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備忘

例に漏れずこの頃はキメラ都市構想に興じている。全国から通りや城やら地形やら摘んできて、地図なぞ描いてみたい。海外にて留学生同士が群れるか否かは知ったこっちゃあないのだけれど、旅先で関西人は群れる、これは真理なのじゃ。なんだってずちねえ。あの辺り、吝嗇の才の下に基礎付けられた世界であるから(それも出鱈目な)、ぎんぎらとした類の快活さは互いに牽制し合うの。「愉しい」と断じるのは難しい、ある種の強度があって。それが所謂「オモロい」なんでしょうが。そのコミュニケエションに効能があるかと問われれば、あっしは口を噤むしかありやしまへん。

いろいろ、足を運べましたとも。「城端じょうはな」というまちがございまして。まあ初めっからは読めねえでございます。柳田國男曰く「城端は機の聲の町なり 寺々は本堂の扉を開き 聽聞の男女傘を連ね 市に立ちて甘藷の苗賣る者多し 麻の暖簾京めきたり」。風情とは一言に申しましても、その温度湿度色彩に至るまで様々ございまして。なんでも、このまちの雑多が密度を保って形成される様は素晴らしいのなんの。統一感も宜しいですが、このくらいが親近感を抱くにはモッテコイであります。瑠璃色をした運動服の少年少女が、ヘルメットを頭に自転車で通り過ぎてゆきます。水路のうえ、トタンの蓋がガタンガタンと鳴ります。懐かしき放課後の風景は小学生─

城端とは別種の、統一感ある類の風情は八尾の「諏訪町本通り」がピタリ。石畳の坂道に格子戸と白壁連なり、耀かしい水が両脇を駆ける。例えば洞川に吉野、或いは鳥居本町なぞは蛇行した坂道にこそ風情の真髄が宿っておるが、ここまでの整然を目にすると、明快な一本道も悪うないように思える。長月頭の宵には、橙の灯ぼんやり浮かぶこの道を、おわら節と無言の踊り手の舞いが埋める。世に名高い風の盆である。一も二もない、紛れもない異界の風景に思いを馳せたのは、何処にでもある昼刻。和紙文庫は閉まっておった。

福光に泊まるのは初めてでさ、リノベーションされた蔵に泊まったのさ。気分が上がるよね、やっぱり。落ち着く素材、色に囲まれてね。時間が無くって行けず仕舞いだったけど、近くには「棟方志功記念館」があってさ。ここらに住んでいたみたいだよ。夜は駅前の居酒屋まで自転車で。日没後の田園をチャリンコで、というのもなかなか懐かしいものだね。店では年齢が親父くらいの男性二人に捕まってさ、次の店まで連行されて。すべて```「ご馳走さんでした」で済んだのだから僥倖という他ないよ。帰って、寝室に入ってまたビックリ、ムナカタの画が掛けてあったのさ。いいや、本当さ。朝起きても、それはきちんとあったんだからね。

富山には私のパトロンが居らっしゃる。呑んだくれの話が続いて申し訳がないけれど、毎度のようにご馳走してもろうておる。さらわれえ、のまれえ、うたわれえ、言われるっちゃ。遠慮はせんっちゃ。そう、それで。ちょいと変わった成行 ─省くけれど─ で一つ年上の女性の身の上話を聴くことに。これが重たい。産後うつ、離婚、親権喪失、、、 彼女は少し呑んで、多く食べて、戻して、眠った。そんなとき、私は決まって態度を決め兼ねて、同席者に同調するように「難しいですね...」と口にするのであった。経験有無云々以上の、踏み込めない暗闇。あっけらかんとしていたい。

もうダメ、写真で勘弁。

城端
城端
城端
城端
福光/宿
福光/宿
福光/宿/犬
福光
福光/店
福光/店/料理
福光/小矢部川沿
福光/小矢部川界隈
山田
諏訪本通り
諏訪本通り
内山邸
内山邸
内山邸
内山邸
内山邸
内山邸
内山邸
雄山社
佐々堤
立山
小松
小松/宿
倶利迦羅不動
金沢/伝統産業工芸館
金沢/伝統産業工芸館
金沢/伝統産業工芸館
金沢/伝統産業工芸館
金沢/伝統産業工芸館
金沢/伝統産業工芸館
尾山社
金沢/山錦楼
片町
片町
白山
白山
金沢/東照宮
熊川宿
熊川宿
熊川宿

寝ていた!!!


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