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小説

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僕の書いた小説たちです。
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記事一覧

鼓動のために|小説

君はもういない 君はもういない 夜風が肌をなぞった君はもういない君はもういない夜祭に行き…

紀まどい
3か月前
13

過去を喰らう(Defeated you)Give me|二次創作小説【#BirthdaySHELF】

 花火が背後で鳴り響き、私の影を校庭に落とす。  影は掘っている。  穴を掘っている。  …

紀まどい
3か月前
6

走れオレ|小説/作:紀まどい

 オレは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の〆切を除かねばならぬと決意した。オレには政治が割と…

地球の子 / 紀政諮

 この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌…

紀政諮「嫉妬なんかと一緒にするな」後編

 男がいつも通り顔をふきながら洗面台から出てくるのを、彼女は、リビングのソファからながめ…

紀政諮「嫉妬なんかと一緒にするな」中編

 十二月三〇日。温。部屋を出たくない。 「は〜またなんかDM来てるよ……もう縮小垢に篭ろう…

紀政諮「嫉妬なんかと一緒にするな」前編

 差別とか、いじめとか、ストーカーとか、そういうのをやたらと歌うアーティストがいた。新人オーディションの時、審査員はこう批評したらしい。「わざわざそんな特殊なテーマを選ぶ意味はあるのか。過剰な一般化じゃないか。軽んじていないか」  アーティストがメジャーデビューを果たした日、そのエピソードを知って、リスナーのある男は思った。 「実際にありふれているから、仕方がないじゃないか」と。  差別とか、いじめとか、ストーカーとか、そういうありふれた地獄は、己を振り返り、友人を作り、恋人

紀政諮「ハロウィン相談所」後編

 狼男の少年の歌に、王女は聞き覚えがありました。 「レ・ミゼラブル」 「この街に来て、初め…

紀政諮「ハロウィン相談所」中編

 狼男の少年は、ポットを持って立ったままです。 「王女さま……いや、魔女さん、警官隊は明…

紀政諮「ハロウィン相談所」前編

 山のように積まれたお菓子。それに埋もれて幸せそうな息子。その笑顔を前にして、 「このお…

反まにまに主義

 台風が過ぎ、ようやく警報が明けたので、私はその村に向かった。山上ジャンクションから村を…

紀まどい
2年前
5

小説「あかつき」4/4

——辞世の句 「笑い話だ。結局その手紙を置いてく勇気も出なかったし、僕はいま生きてるし」…

紀まどい
2年前
6

小説「あかつき」3/4

——カブト  二人は一晩そこで寝て、次の日は遅く起きた。といっても、少年Aは早く起きてい…

紀まどい
2年前
5

小説「あかつき」2/4

——二人の逃げ  関ヶ原SAで二人はタクシーを降りた。雑談しながらフードコートに入り、「何を食おうか」とか「ちょっとくらい贅沢してもいいよね」とかと話していると、少女Aのスマホが揺れた。「ちょっとゴメン」と言い、事を急くように画面を起こす。一件のメールが届いていた。——母や祖父からではなく、父から。 ——母さんたちに、反省する気は全くないみたいだ。もうすぐ「条件をのんだフリ」のメールが届くだろうが、信じるな。警察が絡みはじめたから、その携帯のGPSが手がかりになってしまう