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『松山文学散歩 夏目漱石 編』(中央大学公式YouTube)

忙しい先生のための作品紹介。第28弾は……

「知の回廊」知の回廊 第35回『松山文学散歩 夏目漱石 編』(中央大学公式YouTube 2010年)
対応する教材    『坊っちゃん』
                               文学史(夏目漱石)
上映時間      28:36
原作・史実の忠実度 ★★★★★
読みやすさ     ★★★☆☆
レベル       ★★★☆☆

作品内容

 中央大学が監修をしている放送番組シリーズの、夏目漱石編です。『坊っちゃん』の舞台とも言われ、実際に漱石が中学校の教員を勤めた、松山での漱石の暮らしぶりが30分程度の動画にまとめられています。

 冒頭は漱石の母校である東京大学から始まりますが、7:30あたりからは、実際に松山の漱石ゆかりの地を巡りながら、教員時代の漱石や、松山出身の正岡子規との交友関係などについて、説明されています。

おすすめポイント「『坊っちゃん』の聖地巡礼の旅」

 コロナが流行し始めて早1年超。ずいぶん旅行にも行っていないという方も多いのではないでしょうか。『坊っちゃん』の舞台である松山の映像を見ると、いつか訪れてみたいと感じるはずです。「松山は、漱石にとって癒しだったのではないか」という話が出てきますが、この言葉の通り、路面を走る「坊ちゃん列車」や道後温泉の様子を見ていると、とても和やかな気持ちになります。さらに、途中に「愚陀仏庵」で繰り広げられる話から、教員としての夏目漱石のエピソードを知ることができるのも面白いポイントです。

 作品の舞台となった場所をめぐる「聖地巡礼」は数年前から話題に上がるようになりましたが、この映像をきっかけに、漱石が実際に暮らした場所で『坊ちゃん』の聖地巡礼をしたくなること間違いなしです。

授業で使うとしたら

 漱石は松山での経験を通して、『坊ちゃん』を執筆したと言われていますが、実際に松山で暮らしたのは明治28年の約1年間です。漱石の作品は教材に使われることが多いため、その経歴を扱う機会は度々あると思いますが、松山時代を多く扱うことはないでしょう。そのため本動画は、漱石の経歴について学ぶ際の参考動画としてはやや限定的な使い方になりそうです。たとえば『坊ちゃん』の参考動画として視聴すれば、坊ちゃんが教員を勤めた街をイメージしながら作品を読み進められるかもしれません。

 ただし、本編が約30分とやや長いため、全編を通すのには適していません。また松山での漱石について語られる場面など、映像にテロップがないので、会話部分を見るには音声が聞き取りづらいことを考慮する必要もあるでしょう。


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