『パターソン』と丁寧な暮らし

先日、オンライン読書会に『暮しの手帖』を持ってきた人がいて、その斬新なチョイスに心を打たれました。

読書会はみんな「今まで読めていなかった名著を読むぞ」と意気込むので、学術書や厚めの小説が揃いがちななか、『暮しの手帖』は異彩を放っていた。

その人が「こういう丁寧な暮らしを見るのが好きなんですよね。手芸とか、インテリアとか。見ても何もしないんですけど」と言っていた。
すごく共感した。

人の暮らしを覗き見るのが好きだ。

住宅街を散歩していて、アパートの窓辺の柵に小さな植木鉢が並んでいるのを見つけたりすると、きゅんときます。

近所に、室外機が雨に濡れないよう、犬小屋ならぬ室外機小屋を建てている家があって、絵本に出てきそうなグリーンのその小屋を見るたびにいいなと思う。

「あ、この家のポストDIYしてる。しかも白い木箱だけど、投入口だけ赤く塗ってある」

そういう人の生活に垣間見える、ちょっとしたこだわりを見つけるのが好きです。

映画でいうと、『パターソン』がその感覚に近いかもしれません。

この映画は本当に何も起きない、“暮らし”の映画です。

月曜日、火曜日、水曜日……と同じような、ちょっと違うような日々が続いて、また月曜になる。
それだけなのに、不思議と愛おしくてたまらないのです。

しかも、『スター・ウォーズ』シリーズではバリバリの悪役を演じているアダム・ドライバーが主演なので、そのギャップがさらに主人公をかわいく見せます。

これを読んでくださっているあなた。
もしほかにも、こういう暮らし系(?)の映画をご存じだったら、ぜひ教えてください。


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