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『疾風の勇人』4巻を読んでみました

この漫画を読んだら、いつのまにか社会科(昭和史、近代日本の政治史)の勉強になっていました。

アメリカ視察を終えた池田は、講和交渉の進展という成果を持って帰国します。これで日本は一気に独立に向けて動き出す、と思われた矢先、朝鮮半島で戦争が勃発します。北朝鮮と韓国の戦いは、ソ連とアメリカの代理戦争でもありました。
朝鮮戦争により日本に特需がもたらされます。戦争により物資が必要になったアメリカから大量の注文を請け負うことで、日本は好景気となります。しかし多量の物資供給により物価上昇がすすみ、日本に再びインフレがおとずれようとしていました。
講和は、日本の経済的自立が前提です。独立を果たしたところで財政破綻を起こしてしまいます。大蔵大臣である池田にまたもや日本の未来が懸かります。そして同時期、吉田総理大臣とアメリカ特使のダレスによる講和に向けた対談がおこなわれていました。

4巻では、こんな勉強ができました。(以下、内容のネタバレを含みます)

①ポツダム宣言

作品中に強力な効力があるものとして、たびたび出てくる「ポツダム政令」という言葉。これはポツダム宣言に基づいてGHQが出す指令という説明がされます。ポツダム宣言とはどういったものでしょうか。

ポツダム宣言とは、1945年7月に開かれたポツダム会談で協議され、同年7月26日にアメリカ、イギリス、中国の3国首脳により日本に対して発せられた降伏勧告の宣言です。日本がこれを受諾したことにより、第二次世界大戦は終結しました。
日本が戦争の渦中にあった、敗戦国となったことは、私の年代でその実感が感じられないのですから、娘の年代ともなるとほんと昔話のような感覚になるのではないでしょうか。再び大きな苦しみや悲しみが起こらないよう人類として決して忘れてはならないこととして、伝えていかなければならないことです。

②サンフランシスコ講和条約

池田勇人、吉田茂など各人の尽力によりついに講和条約の日程が決まります。これは日本が占領下から解放され独立を果たすことを意味していました。国民の期待を背負い、池田は吉田らとともにサンフランシスコへ向かう5巻に続きます。

サンフランシスコ講和条約は、対日平和条約が正式の名称で、日本と連合国48との間に結ばれた第2次大戦終結のための平和条約です。この条約の発効により、連合国による占領は終わり、日本国は主権を回復しました。1951年9月8日調印、1952年4月28日発効。
70~80年前には日本は占領下にあったことを改めて知ることができました。そして現在の平和国・日本は、GHQと戦後日本政府が時に対立し、時に探り合い、時に協力しながら、並々ならぬ尽力があったと思わせられた作品でした。

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