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ポジショニングから教育を逆算する

こんにちは。「マノ経営大学」学長の杉田 誠です。このnoteでは、美容室経営のノウハウやヒントをお届けしていきます。

今回は、ポジショニングから逆算したMaNOの教育についてお話ししたいと思います。


前回のおさらい

  • サロン内でのポジショニングは本人の「替えのきかない価値」を明確にする意味でも有効です。

  • サロン内だけでなく、幹部(店長)のパフォーマンスを最大化させるためにも使います。

  • 幹部(店長)にも色々なタイプの人がいます。リーダーのポジショニングをすることによって、「役職」に「人」をつけるのではなく「人」に「役職」をつけるという考え方になります。

詳しくはこちらの記事ご参照ください>>

前回も触れましたが、僕のサロン"MaNO"の教育は時系列順に3つの種類があります。(下の表)今回は下の【2.スタイリストになるまでの教育】について、MaNOのポジショニングから逆算するという形でお伝えしていきます。

【⒈初期教育】
入社してから環境に慣れていき、基本を教えていく教育。「環境に慣れる」ことをゴールに設定。

【⒉スタイリストになるまでの教育】
アシスタントのカリキュラムなど、いわゆる美容室で”教育”と言われる部分の教育。「スタイリストになる為の要素を身につける」ことをゴールに設定。

【⒊スタイリストの売上を上げる教育】
集合研修ではなく、1on1でそのスタイリストの価値を引き出す教育。「スタイリストの価値を最大化させることで売上アップする」ことをゴールに設定。


カリキュラムや教育の方向性はどうやって決めていますか?

教育に悩む人の写真

僕は、自分がやってきたカリキュラムを少し手直ししながら作ってきました。もちろんそれが良いと思い込んでいましたし、「カリキュラムの意味=髪を切れるようになるまでの道しるべ」くらいにしか考えていませんでした。

カリキュラムを手直しする時も、 隣のサロンの一部を切り貼りしながら作っていました。業界が早期デビューだと言えばその要素を入れ、特化型だと言えばその要素も入れる。そんな「自分ではない他人が作った切り貼りカリキュラム」を作っていました。

ただある時、ふと気付きました。
そもそもこのカリキュラムは、「誰に向けて届ける為のものなのか?」
一番大切なところを忘れていました、、、

「誰に向けて」=「自社のお客様(ターゲット)」です。
ここをすっ飛ばして、美容室の生命線である「教育」を決めようとしていたわけですから、社員にも説得力のある説明ができないのは当然です。

これを解くキーポイントは「サロンのポジショニング」です。
「(サロンのポジショニングが明確になると)自分たちのお客様はこの人たちだから、この人たちに来続けてもらう(お金を払い続けてもらう)には、これくらいのレベルの自分たちづくりが必要だよね、、、そうするとそれに見合う技術・接客の質はこんな感じだね」

こんな流れで、自社サロンのやるべき教育像が見えてきます。
つまり、教育はポジショニングから逆算していくものなのです。決して、オーナーの過去の経験の延長線上であるべきではないということです。


ポジショニングから逆算したMaNoの教育カリキュラム

教育カリキュラムのイメージ写真

”MaNOのポジショニング”は・・・

①商圏はそんなに広くない”地域密着”
②価格帯は(商圏の中で)高め
③ターゲットになるお客様の”美意識”は普通~高め

この3つのポジショニングを陣取っています。


ここから教育(カリキュラム)を逆算すると、

①から考えられる要素は・・・
「商圏が狭いので良くも悪くも口コミがすぐに広まる」・・・要素a
「1人の信用をなくす事は、となり10軒の信用をなくす事」・・・要素b

②から考えられる要素は・・・
「価格が高いという事は、期待値が高いという事」・・・要素c
「仕上がりのヘアスタイルだけではなく、質の高いサービスや接客が求められる」・・・要素d

③から考えられる要素は・・・
「よりプロの仕事が求められる」・・・要素e
「お客様は良いバランス、良いものを知っている」・・・要素f


要素a~要素fを総合的に考えると大きな教育(カリキュラム)の方向性が逆算できます。MaNOの「教育」の大きな方向性を一言に要約すると、、、

「良いものを見てきた大人の方たちが何度も来つづけたくなる店づくり=人づくり」

となりました。 逆算して心の中で整理してみると・・・

💭  良いものを見てきた大人な方たちを満足させられるような技術レベルが必要だな。という事は、やっぱり流行だけのスタイルが切れるだけじゃまずいか、、、とはいえ、業界の流れでもある早期デビューの考えにも一部賛同できるな。

💭
地域密着(家の近く)という立地で選ばれているお客様も一定数いるから、やっぱり「カット」で勝負できる美容師づくりが必要か、、

💭
カットの時間が長く確保できるようなカリキュラムかな。ただ大人のお客様に対応できるようになるという能力は、カリキュラムではなくOJT(サロンワーク)からしか身につかないんだよな、、、そうなると、3年くらいかかるな。

💭
3年と表現すると、時間に余裕があるように感じてしまいそうだから、36ヶ月と表現しよう。1ヶ月1ヶ月を大切に過ごしてもらおう。

このような心の声を整理して大切なものの優先順位をつけるとカリキュラムが完成します。

2020年度MaNO経営計画書24~26ページ」にも、ポジショニングから逆算したカリキュラムを記載しています。

教育カリキュラムの見本


大切なのはポジショニングと教育が線でつながっていること

サロンスタッフの写真

ポジショニングとは「自分たちが勝負する土俵を決めること」
教育とは「その土俵の中にいる(ターゲットとなる)お客様に届くような、店づくり、人づくりをすること」

ここがチグハグだとこんな感じかもしれません。

例えば、単価20000円の高級鉄板焼きの店に行って、単価500円の牛丼屋さんのようなスピード感や雰囲気でサービスを提供されたら何を感じますかカリキュラムの中では?

ここで勘違いしないで頂きたい事は、「単価20000円の高級鉄板焼き」と「単価500円の牛丼屋」が”どちらが良いか悪いか”という話ではありません。
この二つの店はそもそも「ポジショニングが違う」のです。ポジショニングが違うという事は何かというと、「お客様が求めている事が違う」という事です。

逆のケースもしかりです。

牛丼屋さんに行ったのに、めちゃくちゃ丁寧に肉の部位の説明をされたら、「いやいや良いよ!食べてすぐ戻らなくちゃいけないから!」と感じるのではないでしょうか?

牛丼屋さんのキャッチコピーとして有名な「うまい、やすい、はやい」は、まさに自分たちの土俵(ポジショニング)を表しているものです。このケースではきっと「はやい」を選ぶ理由にしていたのでしょう。

価格が高いには「高い理由」が必要です。価格が安いにも「安い仕組み」が必要です。この”理由”も”仕組み”も最終的には「教育」で形にしていきます。

こういった理由から、「ポジショニング」と「教育」は線でつながっている事が大切なのです!


まとめ

今回は、ポジショニングから逆算したMaNOの教育についてお伝えしました。ポジションの付け方と合わせて、ぜひ店舗での教育に取り入れてみてくださいね。



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