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おとなりさん

 「ねえ、これ食べない?」とお隣のおばあちゃまが持ってきたのは、柿の種とベビースター麺、頂き物のお菓子などのお裾分けである。ここは緑豊かな山村...ではなく、東京のど真ん中。緑はあるが、代々木公園だったり、皇居や御所だったりする。

 大都会東京、といっても実は、そこかしこに、日本の古き良き庶民文化が現存している。それは、浅草や下町だけでなく、渋谷、六本木、といったファッショナブルなイメージの地域でもだ。高層ビルの隙間にはまだ、未開発の個人住宅が残っている。

 その住宅地域には、古くからの住民がまだ住んでいて、町内会や神社の氏子活動も盛んだったりする。

 かくいう私も、都民生活の中で、牧歌的なご近所ライフを満喫。

 ご近所でお囃子を毎週練習し、今年のお正月には、獅子舞デビューを果たしてウッキウキなスタートだった。

 おとなりさんとは、食べ物のお裾分けをシェアする仲である。

私は昔から食べ物の神様についていると言われるくらい、食べ物にはツイているのだ。頂いたり、ご馳走になったり、たまたま、すごいラッキーな美味しい現場に遭遇したりすることはしょっちゅうだ。

 ある時、頂き物の家庭菜園の野菜が大量で処理しきれない時に、両隣のおばあちゃま方に、それぞれお裾分けをしてみた。すると、一方のおばあちゃまは、お料理をしない方らしく、丁重に断られた。それもまた、潔くて素敵だった。

 もう一方の方は、お料理が好きらしく「まあ!嬉しい!!ありがとう〜❤️」と喜んでくれるので、度々、お裾分けするようになった。

 すると、昔気質の人らしく、すぐに、何かしらのお返しを持ってくる。チキンラーメン、梨、生協の冷凍コロッケ、などなど、普段私があまり買うことのない物が多くて、食べてみると意外と美味しいので、お裾分けのお返しが、内心とても楽しみになってしまった。おそらく、お子さん達から送られてきた物や、お買い物で多めに購入した物、などではないかと思われる。

「海老で鯛を釣る」まではいかないが、思いがけない返礼に対しての期待、下心がありありな私だが、すぐに何もなくても、

 ピンポンを押して、ほんの数秒の会話だけど「まあ!嬉しい〜こないだのも、美味しかったよ〜〜ありがとうね❤️」などと手放しで喜んでくれるので、それだけでもなんだか嬉しくて、また持っていこうと思ってしまう。

 喜び上手になるって、大事だなあ、ということをお隣さんから学んだ気がする。

 

 

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