【GROOVE X】完璧じゃないからパートナーになれる~人間とロボットの未来~【後編】
近い将来、この家族の様にロボットと暮らすのが当たり前になるかもしれない。未来のロボットについて、皆さんはどんな想像をしているだろうか。
『ドラえもんのような人類のパートナーになるロボットが誕生するのでは?』と期待する人もいるだろう。
逆に『反乱を起こしたロボットに人間が支配されるんじゃないか?』と不安になる人もいるかも知れない。
明るい未来も悲観的な未来も、様々なSF作品で描かれているが……。
実際はどうなるのだろうか?
LOVOTの将来像や人間とロボットの関係性がどうなっていくのかについて、前編に続きGROOVE Xの林要代表に聞いてみた。
■『役に立たない、でも愛着がある』から『役に立ち愛される』ロボットに
「今後はロボットの強みを活かして人間の生活を手助けしていきたい」と林さんは言う。
2020年の現時点でもLOVOTは多様なセンサーとAI技術により、『相手は誰なのか?』まで認識できる、極めて高性能なロボットだ。そしてその性能はさらに拡張されていくという。
一緒に暮らす人間の健康状態をチェックして疾病を早期発見したり、生活面でのアドバイスができるようになることを目指しているらしい。
また、長期的に家の中で人の姿を見かけなかった場合、家族や警備会社などに連絡するといった機能の実装も考えている。これが実現すれば一人暮らし高齢者の孤独死対策にもなるだろう。
一方で林さんは、LOVOTをより愛されるロボットとしても進化させたいと考えているらしい。
犬や猫、鳥などの特徴をさらに取り入れていき、より愛着が持てるような家族型ロボットにしたいという。
つまり、最終的にLOVOTが目指している姿は『ペットのように愛されながら飼い主を助けるロボット』なのだ。
では、さらにその先の未来はどうなっているのだろうか?
2045年、AIが人間の知能を超える『シンギュラリティ(技術的特異点)』が起こると言われている。
もしこれが実現した場合、家族型ロボットはどう進化しているのだろうか?
■『完璧じゃない』からこそ真のパートナーになれる
シンギュラリティが起きた後の世界では、話の文脈まで理解して、人のように会話・意思疎通できるロボットが登場するかもしれない。
そんな世界で林さんが作りたいと考えているのは、そばにいて人間をサポートしてくれるロボットだ。
ただ、それは仕事や家事を全て任せられるような完璧なロボットではない。
ドラえもんのように、役に立つけどたまに失敗もするから愛着があり、それでいて子供の成長を促してくれるようなロボットを作りたいということだ。
「ドラえもんが完璧じゃないからこそ、のび太は成長できると思うんです」と林さんは言う。
ドラえもんは人と同じように失敗するから、のび太が完璧なロボットと自分を比較して落ち込むこともない。
ひみつ道具も完璧ではないから、のび太は『自分自身の力で頑張らないと!』という気持ちになれる。
『人の代わりに仕事はしない、でも愛着がある』 LOVOTを生み出した林さんだからこその考え方と言えるだろう。
■人間とロボットの関係性はどうなるの?
未来のロボットがドラえもんのような人間のパートナーだけとは限らない。
人類に敵対的なロボットが登場した場合のことを考えてみよう。
そう遠くない未来、ロボットは人間の能力を超えるかも知れない。
その時もしロボットが反乱を起こしたら、ターミネーターのスカイネットではないが、『ロボットが人間を支配する』なんて世界がやってくるのではないか?
この懸念に対して林さんは、
「進化したロボットは人間より強いかもしれません。ただロボットを進化させるのは人間であり、テクノロジーがオープンであれば『ロボットが人間を支配する』世界にはならないと思います」と語る。
あるロボットやAIが人間に牙をむくとすれば、それは悪意を持った人間の仕業に他ならない。その時誰もがテクノロジーを活用できる状態であれば、ロボットと協力して悪に立ち向かう正義の味方がきっと現れるはずだ。
ロボットやAIは人類の敵ではない。
というより、それらが人類の味方になるか敵になるかは人間次第ということだ。
そしてテクノロジーがオープンである限り、ロボットは私たちの友人や家族と同じように、かけがえのないパートナーになってくれるだろう。
それにより私たちの生活は豊かになり、人類が直面する様々な課題の解決にもつながっていくのではないだろうか。
漫画=岡部閏(@okb0803)
取材・文=茶谷葉(@tyatani_you)
編集=中嶋駿
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