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武梨えり『かんなぎ』|絶対に忘れられない漫画が、そこにはある

御厨仁が彫った木彫りの像に "ナギ" と名乗る女神が宿った。外見はかわいい女の子だが、ハチャメチャなナギに仁の日常は徐々に浸食されていく!?

女神を名乗る美少女に日常を振り回されるラブコメお決まりの展開で、読んでいて安心する。これまた都合よく、仁は一人暮らしで幼馴染もいる。三角関係、四角関係、そこに男子も混じって(?!)、王道のラブコメを読みたいと思ったときにはオススメの作品だ。ただ、自分にとっては単なるラブコメだけではなかった。神は、信者から信仰を集めることで力を増す、偶像・アイドルであることが理想だという話が、改めて言語化されると面白かった。自分は無宗教で、何の信仰も無いのだが、神めいたものは、たぶん、どこかしらの意識にはあるのだと思う。昨今はアイドルブームだが、そのようなアイドル信仰も、アイドルにとってもファンにとっても、生きる力強さに繋がっていると思う。自分は今日まで事故もなく病気もなく、30 年以上も五体満足に無事に生きているのだが、それを神のご加護があった、と思うか、単なる偶然と捉えるか、人それぞれだとは思うのだが、無意識に、何かの加護を感じているように感じる。具体的に頭になくても、漠然と、例えば、守護霊とか。『彼方のアストラ』で、宗教を廃止し神の概念をなくしたという話が出てくるのだが、おおっぴらに宗教が普及されないだけで、心には何らかの信仰があって、それは断絶できていないと思った。その対象はアイドルだって身近な人だっていいわけで、その想いが生を強くする。お気楽な気持ちでラブコメを読んだつもりだったが、目から鱗だった。

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