星が導く縁を信じてみたくなる世界
去年の今頃、友人から「おもろいの見つけた」というメッセージとともに、この作品を教えてもらいました。
不眠症(=インソムニア)に悩む高校生の物語。主人公ガンタはひょんなことから天文部の部長となり、星空撮影をすることで眠れない夜に自分らしく過ごす時間を見出していきます。学校の天文台で出逢うイサキとの恋模様はこれぞアオハル!とアラフォーの胸をカルピスソーダで満たしていくからもう大変(笑)
石川県の能登が舞台で、周辺の街や名所も出てきます(街並みを描く背景がとても丁寧で素晴らしいです)。カメラを持って訪ねたくなる、夜空を見上げたくなる作品です。パッと見て絵柄が好みだったのもあって、教えてもらってすぐ既巻を読破しました。
私が好きなキャラクターは学校の保健室の先生であり、天文部の顧問である倉敷先生。クールな見かけでちょっとアンニュイというかミステリアスというか。熱血教師とは正反対。生徒に踏み込み過ぎず、でも抑えるべきところは抑える。電子タバコを吸い、酒豪でもある一面が先生という立場である前に、ひとりの人間という感じがしていいなと。
この倉敷先生がふとしたところで発する言葉にハッとします。学校に泊まり込んでの夜間観測会が暴風雨で中止になって落ち込むガンタに放ったこの台詞は、今の時勢も相まって刺さりました。
そう言い放った直後に天文台でお菓子食べながらゲームを始めるんだからこの先生最高です。
そうなんですよね。動かせるのも自分だけだし、変えられるのも自分だけ。他人や世界をどうこうできる力なんかないんですよね、人には。
なんでこんな想いをしてるんだろうと思うようなことがあったり、それで落ち込むことがあっても、その大抵のことは半径3m外のこと。だからしょうがないぞ、自分にできることをしろ!と言い聞かせる日々です。
ほかにもクラスメイトに迷惑をかけたと落ち込むガンタに
と言ってみたり、星空写真のコンテストに作品を出すことに「恥をかくだけですよ」と躊躇する撮影初心者のガンタに
などなど、大人の私でも「おっ!」となる言葉が出てくる。この先生、どんな人生を歩んできたのか、この先明かされることがあるのか、ひそかに楽しみにしています。ストーリーや登場人物の心象表現に緩急があって、ただのアオハル物語ではないところに惹き込まれます。
出版社のサイトでは各巻ためし読みができます。タイミングによりますが、電子書籍各サイトで無料配信キャンペーンなども展開されています。リンク先の出版社のサイトで電子書籍を購入するボタンから各社へのリンクページに飛べるので、ご確認いただければ!また、公式ツイッターに第1話が掲載されているので紹介します。
今年1月最新第8巻が発売になった際に、テレビアニメ化と実写映画化のダブル映像化が発表されたばかり。モノクロの世界に色がのって、声がのって、どんな世界が広がるのか楽しみです。
星空撮影は難しそうだな、ハードル高いなと思ってたけど、この作品に出会って、チャレンジしてみたくなりました。真脇遺跡で撮れたら最高だろうなぁ。まずは三脚を買うところから……!