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ブレンドコーヒー作り

前回の投稿で「コーヒーはフライパンでも焼ける」と書いたものの、仕上がったコーヒーに対して「納得出来るか否か」はまた別の話。僕自身もコーヒーでご飯を食べてきた身の上として、自分自身で焙煎したコーヒーは文字通り「他人事」では済まされない。

先日、会社に新しく小型の焙煎機が導入された。僕はこれからチョコレート作りの傍、コーヒーの焙煎も仕ることとなる。そして今回は「毎日飲めるような定番のブレンド」を依頼された。

先ずはコーヒーをブレンドする目的を4つほど考えてみよう。

・好みの風味を出す
・新しい風味を作る
・調和の取れた品質の維持
・価格を維持・安定させる

今回は「毎日飲める」「定番」がキーワードになる。新しい風味を作るよりも品質やコストの維持・安定が必要だろう。

次に、世の中には様々なブレンドコーヒーが溢れかえっているが、主だったタイプは下記の様に分類出来る。

・ブラジルやコロンビアをベースにしたバランス系
・エチオピアをベースにした華やか系
・マンデリンをベースにしたスパイス系
・タンザニアなどをベースにした酸味系
・ブルマンなどの高価格帯の豆をベースにしたプレミアム系

僕が今回選んだのはブラジルベースのバランス系。焙煎度はハイロースト。

ブレンドコーヒーの基本中の基本である。屋台骨を支える定番ブレンドには、問屋が在庫切れに陥る可能性のある、所謂「top of top」のスペシャルティコーヒーを使うことが難しい。在庫切れリスクの少ない原料を探す事になるのだが、それには「信頼出来る生豆会社」を探す事が不可欠であり、一緒に考えてくれるパートナー的な存在が必要となる。

・小ロットの購入にも柔軟に対応してくれる
・生産者と密に連絡を取っている
・中抜きをし過ぎていない誠実さ

どんなに美味しいコーヒーだとしても、生産者にキチンとお金が届かないのであれば、サスティナビリティ(持続可能性)の無いコーヒーになってしまう。全ての生産者を救えるとは思っていないが、せめて自分たちの支払ったお金はキチンと生産者に還元されるのを見届けるのが、消費国でコーヒー業に携わる者としての最低限の責務だと考えている。

以前、某有名生豆会社に「エチオピア シダモG2」の見積依頼をした際「¥780/kg」と返事がきた。サンプル生豆の袋には丸紅の名前が。試しに丸紅に同じ豆の見積を出したところ、「¥480/kg」と返事がきた。

中間手数料を取る事自体、何も問題はない。しかし、780円の内訳で300円が中間手数料になると、生産者は1kgあたり幾ら貰えるのだろう。

過熱するコーヒーブームの裏側で、生活困窮の為に麻薬への転作や出稼ぎを余儀なくされる生産者が居る中、一杯500円でコーヒーを飲んでいる僕たちも考えなくてはいけない事はたくさんある。

刹那的な美味しさを求めるよりも、10年後、20年後にも美味しいコーヒーを飲んでいられる為に。それが僕の考える「毎日飲める定番のブレンド」。

数ある商社や問屋の中から、上記の内容を満たしてくれる原料を幾つか見つけて、現在トライ&エラーを繰り返しながら少しずつ味作りをしている「ROCKERS BLEND」

次回以降、使用している原料について触れていこうと思います。

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