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フィリピン不動産投資 失敗例1 マニラ州マカティ市 DMCI Homes - 日本窓口はあるものの…

フィリピン駐在歴6年目の私、実はマニラ赴任前から現地不動産への投資をしており、今回は自身の経験を踏まえた失敗談を書いていこうと思います。

Tl;dr(忙しい人向け)

結果から申し上げますと、現在実質利回りは4〜5%で推移しておりますが、物件の老朽化を考慮すると2、3年以内に売却しないと正直キビシイかなという状況です。
2023年以降からは円安の影響もあり、円建てではそれなりにまとまった金額にはなっていますが、ペソ建での利回りは年々パフォーマンスが下がっています。

DMCI Homes との出会い

2016年、都内某所で行われた不動産セミナーを通じてDMCI Homesというディベロッパーを知ることになります。当時は日本人スタッフが一名しかおらず、セミナーそのものはあまり気乗りする内容でもなかったので、提出された書類等にも署名する事なく、途中で会場を退出してしまいました。

しかし、後日社員旅行でセブへ行く機会があり、マニラにも数日間滞在する事となったので、自由行動日に不動産視察ツアーに参加する事に。そこでDMCI Homesの物件をいくつか見学し、当時プリセリング中だったマカティの物件「Brio Tower」を紹介して頂き、日本帰国後に購入手続きを済ませました。

物件価格は当時たったの660万円

実を言うと、当時物件は完売されており、再販待ちの状態でした。再販物件が出た場合、プリセリング時の価格で購入できるというなんとも射倖心を煽るシステムのおかげで、無事(?)、再販物件を引き当てる事ができました。物件完成まで2年余り、おまけに当時は10000円が4700〜4800ペソとかなりの高レートだった事もあり、現金一括で購入しました。
(2024年現在、10000円がわずか3700ペソにしかなりません。。。)

物件完成から間もなくDMCI Homes本社より通知が届き、クロージングフィー納付、鍵の受け取り、物件の引き渡し等の手続きを済ませに、再度フィリピンへ渡航しました。
2年ぶりのフィリピンは、たった2年でここまで変わるものかと感心したものです。その際オルティガスやBGCも見学し、BGCの物件にしておけばよかったかなぁと浮気ゴコロが出たりもしました。
(DMCI HomesはBGC内にプロジェクトはありません。)

家具付・リフォーム

フィリピン不動産ツアーなどに参加された事がある方ならおわかりいただけると思いますが、モデルルームにはそれなりに豪華な家具や食器類が並べられており、このお部屋がたった〇〇〇万円で?と心躍ってしまいがちですが、引き渡しの際は丸裸の産まれたての状態で引き取る事となりますので、初めて引き渡しされた時は、あぁ、これからこの子の面倒を色々と見てあげないといけないんだ…という親心(気苦労)がきっと芽生える事でしょう。
引き渡しからすぐさま日系のリフォーム業者さん(リノベーション業者)にお願いし、家具付けとリフォームを依頼。当時はIKEAもなく、家具の品質にはかなりの不安が残りましたが、それなりに良心的な価格でリフォームをしてくださいました。個人的には不動産ディベロッパーにリノベーションから賃貸管理まで請け負って欲しかったのですが、DMCI Homesはリノベーションは請け負っておらず、賃貸管理のみお願いしようと思っていました。

賃貸管理部門からレスポンスがない…

リフォームが終わるタイミングを見計らって、テナント(入居者)探しをしておこうと思い、DMCI Homesの日本人ブローカーに賃貸付けもお願いしたいと尋ねたところ、ご本人は販売専門らしく、賃貸はLeasing部門にメールしてくださいとの事。ガッテン承知とメールをしたものの、一向にメールが返ってくる気配がありません‥。

現在は前大統領デュテルテ氏の功績もあり、かなり改善されましたが、当時のフィリピンはインフラ環境もまだまだ酷く、インターネットがろくに繋がらない、停電は頻発する、治水もめちゃくちゃでリトルトーキョー周辺も洪水だらけと、今振り返ると自分でもよくそんな国に不動産投資したなと思うレベルでした。

しかし文句を言っていてもテナントを見つけない限りは毎月のランニングコストが嵩んでいきます。共益費(Association Dues)に不動産税(Real Property Tax)、おまけに5年に一度ほどの修繕費(Special Assessment)と、それなりの金額が毎月しょっぴかれていきます。

年々改悪していくアドミン

当時は共益費などは年払いすると1ヶ月分のディスカウントが受けられましたが、現在はなぜか抽選制になっており、最初の100ユニットしかその恩恵を受けられません。
しかも抽選開始の日時が告げられるのが当日の3時間前というシステム。
コロナでそれなりの打撃を受けているのはわかりますが、こういう不平等なシステムはいかにもフィリピンらしいです。このディベロッパーだけなのかもわかりませんが‥。
もっと愚痴を吐きたい部分はあるのですが、あげればキリがないので、一旦話を元に戻します。

日系の不動産管理会社へ

このままでは埒が明かないので、日系の不動産管理会社へ物件の詳細等をお伝えし、家賃一ヶ月分のコミッションをお支払いする形で、リフォーム終了の2ヶ月後には賃貸付をする事ができました。1年目はギリギリ赤字を出さない程度だったので、利回りに関しては無視。
2年目以降からは実質利回り5〜7パーセントと、現地のインフレ率を考えると、そこまで良いパフォーマンスでは無いと思います。
やはり毎月の固定費並びに管理会社への支払い、そこに不動産税も乗っかってくるので、それだけでもなかなかの痛手です。

不動産の賃料収入の税務

厳密に言うと家賃収入そのものへの税金というのももちろんあるのですが、経費諸々を差し引いた収入が年間25万ペソを超えない場合は申告の必要がないとあります。幸い私はこの300万ペソの物件における実質利回りが5〜7%というよわよわ大家だったため、当時申告の義務はなかったようなのですが、実際のところフィリピン人大家の多くは賃料収入の申告はしていないようです…。

今後の出口戦略

一昨年からフィリピン赴任となり、労働ビザでフィリピンに滞在する”居住者”となってしまったため、会社からの給料と家賃収入併せるとまぁまぁの税金を納めてしまっていますが、それでも3Mのうち3割程度は回収できたのと、中古販売価格は最低4.5Mのラインをキープしてくれているようなので、来年あたり売却を予定しております。

⭐️コンドのアドミンへの愚痴⭐️

これはDMCI homesそのものへの愚痴というよりは、私の物件のアドミンに対する愚痴なので、そういう例もあるんだなと読み流してください。

愚痴その1. Air bnb禁止

フィリピン不動産を所有する上で、この謎ルールは痛すぎます。DMCI Homesは全プロジェクトでAir bnb等による部屋の短期貸し出しを禁止しており、原則6ヶ月以上であればAirbnbでも掲載は可能とされています。
この時点で運用方法における柔軟性はかなり低くなり、他社ディベロッパーと比べると利回り率の維持が難しくなります。

なぜか中の人はAir bnbリスティング可

赴任後、同コンド内の小さなグローサリーショップで、カナダ人と知り合ったのですが、「Air bnbで2ヶ月だけ滞在してるよ」との発言に私ピキーン!と来てしまい、詳しく聞いてみるとオーナーはDMCI Homesの中の人である事が判明。しかもそれなりに上の方の役職。
後日Air bnbでコンド名で検索してみると、出るわ出るわ、闇エアビー物件のオンパレード。
アドミンにメールで質問してみたところ、「メールありがとう。報告しておきます。」とのご回答。

ふぅ、これで不正を正す事ができたはず…。

しかし事態は何も変わらない

しかしなんという事でしょう。
1ヶ月、2ヶ月経ってもリスティングは消えません。おそらく賃貸契約書などアドミンには提出せず、”トモダチ”を入居者リストに加えているだけかと思われます。
Air bnbですと電気代や水道代の支払いにアドミンへ行く事もありませんし、困った事があればおそらく全てオーナーを介して解決できるため、アドミンスタッフから根掘り葉掘り聞かれる事もないのでしょう。

まさに正直者がバカを見る世界です。

いつだってやったもん勝ちなのです。

オーナーが同コンド内に住んでいればAir bnbゲストへの対応も迅速ですし、それだけで海外居住のオーナーは不利な状況に置かれます。Air bnb管理業者にお願いする事も当然できますが、家賃一ヶ月分以上の手数料を考慮すると、なかなかキビシイところがあります。

愚痴その2.上がり続ける共益費

共益費が一気に20%上がった時は思わず目を疑いました。
マカティの物件とは言え決して好立地の物件とは言えず、販売当初日本人ブローカーがセールストークにしていた「すぐ隣にSMのモールが出来るんですよ!ほらSMDCのロゴが見えますでしょ?」も、何年経っても実現されず、ただSMがそこの土地を購入したというだけで、未だ野晒しの状態です。
最寄りのモールまで歩いて10分、炎天下のマニラの事を考えると車なりの移動手段がないと正直厳しい立地です。周囲には歓楽街などもないため、孤立していて静かではあるのですが、フィリピンに不慣れな外国人からすると、不便に感じるでしょう。実際私も、家電や食器などのちょっとした買い出しに行かないといけない時、近くのモールまで毎回タクシーを捕まえないといけないのは不便に感じていました。すぐ隣にコンビニなどあればまだ救いはあるのですが、最寄りのコンビニがあるMRT駅へも歩いて7、8分と、かなり微妙な距離です。そんな立地の割に共益費が高すぎる。

今後のDMCI Homesとの付き合い方を考える

つらつらと愚痴を並べてしまいましたが、先述した通り購入価格のおよそ3割はすでに回収できている事、売却価格も4〜5Mと想定すると、7、8年でおよそ2-2.5Mペソ(530-670万円)となります。良くて年間90万円、悪くて年間65万円程度と、実労働時間を考慮すると、そこまで悪くない副業と言えます。ただ、あくまでも皮算用でして、物件が希望売却で売れるかはまだ不明ですし、売れた後もキャピタルゲイン税やら仲介手数料やらの支払いが待っています。

しかし、今後DMCI Homesの物件に再度投資するかと言われると、やや微妙なところです。

断層上のコンドミニアム「Valeron Tower」

最近では丸紅との共同開発プロジェクト「Valeron」や、マカティの「Fortis Residences」を推しているようですが、「Valeron」に至っては同社プロジェクト「Prisma」同様、Fault Line(断層線)のほぼ真上に建設予定。。。

緑がValeron建設予定地、赤線は断層線。

フィリピンはダバオなどを除いてあまり大きな地震には見舞われない傾向にありますが、かつて大地震でいくつかのコンドミニアムが倒壊した歴史もあります。直近ですと、2020年ダバオでのマグニチュード6.5の地震による、DMCIのコンドの倒壊も、私の中では大きな不安要素となっています。

https://www.pna.gov.ph/articles/1092968

当時デュテルテ大統領もお怒りでした。。。

ほとんど売れてないFortis Residences

DMCI Homesとは長い付き合いなので、現地のブローカーからもプロモーションを受ける事があるのですが、高級レジデンスとして打ち出された本プロジェクト「Fortis Residences」は、ローンチから1年以上が経ったもののまだ全ユニットの1割程度しか売れていないらしく、私がフィリピン不動産を始めた頃と比べると雲泥の差です。
(私の所有コンドはローンチと同時に即日完売したそうです。スゴッ)

基本的にDMCI Homesの物件は立地が良くありません。特にマニラ市内の物件。今回のFortis Residencesにおいては、アクセス面ではそこまで悪くない方だとは思いますし、”ちゃんと”SMのモールも徒歩圏内にあります。商業フロアも地上階に設けられるそうです。
しかし全然売れてない。なぜか。

理由その1. すでにコンドミニアムが乱立している

マカティと同様、もしくはそれ以上に人気のBGCというエリアの発展をリアルタイムで見てきた方にはお分かりいただけると思いますが、今やとてつもないビル群となっており、一部地域は空を見上げると、もはやブルースカイというよりグレースカイです。
購入したコンドの真ん前に他社ディベロッパーのコンドが立つなど、活況期はみんなやりたい放題してました。しかし当然似たような物件の供給が増して行くにつれ、付加価値のない物件は淘汰されていきます。おまけにテナントは常に安く借りたいメンタリティですから、BGC内の物件を購入したけど、思ってた以上に利回りが良くなかった‥。なんて話はよく聞くんじゃないでしょうか。
(コロナ禍はよく物件が投げ売りされていました‥。)

マカティやBGCはすでに供給過剰とも言えます。

もし仮に私が今からフィリピン不動産に再投資するのであれば、おそらく郊外の、それも大型開発エリア内の物件を購入すると思います。
なんだかんだショッピングモール直結の物件は強いです。
予算があれば次点でオルティガスのBridgetowne周辺でしょうか。

Ayala Circuitや、Robinson Magnolia、SMDCの各種プロジェクト等々、ショッピングモールまで雨に濡れずに歩いていけるような物件は、その利便性も相待って、どれもトロフィー物件化しやすく、海外の投資家へ売却する際にも簡単に買い手が見つかる傾向が強いです。
(SMDCはプロジェクト単位での部屋の供給数がやや多すぎるように思いますが‥。)

上記の理由から、当面DMCI Homesの現在公開中のプロジェクトに投資するのはリスキーだと考えています。無難にモールの運営も手がけているディベロッパーの物件に投資するのが良いでしょう。しつこいようですが、やはり同社の物件は立地が悪いものが多すぎます。また、情報に対する透明性の低さも個人的には不安を覚えています。

今後の課題:トロフィー物件を見つける

上述した通り、モール直結物件で、かつ供給の限られている物件を、なるべく早い段階で購入するのが理想的と言えます。上述したディベロッパーの場合、資金不足で開発中止といった心配はかなり低いですし。この国も例に漏れず財閥が牛耳っていますので、不動産投資においても「勝ち馬に乗る」精神は大事です。

現に私のフィリピン不動産投資仲間(というか直属の上司)は、Robinson Magnoliaの物件(Magnolia Residences)を3Mで購入し、7.5Mで中国人投資家に売りつけたと自慢していました。私も仕事で同モールに何度か行った事ありますが、いついっても中国人らしき人をかなりの数見かけます。モールのすぐ隣には火鍋屋まであったりと、もはやちょっとしたチャイナタウンです。もう一つ面白いのが、このモールには2つフードコートがあり、一つは地下フロア、主に客層はフィリピン人。もう一つはレジデンス直結の4階、そちらは肌の白いお客様が多い印象です。価格帯も地下の1.5から2倍程度です。なるほど。

個人的には、やたらにだだっ広いMOAよりも、未開のエリアにあるオールインワンのコンパクトなプロジェクトの方が魅力的です。
MOAもかつては未開のエリアでしたが、今ある周辺コンドは部屋の位置によってはモールまでかなり歩くことになるのと、部屋の供給が過剰、おまけにSMDCのコンドは壁がとても薄い事で有名‥。

おわりに

今までの思い出を振り返ったらかなりの長文になってしまいました。文字数6000字(笑)。貴重な休日が…w。
とまぁ色々書き殴ってしまいましたが、今後フィリピンでの不動産投資を検討されている方が、本記事を通じて何か一つでも判断材料を得られたら嬉しい限りです。私もフィリピンについて全てを知っているわけではありません。ロックダウンだって予測すらできませんでした。今の円安だって…泣

投資は自己責任。

なので投資する前には出来れば現地を視察してきて欲しいです。
最近はAIもかなり実用的になってきており、たとえ英語が不得手でも、ディベロッパーやアドミンとのやりとりにおいてはかなりストレスが少なくなってきました。
現地に居を構えているのであれば、日系の業者を通さず自力での管理も難しくはなくなってきています。

それでも現地視察はマストです。

現地ブローカーは物件を売るためだったら嘘なんて平気でついてきます。
最終的に信じていいのは自分だけです。自分の目で、自分の耳で、フィリピン、そしてフィリピン不動産のイマを感じとってくれたらと思います。

※ 何か質問等あればコメント欄にてご自由にどうぞ。

久々の長文執筆で疲れた。。。
サンミゲル。。。ピールセン。。。

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