『はじまりのうた』プレイリストを人に見せる

土曜日、うちに友人が来た。
最近も外で会ってはいたけれど、家に誘う機会はなかったので、自宅に自分以外の人が入るのはかれこれ一年ぶりになる。

友人を家に招くのが好きだ。
部屋から出ずに遊べて最高だし、時間を気にせずに過ごせるのもいい。
なにより人が来る前には必ず掃除をするので、一気に部屋が綺麗になる。

そんな休日だが、少し恥ずかしい事があった。

友人がうちのアレクサでイントロドンを始めたのが想像以上に盛り上がって、2時間以上も遊んでいたのだが、
ながれでアレクサに入っているステーションをみんなが聞き始めたのだ。

ステーションというのはApple Musicの機能で、
ユーザーのプレイリストからその人が好きそうな音楽をかけてくれるというものである。

よく聞くアーティストの他のアルバムだったり、最も再生しているジャンルの有名曲だったり。
要するに、プレイリストの拡張版である。

さらに友人が本棚を見ながら、「人んちの本棚見るの楽しい。ずっと見ちゃうね」と言った。
本棚に入っているのは漫画から学術書まで、一応人に見せてもいいようなラインナップではあるのだけれど、その一言で無性に恥ずかしくなった。

というか、本棚とプレイリストって。
それはもう実質「自分」なのでは。

裸やレントゲン写真よりももっとダイレクトに内側を見られている感じがする。

脳裏に浮かんだのは『はじまりのうた』という映画だった。

この映画に、知り合って間もない男女が、お互いのプレイリストを聞きながら街を歩き回るシーンがある。

すごく印象的で良いシーンだ。

センス。趣味嗜好。普段出さない一面。
プレイリストにはすべてが詰まっている。

それを晒け出すことで、ラブシーンより遥かに深く彼らが通じ合ったのが分かる。

うちに来た友人たちも中学からの付き合いなので、本棚とプレイリストを見せられるくらいには信頼している。
いやむしろ、何ならちょっと見てほしいくらいの気持ちがあったのかもしれない。

ただ、ひとつだけ。
我が家の押し入れの中に、隠れた本棚があることは秘密のまま……。


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