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カンヌライオンズ2021速報② ダイレクト、PR、メディア部門等グランプリ発表

Cannes Lions 2021、2日目。ダイレクト、PR、メディア、ソーシャル&インフルエンサー、クリエイティブ・データ、クリエイティブ・ストラテジーの各部門でグランプリが発表になっています。

ダイレクト部門のグランプリは、バーガーキングの"Stevenage Challenge"が受賞。Stevenageは、イングランド4部リーグの最下位に甘んじるほとんど知られていないサッカーチーム。サッカーゲームFIFA20にこのチームが登録されていることに目をつけたバーガーキングはゼッケンスポンサーに。ゲーム内では、メッシやネイマールなど名だたる選手を使ってチームを組めるモード(Career Mode)があり、ゲーマーたちがStevenageでプレイしてゴールを決めたシーンをSNSでシェアする度にワッパーを無料でプレゼントすると告知。25,000以上のゴールがシェアされ、Stevenageは一番プレイされたチームになった。

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この部門の日本からの受賞はありませんでした。

PR部門のグランプリ、2020年はアンハイザー・ブッシュのビールブランドMichelob Ultraの"Contract for Change"が受賞。食品のオーガニック化が進む中、ビール原料である大麦のオーガニック率は1%以下。生産農家たちにとって、畑の有機化には少なくとも3年かかり、先行投資ができないことがネックになっている。そこで、オーガニックビールの代表ブランドであるMichelob Ultra Pure Goldは、全米の大麦生産農家に3年間の買取契約を結ぶと呼びかけ、10万エーカー(400平方キロ)の畑がオーガニックに移行、潤沢な原料供給により2023年には25%の売上増が見込まれるそう。

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2021年は、レバノンの乳がん協会の"The Bread Exam"が受賞。レバノンでは、女性が体のことについて語るのはタブーとされてきたため、乳がん予防の教育が遅れている。そこで、日常生活で行われるパン作りと紐付け、有名パン職人にパン作りに模した乳がんチェックをレシピ風レクチャー動画として作成。賛同したスーパーマーケットチェーンが販売する小麦粉のパッケージやパンの包み紙にレシピをプリントするなど拡がりを見せ、パン作り時に乳がんチェックを思い出させるようにした。

日本からは、パンテーン "#HairWeGo" (PARTY)がシルバーとブロンズを受賞しました。

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メディア部門のグランプリは、2020年はパキスタンの通信会社telenorの"Naming the invisible by digital birth registration"が受賞。パキスタンには、1600万人の出生届の出されていない子供たちがいて、公的な医療や教育が受けられずにいる。そのほとんどが、辺鄙な村に住む子供たちで、親が遠く離れた役場へ届けを出すことが不便なことが主な原因。そこで、telenorは携帯電話から出生届が出せるシステムを開発、政府にも公式なものとして認めてもらい、結果、426の村から120万人もの出生登録があった。

2021年は、シカゴ市の"Boards of Change"が受賞。警官によるジョージ・フロイド暴行死事件に端を発し、ヒートアップしたBlack Lives Matter運動。黒人市民たちの選挙登録と投票率の低さに悩むシカゴ市は、社会を変えるのに有効なのは投票である、と街頭にベニア板でできた特設投票ブース型インスタレーション(デザインは、黒人ストリートアーティスト達に依頼)を設置、ブースにプリントされたQRコードを読み込むと、投票権の登録や次の選挙の情報などが届く仕組み。史上最高の登録者数とその後の選挙の投票率アップを実現した。

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日本からは、IBM "Second Life"(Geometry Ogilvy Japan)がブロンズを受賞。SKⅡ "#CHANGEDESTINY:Ganbare 'Buck Up' Japan"(GREY Tokyo)がショートリストに残りました。

ソーシャル&インフルエンサー部門のグランプリは、2020年はバーガーキングの"Stevenage Challenge"がダイレクト部門に続き、二冠目。

2021年は、米国のSNSプラットフォームredditの"Superb Owl"が受賞。世界一高額と言われるスーパーボウルでのコマーシャル放映料、知名度を上げたいソーシャルサイトのreddit(日本で言う2chのようなもの)は潤沢な予算がなく、5秒間だけスポットを購入し、CMタイムをハックしたような映像を流した。この大胆な試みが話題を呼び、スーパーボウルCMの中で一番検索されたCMとなり、6億5千万のインプレッションを獲得。Super BowlをもじったSuperb Owl(一流のフクロウ)というスレッドへのアクセスは、1000%アップした。


日本からは、資生堂 "Camellia" the brand film we didn't shoot (電通)がショートリストに残りました。

クリエイティブデータ部門のグランプリは、ワーナーミュージックグループの"Saylists"が受賞。子供たちの言語障害の治療(Speech Therapy)に用いられる復唱用の教材は、とても退屈なもので長続きしないものだった。そこで、ワーナーミュージックはApple Musicと協力し、そのアーカイブにある7000万曲のポピュラー音楽からアルゴリズムによって復唱教材を自動制作できるツールを開発、子供たちが飽きずにできる教材へと進化させた。


日本からは、IBM "Second Life"(Geometry Ogilvy Japan)がショートリストに残りました。

クリエイティブストラテジー部門のグランプリは、スナックブランド・チートスの"Can't Touch This"が受賞。チートス史上最高に手が汚れるチートス・ポップコーンの新発売プロモーション。チートスを食べるとき、パウダーで手が汚れる現象はCheetos Dustと呼ばれ、やっかいなものだったが、これをCheetle®と名付け(接尾辞の-leは小さなという意味を加えることから、ちっちゃいチートスみたいなことかと?)、楽しむべき現象に。SNSでCheetleタトゥーを入れるファンが現れたり、スーパーボウルで放送されたCMには懐かしのMCハマーとヒット曲"Can't Touch This"をフューチャー、欠点を面白がることで話題をさらった。

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