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帝都スナップ

猛暑が続き外出する気になれない夏休みだ。
だが先日せっかく新しいカメラを買ったのに家にいるだけでは勿体ないので、写真を撮りに出掛けることにした。

https://note.com/manbougasuki/n/nd4e82d526b1f

新しいカメラでまず撮りたいと思っていたのは都会の風景だ。
それは素直に東京が好きだからだ。発達した交通網とビル群、そこに数多の人々の生活があると思うと高揚する。活気があってすぐに流行でも文化でも享受できる東京という環境が好きだ。
とはいえ都民でありながら区外に住む私にとって都心の景色にはある種の憧れもある。未だに電車で都心へ上っているときは気分が上がる。好きという感情だけでなく憧憬の念も込めて都会を撮りたかった。

ところで「東京」と聞いて連想するものは何だろうか。
東京タワーとかだろうか。最近だと渋谷スカイとか麻布台ヒルズとかの超高層ビルもある。いろいろあるが、個人的には古くから存在する建築に関心がある。都内には戦前の建築や遺構も少なからず現存していて、歴史がありながらモダンなそれらの建築を観ると、正しく「帝都」東京の威厳という感じがする。
今回都内に写真を撮りに行ったが、やはり被写体は自然と戦前の建築物になってしまった。タイトルの帝都スナップとはそういう意味だ。

東京メトロ24時間券が都内をまわるときに便利。破格の600円。


まず向かったのは聖橋ひじりばしだ。
神田川に掛かる橋で、御茶ノ水駅に隣接している。関東大震災の後、1927年に完成。当時では斬新であろう鉄筋コンクリートのアーチ橋だ。
公募で名前を決定したらしいが、橋の一方に湯島聖堂が、一方にはニコライ堂が在り、そられを結ぶ橋としてひじりと命名した人が多かったと考えられるそうだ。異なる宗教の施設を結んで聖橋ってのに感嘆する。

聖橋。今から100年近く前にこのデザイン。たまらない。
隣の御茶ノ水駅が工事中で残念ながら今はいい感じの写真が撮れない。

聖橋付近は有名なフォトスポットだ。
神田川に沿ってJRが走り、その下を地上に出てきた丸ノ内線が交差し、聖橋をくぐる。ここまで張り巡らされた路線網は東京だけなのではと思う。

聖橋付近から撮る。丸ノ内線2000系がかわいい。雲行きが怪しい。

このような感じで写真を撮っていたら突然の雨。どんどん雨脚は強まってゲリラ豪雨みたいになっていた。新しいカメラを濡らす訳にもいかず、急いで聖橋の下に避難して雨宿りをした。

突然の雨に困ったが、96歳になる聖橋の下で雨宿りなんて少しロマンチックだなあとも思った。

豪雨はすぐに去り、また強い陽が射し込む。
周囲を歩く人々が空にスマホを向けているので、私も空を見上げると虹がかかっていた。

聖橋から撮る。

息を吞むほど素敵な景色だった。写真を撮りに来てよかったと心から思った。これぞ瞬間を撮るスナップ写真の真髄だろう。
カメラを向ける人々の顔が明るかった。虹は明るい気持ちを通りすがりの人と共有できる。


聖橋でいい写真が撮れて満足したのでその後、東京駅に向かった。

いつ見ても立派な駅舎。

1914年完成の丸の内駅舎。ああこれぞ帝都東京の威厳という感じだ。
2000年代に再開発が進んだ丸の内のビル群が背後に建っているのも対照的で美しい。

さっきの雨での水溜りだろうか。リフレクションを撮る。


24時間券の元を取るためにも近辺の駅にも降りようと思い、京橋駅へ向かった。
京橋駅には、ホームに昔の柱が残っている。

京橋駅のホーム。後ろには銀座線の1000系。

Zfcを買った投稿で銀座線を撮りたいと書いたが、銀座線は全駅にホームドアが設置されているので車両を単体で撮るというのは難しい。なので京橋駅の柱は銀座線をバックに撮るので都合がよかった。
1927年に開業した銀座線(日本初の地下鉄)は、その古さを感じることのできる路線だ。
ホームは天井が低く狭いし、柱も写真のようにリベットが打たれている。
車両も一般的なものと比べて小さく、東京の中心部を走るのに輸送力は貧弱だが、それもご愛嬌でかわいいと私は思う。2012年にデビューした銀座線の1000系は車体全体がオレンジで目を引く。これは旧1000系を踏襲したレトロなデザインだからだ。
昔の遺構やデザインを大切にする東京メトロの価値観が私の感性にとても刺さる。いい会社だ。


あと、銀座に降りたりもした。東京も京橋も銀座も距離が近い。

銀座和光。35mmいいかもしれない。



こんな感じで私のニューカメラZfcの外撮影デビューは帝都スナップだった。
ひとりでカメラに没頭するのは楽しかった。あとやっぱり東京が好きだ。
また帝都スナップしたら更新したい。


おわり


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