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木桶のつくり方

木桶といっても、小さなものから大きなものまでありますが、今回ご紹介するのは醤油を仕込むような大型のもの。高さが2メートル以上あって、3,000リットルくらいの容量です。

これだけ大きな木桶が、接着剤や鉄釘を使わずにつくられて、液体が漏れないのってすごいと思いませんか?!

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① 木取りと棚

木桶の木材は杉です。その最初の工程は木を削ること。住宅建材用の切り方とは違い、木の赤身と白身の境界線が1枚の板に入るようにします。そのため、原木のサイズに応じて板材の幅が異なります。

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下の図のように甲付(コウヅキ)という切り方をしたいので、一本の丸太から4枚ほどしか取れないのです。

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さらに角度をつけて削っていきます。

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組上げた時に円形になります。

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曲面を削るために、カンナも特別仕様です。

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② 落書き

桶の寿命は100年~150年。寿命を終えた時、竹箍を切ると側板が外れてバラバラになります。すろと、板と板の接地面に落書きがあることがあって、当時の職人の名前、米や醤油の価格、当時の世相などが綴られています。

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新桶づくりの際も、参加者全員で落書きを。100年後に向けたタイムカプセルです。

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③ 箍を編む

桶の周りに巻かれている輪を「箍(たが)」といいます。素材は竹なので、竹を切って、割って、削っていきます。

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寸法通りに箍を編むには技術と経験が必要。最初はなかなか思い通りにいきません。途中でパキッと折れてしまうと最初からやり直しです…。

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箍、それぞれに呼び名があります。そして、もちろん円周も異なります。

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④ 底板

「底板」はその名の通り、桶の底に取り付ける板です。厚みのある木材を竹釘でつなげて一枚の板にし、円形に切り出します。

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少しの隙間が漏れの原因になってしまうので、精度が求められる工程。時間がたつと木がやせてしまうので、その変化を考慮して、真円ではなく少しだけ楕円形にしています。

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⑤ 組上げ

底板を桶の中に納めて、胴突(どうつき)と呼ばれる大きな角材を持ち上げて落としていきます。底板を打ち込んでいく作業です。

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桶の中に2人が入り、桶の淵に2人があがって支えます。一ヶ所を叩き続けるのではなく、全体を均等に下ろしていくために、上の二人はカニ歩きをしながら桶のまわりを何周もします。

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完成。水を入れて漏れの確認です。そして、これから百年以上、仕込み桶としての役割がスタートします。

このような新桶をつくる取り組みを、小豆島のヤマロク醤油で行っています。「木桶職人復活プロジェクト」もぜひご覧ください。



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