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#30サスティナブル調査隊

今日は、大気中へ二酸化炭素を排出させない取り組みを見ていきます。

炭素循環の仕組みを振り返る

では、地球上の炭素循環についておさらいしましょう。

炭素循環とは、人間による化石燃料の燃焼とそれによる二酸化炭素の大気への排出を含めた、地球上の炭素の排出、吸収のメカニズムの循環系をいう。

この炭素循環の中に前回ご紹介した光合成があります。

一般的な植物の光合成サイクルは、太陽エネルギーを使って光合成する植物の絶対数を減らさない限りは太陽が消滅するまで回り続けるサイクルです。

一時的に植物が減っても、それを補う量の植林をすれば 二酸化炭素の濃度は、また元に戻る可能性が高いです。

ただ地球上から減少し続ける森林の減少を抑制することはできても、増加させることは難しいと思われます。

視点を変えると、それよりも問題なのは化石資源(燃料)を使い続けていることが見えてきます。

このまま化石資源を利用し続けることは、二酸化炭素を多量に含む太古の大気を復元することになり、人類にとって大きなマイナス要素となるわけです。

二酸化炭素の固定化技術

今の社会において、石油や石炭を全く利用せずに生活する(エネルギーを得る)事は不可能です。

この化石燃料を利用し増え続ける二酸化炭素は、人類にとって大きな問題なのですが、大気中に戻さない技術が一つの解決方法として取り組みされています。

それが、「二酸化炭素の固定化技術」です。

これは、気体として大気中に放出された、あるいは放出される直前の二酸化炭素を集め、地中・水中などに封じ込める技術の総称です。

参考に日本の温室効果ガス排出量推移を見てみると、2014年ごろからは低下傾向にあります。
これには、温暖化の取り組みと合わせて、日本の経済成長も低迷している事もあり、エネルギー使用量が減少するという要因もあるかもしれません。

ここで更に二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出抑制するには、この「二酸化炭素の固定化技術」も有効と考えられています。

この技術の中にはいくつかの考え方があります。
その一つが「CCS」です。

CCSとは「Carbon capture and storage」の略で工場や発電所から排出される二酸化炭素を回収して地中に貯留する技術です。

その二酸化炭素(CO2)を回収する方法には更に下記の手法があります。

CO2の分離、回収方法
化学吸収
アルカリ性溶液との化学反応によって、CO2を分離します。
吸収されたCO2を取り出す際には多量の蒸気が必要です。
アルカリ性溶液として、アミンや炭酸カリ水溶液などが使われます。

物理吸収
高圧下でCO2を大量に溶解できる液体に接触させ、物理的に吸収させます。そのあと、加熱してCO2を回収します。

膜分離
多孔質の気体分離膜にガスを通し、孔径によるふるい効果や拡散速度の違いを利用してCO2を分離させます。

物理吸着
ガスを活性炭やゼオライトなどの吸着剤と接触させて、その微細孔にCO2を物理化学的に吸着させ、圧力差や温度差を利用して脱着させます。

深冷分離
ガスを圧縮冷却後、蒸留操作により相分離でCO2を分離します。

このような技術を利用して、二酸化炭素を分離し回収するわけです。

そうして回収されたCO2を貯留するCCSなのですが、海外のCCSの大半はCO2削減のためではなく、原油増産が目的で利用されています。

油田は操業が進むと地下の圧力が低下することなどから、原油埋蔵量があっても生産量は減少してしまいます。

そこで液体やガスを送り込み、原油増産を図るEORという技術がが生まれました。
前述の通り、海外で実施されているCCSの大半は、CO2を使ったEORです。
このようにCCSで回収されたCO2を有効活用したうえで貯蔵するという取り組み全般をCCUSと読んでいます。

しかしCCSの課題として、この技術を運用するコストが高くCCS単体では利益を得られな現状があります。

現在、火力発電所の環境対策などで行われているCO2の分離には、液体のアミンや固体のゼオライトにCO2を吸収・吸着させる方法が主として用いられています。

しかしこれらの方法はエネルギー消費量が多く、また設備の導入コストが高いという問題があります。

原油価格の下落もあり、CCSを活用したEORであってもコスト回収が困難になっています。

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日本でもCCSの有効活用(CCUS)の実用化を目指していますが、技術の改善によるコスト低下と共にCO2の削減という環境問題へ貢献するという事に企業として意義を感じ取り組みを継続できるかが課題です。




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