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わたしはバケモノだった④

4・共依存と自傷行為の再発


あたらしい部署での仕事内容を聞いたときに、わたしは大学時代に仲良くしていた後輩がシステムエンジニアになったことを思い出して連絡をしました。彼にいろいろとシステムの内容を聞いて何度か会ううちに彼と付き合うことになりました。仕事も楽しい、先輩たちもいい人ばかり、精神も安定していたこともあり、もう大丈夫だと思ったわたしは彼とつきあっても問題ないだろうと思っていました。

わたしは年下の彼に対して、年上らしくしっかりとしようと思って、外食ではおごるか、多めに払い、彼の家に週何回も通い、彼の家で食事となると、わたしが買い物をして手作りをしていました。わたしのほうが年上だし、仕事も長くしているしと思っていたのですが、ある時、給料の話になって聞いてみると彼のほうが給料をもらっていて驚きました。しかし、今さらいろいろ払ってもらうのもプライドが許さずにわたしはなにも言いませんでした。

多少ケンカなどもしつつ、だんだんと距離が離れていったある日もこと。
わたしはとても不安になる出来事があって、どうしても彼に甘えたくて、そのまま彼の家に行きましたが、彼は家に来てほしくなかった上に、少しイライラとしていて、わたしが子どものように帰りたくないとごめはじめたのを見て彼は言いました、
「はぁ、こんな人だと思わなかったわ。」
その瞬間にわたしはわっと泣き始めて彼にすがりましたが、だるそうに帰ってと言われて家に帰りました。
人に拒絶されたことがショックで家でも泣いて、そこからは食事があまりとれなくなっていきました。メールでの連絡で連絡をして、落ち着いたら会う約束をしたものの、彼に会ってはっきりと嫌いだと言われるのだと思うと怖かったのです。
誰かに嫌われるのは死んでしまうんじゃないか思っていました。

彼と会う日、彼はいつも通り変わらない感じで待ち合わせにやってきました。彼はわたしが彼の家においていった荷物をすべて持ってきていました。穏やかな感じで、「やはり友人関係のほうがよかったね」と言われてほっとしました。恋人という関係性だとうまくいかないだけで、人としては嫌いなわけではないとのことでした。
そのときにわたしは今後の参考のためにと、まるで彼との別れがなんともないような風を装って、わたしのどこが付き合っていてよかったのかを教えてくれと彼に頼みました。彼の答えは「脚がむちっとしていてのとごはんがおいしかったこと」と言われました。なんだこいつ、クズだなとイラっとしながら、やっぱりわたしってセックスすることと世話を焼くくらいしか価値がないんだなと思って心の中がザーッとなりました。

その数か月後、わたしは一回りほど年上の方と不倫を始めるようになりました。彼に妻子がいることも知っていましたし、こどもたちのことを大切にしていることも知っていたので、よく会って食事はするものの恋愛のようになっていくとははじめは思っていませんでした。なんとなくその人といることが増えていき、会話が増えていくと、その人の知識量や人とのやり取り、考え方にどんどん引き込まれて行きました。
この人のようになりたい、この人の頭の中をのぞきたい!
でも、あちらもわたしのことを意識もしていないし、妹や男のように思っているのだろうと思っていました。しかし、わたしたちはいつの間に付き合うことにありました。
付き合って初めてしたデートのときに彼に言われました。
「君は結婚とかに興味ないタイプだろ?そう思っていたんだよね。」と。

わたしは結婚もこどものほしいと思っていましたが、そんなことを言ったら一緒にいられなくなると思い、
「興味はないし、結婚という形式に縛られているような人はナンセンスだ。」と返していました。
不倫だってナンセンスだし、そんなことする人軽蔑すると思っていたにも関わらず自分のあこがれの人に言われて信念をあっさり曲げたのです!

その人はそういう割には、奥さんとうまくいっていなくてつらい、別れたいというような話をしてきました。その話をされるたびに、もしかして別れて自分と一緒になれるのではないかと期待しながら、態度には出さないように必死でした。どんな形でもわたしを選んで、ほめてくれて、一緒にいてくれることの人と離れたくなかったのです。

彼と付き合って少したった頃、違和感を覚えるようになりました。
必ず日曜日に予定が入っていて会えないのです。また、彼の家に泊まった翌日に一緒の電車での出社を嫌がりました。一緒に最寄の駅までいこうとすると必ずゆっくり行きなよやゆっくりと行きたいから車両変えようとか何かと理由をつけて話されていました。彼はすでに、別居をしていて一人暮らしをしていました。定期的に子供を含めて家族で会っているようでしたが、数か月に一度のペースでした。電車についても、同じ会社の人が同じ電車に乗っているのかな?とは思いつつながしていました。

そんなことが続いたある日、ふと彼のスマホのロック番号が見えました。彼のスマホを見るか見ないか悩みました。他人を疑う自分になるのが怖かったけれど、このもやもやとした地獄からも逃れたかった。
悩んだ挙句、数日後の夜こっそりとスマホを確認しました。ロックを解除したときに、わたしはなにもないことを祈りました。わたしの思い過ごしだよって言ってほしかった。
しかし、ラインを確認すると、ある女性と彼が毎日何度も、連絡を取り、お泊りしたり、デートしたりしていました。毎週、日曜日の用事はなんと、彼女と彼女のこどもと遊んでいました、時には彼女の旦那さんも含めての食事。彼はわたしとだけでなく、その女とも付き合っていたのです!
内容を確認したあと、わたしは冷静にラインの履歴をわたしに転送したあと、わたしは寝ている彼の腹を殴って、起こしました。
彼は驚いていましたが、わたしはその時点で発狂していました。裏切られたことへの彼への怒りと、携帯を見た自分への怒りと嫌悪が一気に襲ってきました。
彼を責め続けると、怒りが収まってきてわたしはそのうちに、「わたしはそんなにダメなのか?わたしは魅力がないのか?奥さんとその人の次にいてやっているくらいなのか?わたしがブスだから、デブだから、仕事ができないから、性格が悪いせいだろ!」と泣き始めて最後には「どうか頑張るからわたしのことを見捨てないでください」と彼に必死ですがりました。わたしが泣き始めると、彼もだんだん泣き始めて、彼はわたしを悲しませたことを申し訳ないと泣き、お互いに、「自分が悪いから、ごめんなさい、一緒にいてほしいと泣いて頑張るから」と言い合い、よりを戻しました。

こんなことをしたわたしを受け入れてくれて、わたしのために泣いてくれて、謝ってくれたことで、彼はわたしのことを見捨てずに、大切にしてくれるのだと感動しました。わたしたちはこのやり取りでより深い関係になったのだと思い込みました。

その日を境に彼もわたしに甘えてくるようになりました。
彼は今回の出来事について、自分の中で秘密にしていて心苦しかったから、君に気づいてほしかったからパスワードを見えるように打ち込んだんだと思うと言いました。その時はわたしにそんな部分を見せて、心を許してくれるんだと思っていましたが、ただお互いの見捨てられる不安が共鳴していた状態だったのです!
わたしはそのあと、人を疑ってしまった後悔と彼を信用できなくなることに関する不安でいっぱいになり、自傷行為が再発しました。

あなたがこんなにわたしを傷つけた、あなたがわたしを、人を疑うような人間に落としたのだ、あなたのせいでこんなにけがれてしまったのだ。全部お前のせいだからな。だから、わたしとずっと一緒にいてくれるよね?と思っていたので、今回は当てつけと自分への嫌悪感が入り混じっていました。
そのため、わたしは彼の前でたびたび大声を出して、泣き叫び、本来なら彼に向けるべきであろうこぶしを自分に向けていました。自分のことももちろん嫌悪していましたし、彼のことも嫌悪していました。しかし、彼がそうなのはわたしのせいだと思っていました。

わたしはすぐに人を傷つけて壊してしまうからです。

小枝ちゃんをうつに追い込み、あんなにやさしかった亀さんをあんなに傷つけてしまったのです。わたしはすぐに人の人生に傷をつけて、壊してしまうです。悪魔ような人間なわたしのせいで、彼のこともまたおかしくしているんだと思わずには入れませんでした。

彼は、いつもわたしが泣き叫ぶと一緒に泣き始めました。わたしたちはお互いに、自分のせいで相手を傷つけてしまっていると思っていました。この関係ややり取りを繰り返していくうちに、彼がわたしの問題をまるで自分のもののように、扱うことに腹が立ちました。

わたしの悲しみや苦しみをお前に理解できて溜まるか、お前なんかにこの問題も感情も奪われたくない。わたしのことを本当の意味で理解もできず、ぞんざいに扱うお前なんかにわたしのことで泣くなんてゆるせない
と怒っていました。

 初めて彼のスマホをみたあとも何度か同じことがありましたが、わたしがまだ彼と付き合っていました。彼はあの女ともまだ付き合っていて、何度目かの時に彼がその人も、その人の旦那もうつ病であると言われました。その瞬間わたしの目の前は怒りと絶望で真っ白になりました。

なんだこいつ、ただもメンヘラ好きじゃん。なんだよ、わたしじゃなくても、精神病んでる奴いたらだれでもよかったんじゃないか。と思うと、気が抜けて笑いながら自分のことを殴りました。

同時にこの時、わたしは今回の出来事はすべて、わたしが大学時代に亀さんへとやった仕打ちが自分のもとに帰ってきたのだと思っていました。カルマです。

また、彼と付き合っている同じ時期に、わたしは会議中に、自分の上司が部長に言いがかりをつけられているのを見て、部長にぶちぎれてしまい、自律神経がショートしました。部長に怒った後に、すこし外の空気を吸おうと思って、外に出て、また事務所に戻ろうとしましたが、エレベーターに乗ると動悸がして戻れなくなってしまいました。だれか信用が置ける人が居れば、乗れるので軽かったのですが、その翌日、病院に行くと自律神経が少しおかしくなってだろうと言われて、また病院通いと精神安定剤を飲み始めました。しかし、病院の先生には彼と不倫していることが悪いことをしていると感じて言えず、会社の話だけしていました。

 彼とは付き合いつつも、わたしは精神を安定させるために、アンガーマネジメント、漢方、食事療法などを試しましたがどれもいまいち変化がありませんでした。

そのうえ、その時期に初めて直属の部下を持つことになりました。その子はまるでわたしのようでした。まじめで、ケアレスミスが多くて、空気が読めず、一生懸命だけど抜けている。そんなところがかわいくと、面白いと思いつつも、彼女が恥をかかないように、まわりに迷惑をかけないようにと彼女にわたしは厳しい態度を取りました。彼女のことが好きでしたし、彼女が頑張っていることも知っているのだけれど、わたしはなかなか素直にほめられずに、彼女のあらばかり探していました。毎日、夜に明日こそ優しくと思っているに、毎回つめてしまっては落ち込んでいました。まるで、わたしは前の部署のときの上司のような嫌な先輩でした。優しくしたい自分ときつい自分が交互に出てきて、後輩も混乱させていました。

そんな中、彼が家を引っ越して、あっていた女とは完全に別れたと言っていましたし、日曜日もわたし一緒にいましたが、彼が誰かとメールしたり、彼の会社の女性の話をするたびにわたしは疑いがでてきて、おびえました。それを過敏に疑う自分をまた、責めました。

彼と別れることになったのは、わたしが彼という必要がなくなったからでした。彼のことを尊敬して、この人のようになりたいと思っていた気持ちが満たされてまるでチャージが終わったようでした。彼と会っても魅了を感じなくなり、同時に仕事も忙しくなってきたので彼と会うことも減っていき、彼との仲は自然と終わりました。わたしは20代の後半から30代前半までの5年間を彼と過ごしたのでした。

別れた後も、何かあるたびにわたしは6年ほどは彼を頼りました。肌の触れ合いはなく、精神的な支えになってもらっていました。仕事で自信がなくなってへこんだ時、不安で怖いことが起きると彼を呼びつけていました。しかし、そこに罪悪感はありませんでした。わたしの中では彼は絶対にわたしを裏切らない、だってこんなにわたしのこと傷つけたんだからと思っていたからでした。


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