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焙煎機の選び方

僕はかれこれ大小様々なドラム式焙煎機を触ってきた。

ここで言える事は「大小違えど構造はほとんど同じ」という点。

各メーカー毎に蓄熱性や操作方法、遠赤外線プレートの有無、吸排気のパワーなど違いは勿論あるが、ドラムが回って、火をかけて、豆を焙煎するという行為においては、どのドラム式焙煎機も同じなので、「構造に大きな違いが作れない」と言った方が正しいかもしれない。

5kg〜15kgぐらいの所謂「ショップロースター」部門だと国外メーカーはPROBAT/GIESEN/DIEDRICH/LORINGの4メーカー、国内メーカーは関西の富士珈機。この5社がシェア争いをしている印象があるが、昨今では中国や韓国などのメーカーも焙煎機市場に続々と参戦しており、特に1kg以下の小型焙煎機は星の数ほどある。

そんな中、これから焙煎機を導入しようと思っている方へ、僕が今まで体験してきた事を少しまとめてみようと思う。

今回お伝えしたいポイントは「本体価格とは別で、後々の維持費の差がどのぐらいあるのか」という事。

1.代理店の有無

代理店を通す事で得られるメリット・デメリットをよく考えてみよう。

先ずはデメリットだが、単純に本体価格が割高である。得に海外メーカーの場合は本当に高い。焙煎機と似た様な価格帯の機械では自動車がたとえやすい。輸送費や輸入代理店が絡む事で、欧州車を欧州で買うのと日本で買うのとでは、当然値段が違うのと同じである。

メリットは何か不具合が発生した際に代理店が有償サポートしてくれる事。定期診断や修理・メンテナンスは勿論、ネジ1本の紛失にしても連絡を入れると何かしらの対応をしてくれる。正直なところメチャクチャ楽である。

但し、代理店といっても無名な焙煎機などの場合、代理店として機能していない単なる横流しのブローカーレベルの場合もあるので、代理店自体の規模やサービス内容も調べる必要はある。

2.パーツ交換時の対応

海外メーカーの場合、ネジ1本にしても代理店に頼まないと手に入らない事もしばしば。ネジならまだ良いが、排気ファンやモータの故障になってくると、代理店が在庫していない事もあり、納品待ちで2〜4週間なんて事態になりかねない。加えて1つ1つのパーツが割高である。こと、海外メーカーの焙煎機はモータに潤滑油が入ったギアボックスが付属している事が多く、これが油漏れを起こし易い。モーターも海外性なので、必然的に代理店に頼まざるを得ない。

それに比べて国産メーカーの場合、パーツはほぼ国内調達可能。品番さえ分かれば、モノタロウやホームセンターで手に入る物も少なく無い。モータなどが壊れたとしても、代理店に発注すると1週間待たずして届く。この差は大きい。

3.電気系統の煩雑さ

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工学系を歩んできた方なら問題ないのだろうが、電気系統はとにかく気を遣う。配線の数が多ければ多いほど、故障箇所の特定は難航していく。代理店かその代わりになる業者を見つけておかないと、壊れた時にはもう手遅れになりかねない。コンピュータ制御が多そうな焙煎機は、ちゃんとした代理店が付いてくれた方が安心・安全である。ただし、制御板周りは代理店が在庫していない事もあるので、どちらにせよ時間がかかる事も。

4.メンテナンスのお手軽さ

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焙煎をしているとコーヒーの油脂や煙などによって、焙煎機本体やダクトがどんどん汚れていく。定期的に「タール清掃」を行わないと火災の原因になるし、ダクトの口径が変わる程タールが溜まってしまうと、風量がおかしくなって再現性に影響が出てしまう。

これは吸排気のパワーや、ダクトと本体の繋がり方にまで関連するのだが、先ず言える事はシロッコファンの様なハイパワーの物は汚れが付きやすい。そしてタールは超ガンコ汚れである。本気でタールを落とそうと思うと丸一日は覚悟した方が良い。清掃面で言うとブレードファンの方が汚れが付きにくい印象があり、清掃は楽だった。

5.結局オススメの焙煎機は

詰まるところ、フライパンでも豆が焼ける訳で、実際なんだって良いと思う。自動車を選ぶのだって同じ。新車のポルシェと中古車のワゴンRなら、同じ自動車でも価格は雲泥の差である事は言うまでもあるまい。

初期コストと維持費を考えるのであれば、国産の焙煎機を選んだ方が良いだろうし、見た目や性能、他社との差別化を計りたいのであれば、海外のメーカーから探してみても良いだろう。

詰まるところ、お財布の中身と相談しながら今後の事業にどれだけ投資するのかを決める以外に路はない。

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なお、最初の一台にオススメしたいのがフジローヤル。特殊な機構は特になく、至ってシンプルな造りをしている。ユーザーも多いので情報交換もし易いし、中古で出回ってる事も多い。部品調達の簡便さやメンテナンスのし易さなども加点要素である。値段も比較的お手頃で、最初の一台にはもってこい。ちゃんとした手入れをしていれば末長く使えてどんどん愛着が湧いていく代物。

個人的には東京産機のTG-5あたりを激しく推したいのだが。。。

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