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日常に役立つLife Style Design 革編 No.02

2021/8/8(Sun)
前回に引き続き「日常に役立つLife Style Design」 をお届けします。
このシリーズでは、エクササイズ的な内容としてファッションアイテムに
使われる素材(Fabric 、Material)を例に挙げ、お届けいたします。

本日は、前回の革編 No.1の中でお伝えした製品に使われる素材について
問いかけた内容を、下から順番に拾い上げながらお伝えしてみたいと
思います。前回の文面の中で挙げさせて頂いた内容覚えていますか?

本革製品や、他の流通製品の原材料についての問いです。

問い
・本革は動物愛護の観点で、問題視されている事はご存知でしょうか?
・人工皮革を使用する方が環境に良いと言われているのは何故でしょう?
・現在流通している、多様な製品の原材料は、どんな物でありますか?
・その原材料はどれぐらいの量が使われ、天然素材、合成繊維、
 (人工皮革等も含む)は、どれぐらいの割合で使われていますか?

・本革=動物の皮を何故?人は使うようになったのでしょう?

という問いかけがあったと思います。その中から、今日は日常の中に
存在する、多様な製品に使われる原材料と、その割合についての問いかけ
                  ↓
その原材料はどれぐらいの量が使われ、天然素材、合成繊維、
(人工皮革等も含む)は、どれぐらいの割合で使われていますか?

合成繊維03

について、一緒に考えた頂けたら幸いです。

その前に、天然繊維と、合成繊維にも種類がある事はご存知でしょうか?
天然繊維については、ご存知の方が多いと思いますが、厳密に分けると
下記の通りになります。

日常に役立つLife Style Design 革編02_繊維種類

上記表を簡単に説明すると

天然繊維
Ⅰ:草花、樹木、種子、動物、昆虫、など自然界の素材=天然繊維
Ⅱ:天然原料に含まれる高分子ポリマーの形状を可変・改質させる=
  再生繊維・半合成繊維

化学繊維
Ⅲ:天然原料に含まれる高分子ポリマーを合成させ人工的につくる=
  合成繊維
Ⅳ:ガラス、炭素、金属質から繊維の形状に人工的につくる=無機繊維

となります。本来、化学繊維は、天然繊維の中にある高分子ポリマーを
少しづつ可変→改質→合成→人工繊維へと変化させながら発達してきたのが
化学繊維であり、その中の一部に合成繊維があります。では、どれぐらいの
割合で、天然繊維と、合成繊維(化学繊維)が、国内外で生産されているのでしょうか?

繊維種類画像02

こうしてみると、天然繊維の割合の中では動物性は少なく、合成(化学)
繊維はアジアに多い事が判ります。ではなぜ?生産量のすくない資源=
動物繊維の需要にたいして動物愛護の観点が注目され、本革の生産を控え、人工レザー(ビーガンレザー)の需要が伸びているのでしょうか?
ヒントとして、まず、記事を読んでいただけると、理解も深まるかも?
しれません。

加工前である皮=原皮は値下がりしていても、老舗タンナー(鞣し職人)の
減少と、囲い込みに至った多様な背景には、世界の食文化の発展も影響して
いるように感じます。というのも、先進国になるほど原皮=動物=資源を
贅沢に食す機会が増えてきます。そうした中で、原皮だけが大量に調達
出来ても、環境問題に対応した鞣し加工や植物タンニンによる染色を行える
職人が減少していては、工賃が上がるのも仕方ありません

実際に、原皮を使って老舗タンナーを育ててきた先進国は、高級レザーを取り扱う国であり、逆に途上国では、爬虫類系の革が有名です。そして、途上国ほど染色技術が未熟であり、高価で環境への負荷が少ない植物タンニンを使った染色を行う事が少ない事からも、水質汚染の問題が起こっています。又、アジア圏の牛肉消費量が増えている中で、アジア圏の途上国では、
そうした原皮の染色などによる水質汚染に対応したインフラ整備も遅れ、
安価で自然環境に負荷が多い染色も多用し、公害問題が起こっていました。

そうした途上国の現状の中、先進国でも革製品だけでなく繊維についても、染料の薬品や使用する水を出来るだけ減らし、環境に配慮しているのは、
日本とドイツでもありますが、合成繊維の生産量と、日本が最も得意と
するセルロース系、耐久性の高い高級人工レザーの技術なども使いながら、天然素材と合成繊維のバランスを取れる国は、まだまだ少ないようです。


また、欧州では老舗タンナーの囲い込みと記載される記事もありますが、
現場の見解は少し異なります。途上国と異なり、国内外問わず先進国の本物の老舗タンナーがいる場所は、環境に配慮しながら、人の食材となっている牛を食した後の皮=残皮消費とバランスを取りながら生産しています。

そうした場所にいる職人を守るため、整備に取り掛かっているのが欧州の
傾向です。そうした活動を通じて途上国へのコンプライアンス問題を解し、自国の職人を守る事、途上国への環境、労働問題にも対応して行く必要が
あった事から、伝統的技法や資源の囲い込みが起こっているようです。

本革05

日本は前述した通り、天然繊維も、合成繊維も生産力自体が、世界的に
みても先進国の中でも低いため、老舗店舗を囲い込むほどの企業もなく、
逆に欧州ブランドとの技術提携が進んでいる状況です。
そうした世界的
傾向を踏まえながら、生産性を補うために活用されているのが最新技術の
染色技術や、バイオ繊維、高品質で耐久性の高い合成繊維です。かつては、
世界の合成繊維のトップであった知見を活かし、天然繊維により近い、
再生繊維や半合成繊維、合成繊維でも強度が高く、長期間の使用にも
耐える再生繊維、リサイクル繊維を使った人工レザー、染色時に使う水を
最小限におさえた染色技術、製品で、海外との違いを伝えています。

合成繊維03

ただ、下記の記事を読まれて、皆さまはどう考えますか?

現在の日本の職人の方も高齢化し、作業環境下は途上国ほどではなくとも、労働時間は小さな事業者ほど、改善されている事は少なく、似たような
現象も起こっています。私達が、贅沢に着こなす、使う製品の定価が高い
から悪い、安価な製品だから悪い、そうした問題ではなく、今一度、本来のあるべき、自然循環、労働環境のバランスについて考えてみてみませんか?

素材(Material)と、双子の関係のようにリンクする色彩については、
「Coffee Breakにお勧めのColorレシピ」Blog動画で、配信しています。
一緒に、お読みいただくと、日本の技術と文化もについても振返りながら
本物のお洒落(洒落っ気の利いた)マイスターになれるかも?しれません。
ほっと一息のCoffee BreakTimeに、ご覧いただけたら、嬉しいです。
(現在、整備するため準備中の内容となっています。ご了承下さい)
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