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ゆとりのゲーム感想「ドラゴンクエスト(GB)」

GB版「ドラゴンクエスト」をプレイ、そしてクリアした。

かつて「ドラクエ好きはゲーム好きではない」と豪語していた男がだ。

そう、私はドラゴンクエストをプレイすることを避けてきた。

私はドラゴンクエストもといRPGが好きでは無いのだ。

これはレトロゲームに触れる前から何となく抱いていた考えである。

私はゲームの面白さを「ボタンを押すことでキャラが反応する」「ボタンを押すことで何かしらのリターンを得る快感」この2つが主だとゲームを始めて間もなく気づいた。

それらをゲームの面白さだとするのならば、RPGは当てはまらないケースが多い。一応戦闘で戦うことによるリターン(新しい技を覚える等)があるが、アクションゲームよりかはボタンを押すことによるリターンは少ないと思う。

そもそもRPGにおけるボタンを押す楽しさ、というのはその行為自体が楽しいというのではなく、
敵を倒す、
ストーリーを進める、
エンディングに近づく、

といった2次的なものであり、その行為事態が楽しい訳では無いのだ。いわば目的なのだ。

本題から逸れてしまったが、私はとにかくRPGが苦手な人間なのである。

ただ、その考えも最近になって変わってきた。中学の時にやった「MOTHER2」を始め、いくつかのRPGは私の琴線に触れた。中でも一昨年にクリアした「ポポロクロイス物語」はなぜか強く印象に残っている。続編の「ポポロクロイス物語2」では不甲斐なく泣いてしまった。"ゲームでしか体験できないストーリー"というものが何となく理解できるようになっていたと思う。

さて、そんな私がドラゴンクエストを始めたのはこの記事を書く1週間程前。買って2日ぐらい集中してプレイして無事にエンディングを見ることができた。

プレイしたきっかけは特にない。いつも通りブックオフで物色していたら偶然にもゲームボーイの「ドラゴンクエスト1・2」が安く置いてあったので、買った。いつもならレトロフリークにインストールしたら箱に入れて、いつかやろうといった気分でそのまま忘れていくのだが、その日は違った。

「ちょっとやってみよう」

「ドラゴンクエスト」に急に興味が出てきたのだ。いつも想像で語っているが、果たして実物はどんなものなのだろう、こう思うやいなや、私はゲーム機を起動させてプレイすることにした。

改めて本作品を紹介しよう。

私がプレイしたのは1999年に発売されたゲームボーイソフト「ドラゴンクエスト1・2」というもので、文字通りドラクエ1とドラクエ2が一つのソフトに入っているものだ。正確に言うならばスーパーファミコンでリメイクされた「ドラゴンクエスト1・2」のゲームボーイ移植版である。


ドラゴンクエストI・II

元々はファミコンソフトとして発売された両作品だが、スーパーファミコンに移植されるに当たって遊びやすいように手直ししたらしい。(あまり詳しくないのだが、ファミコン版だと敵のラリホーが必ず命中したりするバグがあったそうだ)

特に目に見えて変わった仕様は移動やNPCとの会話だろう。初代ドラクエは主人公は常に正面を向いた状態で移動しており通称"カニ歩き"と呼ばれるぐらい不格好なものだった。会話をする時や調べる時も調べるボタンを押した後に調べる方向も入力する必要があった。

さすがにスーパーファミコンやプレステが出てきた時代ではこのような仕様はめんどいので、いわゆる普通のシステムになったらしい。

以下から大まかなゲームの流れを説明すると共にゲームを初見でプレイした際の感想を記したいと思う。

ゲームを起動させ、名前を入力すると、いきなり王様の部屋での会話が始まった。突拍子も無いが、ファミコン時代なら至って普通だ。寧ろスタートするまでに長ったらしいムービーを見せられるのは好きじゃない。大貝獣物語、お前のことだぞ。

王様の話によると、
「今、国が大変なことになってる。それは『りゅうおう』を筆頭にモンスター達が暴れているからだ。この国の人達は世界の破滅だ、この世の滅亡だと騒ぎ絶望している。お姫様もモンスターに連れ去られてしまったのだ。勇者ロトの血をひく主人公よ、世界を救ってくれ。」

というのが大筋のストーリー。何ともシンプルだ。今となっては物足りないかもしれんが、単純明快。とにかく姫を救ってりゅうおうとやらを倒せば良い。


冒頭のオープニングシーン

しかし、次の展開に私は少したじろいだ。王様は「りゅうおうをたおせ!お姫様を救え!」といったきり、他には何も言ってこない。

「え、他は?」

今のゲームに慣れているからか、私は王様にさらなるセリフを求めてしまった。

「まずは〇〇の街へ行け!」
「〇〇で中ボスっぽいのが暴れてる!」

私は今のゲームに慣れすぎていた。

そう、この初代ドラクエは
RPGというよりかはアドベンチャーゲームに近い印象を受けた。

私はこのゲームをクリアするのに約8時間程かかったのだが、その半分以上は「NPCの情報をもとにフィールドを探索し、さらなる情報を見つける」ことに時間を費やしたと思う。敵と戦うシーンも多いのだが、特に印象に残ったことは無かった。従って、フラグを回収しつつ、その道中での戦闘が良い感じのスパイスになっていた。

ちなみに、ゲームの最初に伝えられる
・りゅうおうを倒す、
・お姫様を救う

この2つを達成するとエンディングが流れてゲームが終了する。特に新しい敵だったり、真の黒幕なんてのはいない。一番始めに伝えられるこれらのタスクが初代ドラクエの全てなのだ。

私は王様の話を聞き終わると、近くにあった宝箱からお金とアイテムを貰って城下町に出た。何人かの住民がいたが、「お姫様が心配だわ」「世界はどうなってしまうんだろう…」といった話だけで、大した情報は得られなかった。


お困りの様子

さらに城下町の外に出ると、ワールド画面が現れた。初代ドラクエはワールド画面とエリア画面に分かれていて、ワールド画面のあちこちにある街のマークに触れるとその街やダンジョンのエリア画面に切り替わる、といったシステムだ。

今はオープンワールドといってワールドとそれぞれの街やダンジョンがシームレスに繋がったゲームが殆どだが、これもこの時代のゲームではよくある特徴である。主人公の大きさは変わらないので、エリア画面では他のNPCと同じ大きさで動いているのに、ワールド画面になると、連なる山々を僅か数歩で通り抜けてしまう。突っ込むべきでは無いが、確かによくよく考えたらおかしな現象である。おそらく当時プレイしていた人達にとって語り草になっているものなのだろうが。

城と肩を並べる主人公

近くにあったラダトームという町に行って私は武器と防具を購入。NPCと会話をすると、さらなる重要な情報を知った。

りゅうおうの所に行くには特別なアイテムが必要らしい

なるほど、そうか。私はすかさずメモを取った。この時点でおそらくメモは必須だろうと踏んだ私はスマホのメモアプリで専用のページを作った。


プレイした時の攻略メモ

私は何人かのNPCと会話してそれなりに情報を集めたが、次に具体的に何をすればいいのか、どこにいけばいいのかは分からなかった。もう一度ワールドマップに戻り、また別の街を探すことになった。

しかし、行けども行けども山ばかりだった。クリアした後から見ると、別にそこまで広いフィールドではないのだが、この「訳も分からずさまよう」というのにとてつもない不安を抱いた。砂漠で歩くことはきっとこういう気持ちなのだろう。

フィールドで歩いていると、敵との戦闘に入る。敵はボス含めて40種類しかおらず、その中でも半分ぐらいは色違いのモンスターだったりする。この辺もファミコン時代の制約ゆえの苦肉の策だろうと思う。といってもスライムやキメラといった一度は見たことある敵が出てたりしていて、見ていて楽しかった。

見たことあるモンスター多し

戦闘も至極シンプルなものである。
・武器で殴る
・魔法で攻撃する
・魔法で眠らせて殴る

ぐらいしか戦略は無い。といってもこのゲームは「RPGを日本に浸透させる」という役割があったので、これぐらい簡素なものでないと、煩雑でうっとおしいと思われて受け入れられなかっただろう。

私はJRPGには複雑な戦闘方法は不要だと考える。JRPGが好きな人はやっぱりストーリーを楽しみたい、キャラを育成したい、という考えを持っている人が多いと思うので、なるべく簡単でストレスが無い方がいいだろう。緊張感のある戦闘したい人はローグライクなりWiz系だったりをすればいいのだ。

歩き回ること10分後、新しい街に着いた。ここで、また新たな情報を得たら次の街に行く…を続けるらしい。


新たな町についたら、また情報集め

さて、そんなこんなで私はついにクリアした。

感想としては、

思ったよりも楽しかった

というのが本音だ。

これは私の予想なんだが、ドラクエの"5"や"3"や"8"が好きな人は"1"はきっと好きでは無いだろう。

それぐらいゲーム性がかけはなれているものだと思ったからだ。

これは今のJRPGの定義に基づくとRPGでは無いような気がする。

JRPGの定義は

◆戦闘・マップなどのシステム面

ターンベース制
エンカウント制
狭小なフィールド・ダンジョン
固定されたストーリーライン
長時間に及ぶムービークリップの多用
◆世界観・シナリオなどのテイスト

キャラクター性が強い
漫画・アニメ文化やハリウッド映画など国内外の大衆文化からのレファレンスを多用
様々な時代文化のアマルガメーション
主要登場人物が西洋作品に比較して年少傾向

らしい。(引用元:「JRPGとは」ニコニコ大百科)

「ドラゴンクエスト1」はストーリーも無いと言っていい、キャラクターもそれぞれに勇者や王様といった職業があるだけで、深いものではない。

そう、初代ドラクエはJRPGではないのだ。私はアドベンチャーゲームとして定義した方がしっくり来た。

一つ一つの手がかりを線で結びつけ、戦闘やフラグ回収を行いながら、自分の行動範囲を広げていく

こんなゲームだと思う。

私はこのゲームをしてファミコンの「ゼルダの伝説」と「ハイドライドスペシャル」を思い出した。あれも今ではアクションRPGにジャンル分けされているが、アドベンチャーゲームだろう。

アドベンチャーゲームが好きなの?と言われそうだが、別にそんなことは無い、寧ろ苦手なジャンルだったりする。ただ、ドラクエ1が嫌にならなかった理由は、

「導き方がとても丁寧で、誰にでもクリア出来る神がかったゲームバランス」だからだ。

私は今回のゲームをプレイした際に殆ど攻略情報や攻略サイトを参考しなかった。(唯一、ロトのよろいの入手だけ分からなかった)つまり、誰でも自力でクリア出来る、ゲームの中に答えは必ずあるということなのだ。

ここまで上手くできているアドベンチャーゲームは中々ないと思う。クリアした時は久々にグッとくる達成感を味わえた。

面白かったな。

これで何とか「ドラゴンクエストとは何か」という疑問に対して、一つ自分の見解を述べることができる土俵に立てたと思う。

名作と言われる「ドラゴンクエスト5」や「ドラゴンクエスト8」はがっつりJRPGらしさ全開なので、今作のようにハマれるかは別だが、やってみてもいいかな、と思えるレベルぐらいにはなった。

ありがとう、ドラゴンクエスト1。

機会があれば2や3ぐらいならやってもいいかもしれない。

積んでるRPGも少しづつ消化しないとなぁ・・・

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