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森下裕美『少年アシベ』|絶対に忘れられない漫画が、そこにはある

声がでかくて元気な少年、アシベ君はある日、トラックから落ちてきた白い生きものを拾う。それはゴマフアザラシの赤ちゃんだった。「ゴマちゃん」と名づけ、アシベの家族の一員となる。大工の父ちゃん、クールな母ちゃん、転校してしまったアシベが恋しいスガオ君…。

小学生の頃は、夏休みになると『少年アシベ』のアニメを観る、が決定事項だったという記憶が強い。同級生たちのあだ名も、自然と『少年アシベ』の登場人物たちから拾ったものが多くなっていた印象だ。今になって思えば、ゴマちゃんも含めたあの家族の温かい感じが、凄く羨ましかったのかもしれない。私はペットを飼っていなかったし、母親もパートで夜まで帰って来なかった。凄く理想的な、楽しい家族。アシベがあんな良い子に育つのがよく分かる。生きることに疑いのないアシベが眩しかった。成長したアシベにいつか出会えることを心待ちにしていたが、『青少年アシベ』は、森下裕美に描いてほしかった。

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