので何とも思わない

私はマスコミが嫌いである。

事件が起きれば、犯人と決まったわけでもない容疑者のプライベートをおもしろおかしく暴き立て、被害者の心情に配慮することなく実名を公表して騒ぎ立て、有名人のケツを追いかけまわし、結婚パーティに押し掛けて新郎新婦を取り囲み怪我を負わせ、それでも自分たちに正義と大義があると思っている、どうしようもない連中だと思っている。

けれど、私は特に「マスゴミ死ね!」と強く思っているわけではないのである。

なぜなら私が呪詛を念じるまでもなく、彼らは自滅自壊の一途を辿っているからだ。

新聞を有難がる年寄りは緩やかに死に絶えていき、若者はマスコミの狼藉に嫌気がさして新聞を忌避している。ネットよりも速報性とエンタメ性が劣り、かつ内容の精度さえも劣悪なテレビなど見ようとも思わない。

要するに客がどんどん少なくなっているわけで、そうすれば売上は落ちて利益は縮小し、赤字が出て給料も払えず従業員には離反され業界は瓦解する。

僕はその瞬間が見たくて見たくて堪らないのである。

「若者の新聞離れ! テレビ離れ!」と、業績不振を若者のせいにするなど、醜い抵抗を示す様は実に愉快だ。悪役の最期は無様である方がカタルシスは高まる。

もちろん、彼らには彼らなりの正義があるのかもしれないが、いかんせん戦争とは、異なる正義がぶつかり合うことで生まれるのだ。だからこの世から争いはなくならないのである。ああ、実に嘆かわしい。

崩壊の足音はすぐそこまで近づいてきている。新聞の押し紙問題では、新聞の発行部数の3割近くが資源の無駄遣いと化していた事実が明らかになった。

読まれもしない新聞に広告を出していたスポンサーは、いつまでお金を払い続けてくれるのかな?

紙ごみを押し付けられて金をむしり取られる販売店は、いつまで我慢してくれるのかな?

過重労働やサービス残業の悪を紙面で伝える新聞社が、自分のトコの記者におなじことをさせているのはどういう了見かな?

スポンサーが下りて収入が激減するのが先か、

販売店から裁判を起こされ賠償金支払いを命ぜられるのが先か、

新聞記者が過労死するのが先か、

新聞記者が待遇面の不満から離反するのが先か、

それとも何も起きず淡々と業績が落ちていくのか。

ゴジラが街を破壊する様子に興奮を覚えるのと同じように、僕は既存の硬直した古き悪しき巨大産業が崩壊する様子に興奮する特殊性癖の持ち主である。

できるだけ派手に倒れてくれ。そっちのほうがエキサイティングだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?