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#17サスティナブル調査隊

今日は、教育の実施現場である「学校」を運営するにあたり、この運営コストと家庭の負担の面から見ていきたいと思います。

義務教育に必要なコスト

最初に日本においては、義務教育である小中学校に関して基本的に学費はかからないという事になっています。

全く出費は必要ないのかというと、給食費や修学旅行費、PTA運営費などの諸費用が徴収されているのが現状です。
無償であるのは、あくまで授業料と教科書代金いう事になっています。

文部科学:省義務教育の無償より

日本国憲法第26条第2項、教育基本法第5条第4項、学校教育法第6条に基づき、国公立学校における義務教育は無償(授業料不徴収)としています。

この無償で受ける事ができる義務教育ではありますが、学校運営にあたり多くのコストが必要となっています。

例えば、机、イス、黒板などの備品や教科書、電気や水道、校舎の維持管理費、職員の人件費などが費用が必要となります。

これらの費用について、公立学校の教育費は国、都道府県、市町村で負担します。

ちなみに小・中学校教育職の平均年収は約640万円です。
あくまでも平均なので単純計算はできませんが、教員の人数分この金額がかかると考えると、学校を運営するのに人件費だけでも相当のコストがかかっています。

参考として、小学校への国や自治体の負担額は、東京都教育委員会がサイトに掲載している「平成30年度(平成29会計年度)報告書」を確認すると、児童一人当たりの教育費が年間994,993円(平成29年)となっています。

この様に教育費を国や地方自治体が負担して無償化し、子どもたちが公平に学べる環境を用意しているのが現在の日本のシステムです。

家庭の負担額

今度は、実際に家庭が負担するコストを見ていきます。

ここでは文部科学省が発表した「平成30年度子供の学習費調査の結果」から抜粋してご紹介いたします。

この調査の結果によると小・中学校では授業料や教科書代以外に下記の金額が年間必要となっています。

公立小学校 32万1,281円
公立中学校 48万8,397円

無償であるはずの学校でいったいどの様な物にコストが発生しているのか公立小学校を例に確認してみましょう。

上記調査項目で支払う内訳としては、学校教育費6.3万円・学校給食費4.4万円・学校外活動費21.4万円です。

さらに細かく見ると下記の支出項目です。
・学校教育費(学校教育のために各家庭が支出した全経費)
・学校外活動費(自宅学習や学習塾・家庭教師、体験活動や習い事などの経費)

そして学校に支払う費用としての「学校教育費」の各費用内訳がこちらです。

図書・学用品・実習材料費等 19,673円
通学関係費18,032円
学校納付金等12,235円
修学旅行・遠足・見学費6,951円
教科外活動費2,041円
その他4,170円
合計6,3102円

より良い学習環境や体験を子どもたちに与えるために基本の授業料では賄えない物もたくさんある様です。

また世間では家庭環境などの問題から、給食費の支払い遅延や未納がニュースにも取り上げられたりしますが、大阪市では計画していた小・中学校の給食無償化を一年前倒し、4月から実施する方針を決めたという事です。

この様に子どもたちを親が子を育てるのは勿論のこと、さらに社会全体で守り・教育し次の社会を支えていく人材として育てているのですね。

海外の事情

今回見てきた様に教育には非常に多くのコストがかかります。

先進国の日本でさえ学費の支払いに窮する家庭も多い状況です。
それが、未だ発展途上の段階の国々では学校の運営が可能なのでしょうか。

学費はおろか食べる物にさえ困っている国もたくさんあります。
例えば東アジアとアフリカに飢えに苦しむ人たちが多いとされています。

そのアフリカの中でも飢餓が進んでいるとされる南スーダンを例に見ると、国の経済状況を表すGDPは南スーダンが 4,583USドル で、日本4,971,767ドルの1000分の1という大きな差があります。

南スーダンでは、人口の約1/4に相当する200-300万人もの人が食糧援助に依存していという事です。
そして過去の情報として、2015年の就学適齢児童の就学率は34.7%。初等教育の修了率は、10%未満というデータもあります。

そんな経済・教育状況の中で、日本と同様のシステムにより学校を無償で運営するというのは不可能に近いでしょう。

ですから、国民のために多くの支援・資金が必要な途上国においては、世界規模での支援が必要なのです。
そう考えると、日本の子どもたちを日本全体で支えていく様に、世界の子どもたちも世界の大人たちが支え次世代の人材へと育てる義務があるという事につながるのですね。

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