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小説(SS) 「秘密の教室」@毎週ショートショートnote #理科室まがった

お題// 理科室まがった

 理科室をまがったところに、使われていない教室があった。鍵のかかった引き戸の内側には高くまでダンボールが積まれており、廊下側から中の様子を覗くことはできない。ぼくはいつも、その横を通る度に胸のざわつきを感じていた。理由はわからないが、なんとなく異様な雰囲気があるように思えた。
 だからぼくは休日、学校に忘れ物をとりにいったついでに忍び込むことを決めた。

 この日のために、ぼくはピッキング技術を磨いてきた。家の玄関や家族の自転車のロックを練習台にして、針金で何度も開けるというチャレンジを繰り返してきた。その成果がついに発揮される日がきたのだ。

 引き戸の鍵穴に、折り曲げた針金を入れる。少し探ってみると、解錠はそれほど難しくなさそうだとわかった。

「誰だ、そこにいるのは」

 声が、後方から廊下に響き渡った。振り向くと、遠くの方に白衣を着た理科の先生が立っていた。

「ここの生徒だな、その部屋に何の用だ」

 足早に近づいてくる。
 まずい、逃げよう。そう思ったとき、教室の鍵が開いた。先生に叱られる怖さはあった。だが、この行為を見られた以上、どうせなら内部を見てやろうという気持ちが勝っていた。
 ドアを横に引くと、後ろから先生が駆けてきた。ぼくは勢いに任せ、壁のように積まれたダンボールを両手で押し込んだ。思っていた以上に軽い。そのまま倒れ込んでしまい、ダンボールが次々と上から崩れ落ちてきた。
 
 ダンボールの山を押しのけて立ち上がる。
 教室内で目にしたのは、手足を拘束され、全身に器具や管をつながれた先生たちの姿だった。

「だ……めだ、きちゃいけない……この学校、は……」

 担任の先生が、かろうじて動かせる首をこちらにゆっくりと向けながら言った。見ると、他にも何人もの先生たちが同じ状態にされており、その中には理科の先生もいた。

「この学校は……謎の生物に乗っとられて……いる。奴らは……私たちを実験……体にして、先……生に擬態しているんだ……」

 なにがなんだか、わからなかった。いままでぼくたちが接してきた先生は偽物だったのか。背後から迫ってきている理科の先生は、何者なのか。
 直後、理科室の方から爆発が起こった。ぼくは、とっさに身体が動き、そこから無我夢中で走り続けた。これが、地球外来敵性生命体とのファーストコンタクトであり、人類の逃走サバイバルのはじまりだった。


〈了〉978字



今回はオチに悩みました。
オチてないような気がします。

昨日、「アース・レスキュー・デイ」という
とてもクオリティが低い中国製侵略SFを見まして、
なんか地球外生命体とのコンタクトを書きたいなと思い立ちました。が、これはどうなんでしょうか笑

ではではまた〜。

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