企業が社員を自由に解雇できればいろんな問題が解決すると思う

「解雇トラブル金銭で解決 厚労省、制度導入本格検討へ 「解雇助長」労働界強く反発」というニュースを読んだ。※1

労働界が反発と言うが、なぜ反発するのか私には理解できない。解雇を助長、というが、そもそも解雇されるような人間はそれなりのことをやらかしたのだろうから解雇されて当然だし、不当な解雇がまかり通るような会社はそもそも未来がないため、さっさと転職したほうが吉のように感じる。退職金が貰えないのと職歴に傷が付くのが難だが、前者に関してはそれこそ金銭で解決できるし、後者に関しても何とかなるレベルだろう。

そもそも私は、日本の「簡単に解雇できない」制度のせいで雇用が歪んでいると思う派である。アメリカのように、もっと気楽に解雇できるようにして、雇用を流動化させたほうが良いのにとさえ思う。(ここでいう解雇とは懲戒解雇のことではなく、普通に会社が「君は今月で退職ね」と言って辞めさせることを言う)

さんざんっぱら言われていることだが、自由に解雇できないせいで以下のような問題が発生している。

①長時間労働
好景気になれば仕事が増えて、人手が必要になるため人を増やさなければならない。反対に不景気になれば仕事が減って、人手は不要になるため人を減らさなければならない。だが、解雇ができないため「人を減らす」という行為が不可能になる。つまり好景気だからといって人を増やしてしまうと、景気後退時に人が余りまくり、人件費が収益を圧迫してしまう。このため、企業は好景気時に「人を増やす」のではなく「長時間働かせる」ことで人手不足を補うようになる。そのため長時間労働が発生する。

②正社員と契約社員の格差
上記の問題を解決するために、解雇できない正社員ではなく、契約を切ればいつでも辞めさせられる契約社員や派遣社員で人員を流動化させている。好景気時には派遣社員を増やし、不景気時には派遣社員を切る。これで正社員と同じだけ給料が支払われていれば問題ないが、実際は正社員よりも薄給である場合がほとんど。つまり、辞めさせられることなく給料も高い正社員と、辞めさせられる可能性があり給料の低い派遣社員との間で格差が生まれる。この格差に個人の能力が一切かかわっていない点がより問題である。

③管理職や窓際社員の増加
不要な人材を解雇できないため、明らかに能力が劣る社員を切ることが出来ない。また、年功序列を律儀に守ると、階級や給料を上げざるを得ない。結果的に、なんの能力もない名ばかり管理職や、なんの仕事も責任もない窓際社員が増大し、人件費を圧迫する。さらには「なんであいつは何もしてないのに俺より給料が高いんだ」と、チームの士気を下げたりする。

④雇用リスクの増大
上記のように、うっかりクソ人材を掴んでしまっても辞めさせることが出来ない。となれば正社員雇用はリスクが大きい行為となる。リスクが大きい行為を行う場合、なるべく安定行動を取ろうとする。例えば、高学歴の新卒だけ採用するといったように。「こいつは低学歴だけど、面白い奴だからちょっと雇ってみるか」といった冒険が出来ない。結果として面白みのないチームが出来上がり、イノベーションの可能性が狭まる。

これらの問題は、企業が社員を自由に辞めさせられるようになれば全て解決する。余った人材は切れば良いし、雇ってみて駄目なら切れば良い。

このことを「正社員という制度を無くして、全員が派遣社員になれば良い」と言う人もいるが、私は責任範囲と業務範囲さえキッチリと別れてさえいれば、正社員と派遣社員の差はあっていいと思う。正社員は大きな責任を背負い、難しい業務を担い、その分報酬が大きい。派遣・契約社員は簡単な業務だけ行う分、報酬は低いが責任を負わない。こういう住み分けが成されればいい。現状は、派遣・契約社員が難しい業務と重い責任という正社員並みの仕事をさせられながら給料だけは低いというのが問題なのだ。

とにかく、解雇はもっと簡単に出来るようになるべきだ。そうなった場合の弊害は「能力の足りない人が解雇され続ける」というものだが、それは失業保険や生活保護など行政がサポートすべき範囲だ。そもそも会社とは利益を追求するもので「能力が足りない人を養ってあげる組織」ではない。日本は昔から会社は家で社員は家族みたいな考えで仕事をしてきたっぽいが、そんなんで世界相手に勝負ができるわけがない。

「自由に解雇が出来るようになったら解雇される!」と声高に叫ぶ人たちは、解雇されないことをいいことにサボりまくっていたぐーたら連中だろう。「教師が俺らを殴ったら体罰で訴えてやるぞ!」と言いながら狼藉を働く中学生と同レベルである。そうした横暴をこれ以上許さないためにも、解雇は自由に行われるべきだ。


※1 https://news.yahoo.co.jp/pickup/6241454


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