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女性が怒った炎上CMと、女性が許容する作品をめぐる考察

昨日、「Domani」の広告について書きました。

「女性差別的だ」と感じたのをきっかけに炎上した案件について、まとめよう、まとめよう…と思いつつ月日が過ぎております。

まとめるとしたら自分のブログでまとめます。いま、2週間連続で書いてますが、やっぱりnoteは書きにくい。

女性が怒った炎上CMについて

軽く調べてメモってみました。2014年からで15件ありました。

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調査不足な2件

私は知らないんですが、2019年に女子ハンドボールの広告?とTOYOTAの運転に関するPR?で一悶着あったらしいです。これも調べて追加します。

女性は怒ってばかり?

「Domani」の件について調べているとき、「女は怒ってばかりだ」という声も見かけました。「センシティブすぎる。またか」と。

その方がどういった光景を見て発言したか、細かいことは分からないのですが、「Domani」に関しては「女性差別的」というよりは「個人の好みの問題」だと私は思います。

ただ、多いんですよ。とにかく多いんです。女性差別的というか、性別役割分業に則った旧時代的な広告が。

これは個人の感想ですが、そういった広告を見ると「価値観を押し付けられている」ようにも感じますし、そういった従来的価値観をなくしたい、次世代に(自分の子供に)引き継がず改善したいという気持ちになります。

女性側の気持ち

私は、毎回批判する女性の「うんざりした気分」「ま た か 」感にも共感できます。そして、毎回毎回で、「またか」と思っても、失望しても、声をあげ続けないといけない。

上にあげたのはCMについてですが、これ以外に「あたしおかあさんだから」みたいな歌詞についてだったり、『ゆらぎ荘の幽奈さん』に関する議論があったりします。(「キズナアイ」については別の問題ですから…)

ゆらぎ荘の幽奈さん

ジャンプで連載しているお色気全開のマンガです。

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2017年頃に「巻頭カラーで裸に近い女性を描くのはありか?」といった議論、2018年に「ジャンプフェスタの展示物としてどうなのか?」といった議論がありました。(詳細はググってください。)

幽奈さん、私は1巻しか読んでませんが、絵がかわいらしく、話も面白いと思いました。主人公の男子高生(コガラシ君)も男前で好感度が高い。女の子たちもかわいい。女性が裸になる場面が多いですが、「エロいから人気」とは思いません。

ただ、「あの作品はゾーニング/レーティングとして全年齢・老若男女問わず読める状態で良いのか?」といった議論・批判もあって良いと思います。

ファンの気持ちに配慮しているか?

一方で、議論・批判する際、ファンである方々の気持ち、「好きな作品を否定される人の気持ち」を想像する、配慮する必要は感じます。ファンとしては「議論の果てに、作品の存在が消される可能性」を想像してしまうと思います。実際、過去にそういった作品(PTAによる焚書や規制の対象となった作品)はありました。正直、ファンの方にとっては、気持ちが良い行為ではありません。

「自分たちの不快を分かって欲しい」のであれば、まず、相手の(この場合は幽奈さんのファンの)気持ちに配慮する必要があるのではないでしょうか?

また、『幽奈さん』の表現について、本気で改善を求めたい、未成年に適切でないと考えるのであれば、SNSでつぶやくのではなく、出版社(集英社ジャンプ編集部)に問い合わせるべきだと考えます。あの作品を支持する読者の責任ではなく、作り手側・発信側の責任を問うべきでは。

現在のSNSを用いた批判は、ジャンプ掲載の目立つ作品をDisってるだけに見える。瞬間的な消費、うっぷん晴らしと捉えられても仕方ないと思います。

表現規制でもあり、いくつもの問題が絡む

また、幽奈さんの問題は

・表現規制である

・過去にPTA等が一方的な表現規制を行った歴史がある

・「女性差別」「痴漢等の犯罪を助長する」等の主張には根拠が弱いと感じる

・「週刊少年ジャンプの巻頭カラー」は公共の場としてどのレベルか?を議論する必要性がある

・セックスシーンをもろに描いてるBL、TL、少女漫画を批判していない(主張に一貫性がない)

・電車内吊り広告等、公共の場での規制、批判が先では?

…といった、複数の論点、歴史観が重なる問題なので非常にややこしい。

男性側、ファンである読者が納得いかない気持ちも理解できます。批判する側に一貫性がない。単に、目立つからたたいているように見える。

私個人として幽奈さんを批判する前に、電車内の広告(写真だけでなく、キャッチコピー等文字も含む)やBL、TLの”自主規制”を求めることが先だと思っています。幽奈さんファンに限りませんが、書店でBLやTLの棚を見てる人は、馬鹿馬鹿しくて話し合いのテーブルにつく気にはならないでしょう。

セックスシーンがあるけど、全年齢が買えるBLやTL

女性が読む、女性が好む、売れているBLはどれだけ激しいセックスシーンであろうが、セックスをイメージさせる扇動的な表紙であろうが、Twitterで責められる場面を見かけません。”野放し”で全年齢向けに販売されているように感じます。

例えば、書店ではBLの棚を目にする男性、性的に消費される男性の気持ちを配慮しているとは思えません。

TL(ティーンズラブ、女性向けのセックスシーンを含む創作漫画)なんて男性向けよりエロいのにKindleなど電子書籍で読めちゃいます。でも、批判は見かけない。矛盾しています。

以下より、表紙画像を転載しますが、「全年齢向けコミックの表紙としてありなのか?」を問うのが目的です。内容は読んだことありません。「作り手側の自主規制が出来ていると思うか?」を問いたいだけですのでご留意ください。

ちなみに、Amazonで「BL」「TL」で検索→表示されたものの中から「露出が多い(肌色が多い)」と思われるものを選んでいます。そのため、私の恣意が含まれていますので、その点はご留意ください。

※特に男性が見ると気分悪くなるかも知れないので、一応改行します



最近のBL、TLコミックの表紙

私は表現の規制は出来るだけ行うべきではないという思想ですが、最近のBL、TLは自主規制を行っていないように感じます。売れればいいと思ってるのかな~?

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以下はTLです。かわいらしい表紙ですね。でも、水着がオッケーなら下着もオッケーだよね!みたいな開き直りを感じるような…。水着に関しては、グラビアアイドルの女の子は、無理矢理水着にさせられたとか、水着になるの嫌だったとか色々な情報を発信してるし、ミスコンなどで水着審査は必要ないといった議論もあるのですが…。マンガなら許される話なのでしょうか。

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細かい指摘ですが、「SM」といった言語表現は全年齢対象作品の表紙でもOKか?といった議論を、作り手はしているのでしょうか。

この辺を批判することなく、幽奈さんを批判しても、一貫性がない。

私は男性も、幽奈さんのファンも、「思いつきではない、一貫性がある指摘をする人」には一目を置き、意見に耳を傾けると思っています。彼らも真剣であり、話を出来るだけの知識と良識を持つ女性が少ないと感じているだけではないでしょうか。

同人誌の方がしっかりやってる”自主規制”

同人誌だと、R18といった表記をし、場合により身分証明書を求めるサークルさんもいます。「とらのあな」「メロンブックス」といった販売店でも18禁かどうかは区分けしています。

個人個人で描く同人誌は、二次創作が多いといった事情もあるでしょうが、「みんなで楽しむため」「この楽しい場を継続させるため」に自主規制しようという方も多いのではないでしょうか。

商業出版の方が自主規制が出来ていない現状が不思議です。その作品が目立てば、それで良いのか。

公平性を保つには?

女性と男性の公平性を求める場合、感情の部分と論理の部分は切り離す必要を感じています。出来るだけ、数値的な結果や根拠、事実をもとに説明する必要があります。

例えば「キズナアイがノーベル賞紹介サイトに登場するのは適当かどうか」といった議論というか、フェミニストを自称する方が付け火をするような騒動がありましたが(私の認識ではそう)、ああいったことや、今回指摘したBL・TLの表紙の件など、一貫性がなくダブルスタンダード主張を”批判”として繰り返していると、(主語が大きいですが)「女性の権利ばかり主張すんじゃねーよ」と言いたくなる男性は増えるのではないでしょうか。話し合いのテーブルにつく気がなくなる。

「Domani」や「炎上CM」から大きく話がズレてしまいましたが、「女性が表現にして怒る」場合、私憤が少なくない。一方通行でダブスタな場合も多いと感じています。

多様性のある世の中

私が目指したいのは「男女平等」ではなく「ダイバーシティ」、多様な社会です。

多様な世の中になるのは大変ですね。自分の好きなもの、嫌いなもの、その理由を具体的に知る必要があるし、嫌いなものの存在を肯定する必要がある。

つまり、嫌いなものについて発言する際、差別的な発言をしないよう気を付ける必要、労力が生じる。

多様な世の中は素晴らしいけど難しい。そんな風に思います。

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