令和のおひとりさま

私は30代の独身女性だ。
友達も恋人もいない。「普通の人」からすれば、さぞ惨めに見えるだろう。
でも、今の私はそれで悪くないと思っている。

私は昔から人付き合いが下手だった。
意地悪はしないし、相手が嫌がるようなこともしない。
それなのに、不思議と人との関係が深まらず、仲のいい友達はできたことが無かった。
ずっと不思議に思っていたが、ネット上のある記事を読んで謎が解けた。

その記事には、このような事が書いてあった。
「人間関係を潤滑にするために必要なものは、相手への関心だ」

私は人に関心が無いのだ。
関心を持ったつもりでも相手を深掘りすることができない、だから人間関係が築けなかったということだ。

人に関心を持てず友人を作れないのだから、恋人などできるわけがない。
友人よりも親密になる恋人とのコミュケーションの取り方など、私には知る由もない。

私のような人間のことは、「スキゾイド」とか「アロマンティック」というらしい。

「スキゾイド」とは簡単に言うと、他人に興味がなく単独行動を好む人間のことだ。

「アロマンティック」とは、異性に興味はあるが恋愛感情を持たないこと。
言い換えると、憧れる男の人ができても交際したいとは思わないのだ。

理解に苦しむ人もいるかもしれないが、私はこの2つのタイプについて知ることが人生の分かれ目だったと思う。

「自分はなぜか人と違う」
こういった悩みは重くてつらい。
いつ答えが出るのか、光が射すかどうかも分からない。

答えが見つかることで、「同じような人がいる」「自分はおかしくない!」
目の前の霧が晴れ、自己肯定感が強くなるのだ。

私は友達も恋人もいないけど、幸運だ。
世間一般の理想とかけ離れていても、間違っていないという根拠を得られたから。
結婚、仕事でプレッシャーをかけてくる人もいない。
令和の現代、多様性が尊重されるから。
私はとてもとても幸運な「令和のおひとりさま」だ。

#創作大賞2023 #エッセイ部門 #スキゾイド #アロマンティック #LGBT

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