マガジンのカバー画像

独断的聖書解説

10
カトリックのクリスチャン歴50年。 言い方はだいぶ酷いけどそう間違ってないはずの聖書解説詰め合わせです。 ぼちぼち増やしていく予定。 読後の感想につきましてはノークレームノーリタ…
運営しているクリエイター

記事一覧

ワタクシ的典礼暦解説:前編

この典礼暦解説は私がかつてやっていたブログに2005年の年末に掲載したものに若干の加筆修正を加え、長めなので前後編に分けたものです。 ++++ キリスト教のカレンダーを「典礼暦」といいます。典礼暦でぐぐってみればいくらでも情報はあるのですが、まあ、自分なりの整理をしながら典礼暦の一年をご紹介します。間違っていると感じるところとか、違和感とか、あるとは思いますがご容赦ください。・・・「意見の相違」や「宗派による理解の差」ではないあきらかな間違いは、コメントいただけると嬉しい

ワタクシ的典礼暦解説:後編

この典礼暦解説は私がかつてやっていたブログに2005年の年末に掲載したものに若干の加筆修正を加え、長めなので前後編に分けたものです。 ++++ さて、クリスマスが終わって、寒いながらも平凡な日々を過ごしていると、イースターが近づいてきました。「灰の水曜日」から四旬節がはじまります。 四旬節: 復活祭を準備する40日間。受難節とも呼ばれます。「灰の水曜日」から始まり「聖木曜日」に終わります。 冬の終わりから春にかけて、人が神によって作られたものであること、その救いのため

復活節の福音から。:走れ、ペテロ!(復活の主日)

週のはじめの日、朝まだき暗きうちに、マグダラのマリヤ墓にきたりて、墓より石の取除けあるを見る。 乃ち走りゆき、シモン・ペテロとイエスの愛し給ひしかの弟子との許に到りて言ふ 「たれか主を墓より取去れり、何處に置きしか我ら知らず」 ペテロと、かの弟子といでて墓にゆく。 二人ともに走りたれど、かの弟子ペテロより疾く走りて先に墓にいたり、屈みて布の置きたるを見れど、内には入らず。 シモン・ペテロ後れきたり、墓に入りて布の置きたるを視、また首を包みし手拭は布とともに在らず、他のとこ

復活節の福音から。:かわいそうなトマのはなし(復活節第二主日)

カラヴァッジオ「聖トマスの懐疑」(1599年頃 サンスーシ宮国立美術館) この日すなはち一週のはじめの日の夕、弟子たちユダヤ人を怖るるに因りて、居るところの戸を閉ぢおきしに、イエスきたり彼らの中に立ちて言ひたまふ「平安、汝らに在れ」 かく言ひてその手と脇腹とを見せたまふ、弟子たち主を見て喜べり。 イエスまた言ひたまふ「平安、汝らに在れ、父の我を遣し給へるごとく、我もまた汝らを遣す」 かく言ひて、息を吹きかけ言ひたまふ「聖霊をうけよ。汝ら誰の罪を赦すとも其の罪ゆるされ、誰の

復活節の福音から。:ゆふぐれのエマオへの道で(復活節第三主日)

カラヴァッジオ「エマオの晩餐 」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵、1601年) この日二人の弟子、エルサレムより三里ばかり隔りたるエマオといふ村に往きつつ、凡て有りし事どもを互に語りあふ。語りかつ論じあふ程に、イエス自ら近づきて共に往き給ふ。されど彼らの目遮へられて、イエスたるを認むること能はず。 イエス彼らに言ひ給ふ「なんぢら歩みつつ互に語りあふ言は何ぞや」かれら悲しげなる状にて立ち止り、その一人なるクレオパと名づくるもの答へて言ふ「なんぢエルサレムに寓り居て、獨

独断的聖書解説:過越「聖なる羊喰いの3日間」

さてさて、今年も主のご復活おめでとうございます、 ご存じの方も多いと思いますが(そんなこともないのかもしれませんが)聖週間の木・金・土、この3日間はまとめて「聖なる過越の3日間」と呼ばれます。 「過越」はもともとエジプトに隷属していたユダヤ民族の独立を記念する行事です。先週書いた「モーゼ、海を割る」で有名な、いわゆる「出エジプト」のエピソードの1つです。 神はモーセを通じてユダヤの民の開放をファラオに要求させ、それを呑まないと様々な災いをエジプトにもたらします。これがもう

独断的聖書解説:聖木曜日「入信確認」

さて皆様、今日は聖木曜日(Holy Thursday)。本日より聖週間の典礼が始まります。 ミサ(聖餐式=エウカリスト祭儀)の原型となる主イエズスとの最後の食事、いわゆる「最後の晩餐」を記念する日です。そして、この日のミサの最後に聖堂に普段安置されている様々な祭具が片付けられ、十字架のイエズス像には布がかけられ、常に教会にキリストがいらっしゃることを表す「聖体ランプ」といわれる明かりが消され、世界は復活の光に照らされるまでのあいだ闇に閉ざされます。 ちなみに、カトリックに

独断的聖書解説:聖金曜日「十字架につけろ!十字架につけろ!」

今日は聖金曜日(Good Friday)。 教会に復活されたキリストの存在がなくなるこの日はミサは行われません。 ただ、信徒たちは磔刑に処されるイエズスの苦難を想い、その死の意味を考え、わが身を省みるために聖堂に集まります。 たとえば、この日の聖書朗読。一種の朗読劇スタイルで行われます。 ++++ ピラト、ユダヤ人に言ふ「視よ、汝らの王なり」 彼ら叫びて言ふ「殺せ、殺せ、十字架につけよ」 ピラト言ふ「われ汝らの王を十字架につくべけんや」 祭司長ら答ふ「カイザルの他、我

独断的聖書解説:復活徹夜祭「エクソダスだよ!全員撲殺!」

はい、聖土曜日(Holy Saturday)でしたね。 教会は主の受難と復活をしのび、祭壇の飾りを取り除き、ミサもささげることなく、一日中復活徹夜祭の準備をします。日が没すると(古代ユダヤでは日没で日付が変わります)イースター。真っ暗な中で復活のろうそくと呼ばれる大ろうそくに火がともされふたたび「キリストの光」に世が照らされたことが高らかに宣言されます。 ちなみに英語圏で聖土曜日をBlack Saturdayと呼ぶ習慣は、この「世界がキリストの光に照らされていない日」とい

独断的聖書解説:復活祭「推しの墓に泣きに行く。」

さあ、復活祭!イースターですよー。 通常は春分の日のあとの最初の満月に最も近い日曜日。 日本ではキリスト教最大のイベントはクリスマスだと思われているようですが、本当はこちらが最大のイベントですからね? 復活の主日のミサの福音朗読はヨハネ福音書20章1-9節がまあ定番ちゃ定番なんですが「キリストが復活して墓からいなくなっている」エピソードは4つの福音書それぞれにありまして各年の復活徹夜祭の福音(マタイ28章1-10節、マルコ16章1-7節、ルカ24章1-12節)を主日に朗読し