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2020年振り返り②~誰もいないフィールドに立つ~

2020年振り返り&2021年連載の第2弾です。
第2弾では高校魅力化PJの一大事業「地域みらい留学」での生徒募集について振り返ります。

「地域みらい留学」をもし聞いたことない方は下記をご覧ください。
https://suumo.jp/journal/2020/03/12/171014/

要するに都市部の中学生がその場所にしかない学びを求めて田舎に3年間住みながら学びを深めていく制度です。

今年阿賀黎明高校は「地域みらい留学による入学希望者10名」という目標を掲げて動きました。ちなみに阿賀黎明高校の前年度までの実績は「0名」(笑)

実績がないため、他の高校がよくやっている先輩が語る!とかができない。
実績がないため、モデルケースはができない。なんなら、
寮はできていないため、実際の施設を見せられない。

結果、入学希望者は11名。なんとか目標を達成しました。自分で言うのはなんですが、初年度にしてはかなりうまくいったと思っています。いわゆる成功があったのですが、この成功には理由があります。ぜひ僕の振り返りから皆さんに活きるものがあれば幸いです。

阿賀黎明高校魅力化PJのHPはこちら
https://reimei-gakusya.localinfo.jp/

ちなみにこのnoteで語るのはその町にしかない魅力的なコンテンツを創れた場合のみです。コンテンツを創ったうえでどう生徒に伝えていくかを考える方法なのでそこを踏まえたうえで読んでいただければと思います。

具体的な視点は3つあります。
①大乱闘を避ける
②親密度を上げる
③水のごとく戦い方を変える

①大乱闘を避ける。

地域みらい留学は合計70校近くの高校が自分たちの高校をPRします。
そもそも競合したときに自分たちの学校がどのポジションにいて優位な点はどこなのか?が捉えられていることが大事です。

そして今年は感染拡大の影響を受けて、オンライン説明会になったことでこの考え方が如実に表れます。

まず地域みらい留学のオンライン説明会の内容を簡単にお話しします。
オンライン説明会では「カリキュラム」や「島」や「部活」といったいくつかのカテゴリーが用意されており参画校はそのうち2つを選びます。
そしてそのカテゴリー別に4校ずつぐらいの学校がグループとしてzoomの部屋を与えられ、中学生は自分の聴きたい部屋に自由に出入りできます。また、学校側は好きな時間にいくつでも個別学校説明会を設定でき、地域みらい留学の公式HPで開催URL などが公開されています。

ここから1つめの「大乱闘を避ける」です。

オンラインでの学校説明会を見たときにほぼすべての学校はカリキュラムで推していました。学校にとってカリキュラムが非常に重要なのはわかります。もちろん僕らもそこに手を抜いているつもりは全くないです。ただ、僕らみたいな新参校が何年も事業を行っていて知名度のある学校に正面突破しても勝てるわけがない。という事で撤退しました。

ちなみに僕らが選んだカテゴリーは「学外学習サポート」・「寮」の2つ。これらであれば、「地域と深くかかわる塾」・「毎日温泉に入れる寮(改築予定)」という僕らの強みが生きると判断しました。カリキュラムは同じテーマで7~8個の部屋があり差別化しにくく、視聴者数も有名学校に少し偏るぐらいで分散していたのが、我々のところはそもそも数が少ないので集中していました。特に「寮」に関しては、30人いれば多いとされる視聴者数で80名以上を動員した時もありました。

競争の激しいところからは徹底して逃げました。そのうえで競争数が少なくかつ自分たちが勝ちやすいところを選びそこに資源を投入していく方法が当たったかなと思います。

ちなみにオンラインになったことで参加者の情報入手先がパンフレットやHPに偏り、そこを整備したら実績がなくてもとりあえず見てみようかなぐ来の気持ちで見てもらえるようになりました。それも実績はないけど中味しっかりいいものをつくっている我々にとってはコロナ禍がチャンスになりました。

②親密度を上げる

親密度=第一印象×何回接触したか?で決まると考えています。

プレゼン時間は5分。質問時間は4校で20分。つまりわずか10分ちょっとで中学生の心をつかみ、個別説明会及び現地見学会へと導く必要があります

「中学生がイメージしやすい世界でインパクトを残しにいくこと」です。たった5分間のプレゼンで覚えてもらうためには思い出しやすいこととインパクトに残ることがとても大事です。これが第一印象です。


その当時コロナウイルスの影響であるゲームがブームを巻き起こしていました。そう「あつまれどうぶつの森」です。阿賀町での暮らし=あつ森という方程式をプレゼンの中でひたすら語りました。
・寮が改築され1期生として入っていく皆が創っていく高校生活
・自然の中で魚を釣り、木の実を採集する生活
・隣人や近くの人と時には遠くの人と交流する生活
まさにリアルなあつ森をしていくようなものだという内容のプレゼンをしていきました。ここで伝えたいのはどれだけ自分たちが推したいことを相手にイメージしてもらうか。そのためには相手が既知のものと置き換えられるかという1点がとてつもなく重要。

また個別説明会も想像しぬきました。他校のイベント内容はずっと同じタイトルの学校説明会が多い。顧客からすると目に留まらないし、学校説明会は1度聞いたら2度は来ない。なので我々は常に企画を変化し続けました。

時にはオフラインでの活動を生中継、時には地域の人と座談会、時には知り合いの大学生を呼んでキャリア講演してもらい、時には僕が「高校生活やりたいこと」のワークショップを行い、時には女子中学生限定のイベントを行う。

オンライン中心になったことで現地の活動や大人を繋ぐことがやりやすくなりました。それもコロナ禍をチャンスに変えられました。

こうやってリピート回数を増やすことで入学希望者は増えたと思います。
11名の内半分以上はこれらのオンライン説明会に複数回参加した生徒です。むしろ複数回参加した生徒はほぼ全員入学希望していただきました。

プレゼンの工夫と個別説明会の工夫により親密度を上げていきました。

学校説明会といいながらこんなイベントやってました笑

③水のごとく戦い方を変える。

水は器の形によって様々に形状を変えます。水をたらしてみてもその形は一定のモノではなく、そのときどきで異なる形を見せます。
我々も水のごとく対応するべきだと思います。

地域みらい留学のカテゴリーの中では、これまで述べた僕らのイベントは「学校説明会」としてやっていました。(これは単純に他のカテゴリーに入れようとしたら地域みらい留学に学校説明会以外にイベント入れないでくださいって怒られただけです(笑))

しかし説明会の中で、オンラインで座談会をしたりゲストを読んだりワークショップをしたり、明らかに他の学校とは同じ個別説明会という名前でも、違う戦いをしていました。

他の学校は「興味を持ってくれた生徒に自分の学校の良さをどう伝えるか」という戦いをしていて、
僕は「今生徒が必要としている情報や思考をどうしたら自分たちに届けられるか?」戦いをしていました。

ちなみにオンラインでこれだけリピートしてもらったら実際に学校見学に来たときはその生徒の趣味・思考・ニーズはだいたい押さえているので会話の内容やコンテンツもそれを踏まえて組み立てることができました。

アウトドアが好きな生徒がいればアウトドア用に、地域の人と関わりたい生徒には地域の人を混ぜるなど学校見学会もそれまでのコミュニケーションを踏まえて常にコンテンツ変更し続けました。

阿賀だけじゃないよ!うちもそんな風にやってるよという学校の方すみません(;^_^A

とはいえうまくいったことばかりではなく、生徒のニーズを読み間違えたり、生徒の情報共有がうまくいっておらずスタッフ間の連携がうまくいかなかったり、イベント打ったものの人が来ないというケースも多くありました。それでもトライアンドエラーを繰り返したというところで来年はもっと進化できそうな気がします。

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