『徒然絵つづり百人一首』(大田垣晴子)
忙しい先生のための作品紹介。第29弾は……
大田垣晴子『徒然絵つづり百人一首』(幻冬社 2020年)
対応する教材 『百人一首』
ページ数 127ページ
原作・史実の忠実度 ★★☆☆☆
読みやすさ ★★★★☆
図・絵の多さ ★★★☆☆
レベル ★★☆☆☆
作品内容
1ページに1首、和歌の本文に関連知識がイラストで添えられた「歌本」。小学生の娘さんに向けて書いた本とだけあって、柔らかくくだけた表現で、和歌をイメージで捉えやすい構成です。
「むすめと行く百人一首奈良の旅」のコーナーは、実際に著者が娘さんと一緒に、和歌にちなんだ場所を巡った旅の絵日記です。隅々まで何度も読みたくなるページで、真似してその旅路を辿るのも楽しそうです。
おすすめポイント かわいく、やさしく、おもしろく
ゆるい雰囲気でありながら著者の率直な感想が鋭く、和歌を思い出す時のきっかけになりそうです。
「これやこの〜」では、逢坂の関は行き交う人は皆知らない人だという点で、今で言う渋谷のスクランブル交差点みたいだ、と著者のコメントがつけられています。現代に置き換えた表現になると、なるほど確かにそうかもしれない、と身近に思えてイメージがしやすくなるでしょう。
「なにしおはば〜」では歌の中の「くる-来る-繰る」が掛詞になっていることが簡単に解説されています。ただ面白いだけの本ではないのです。こういった和歌の技法についての易しい説明は、嫌煙しがちな難しい文法に取り組むハードルを下げてくれる効果もありそうです。
授業で使うとしたら
本書は1首1ページで簡潔に書かれているので、たとえば『百人一首』の和歌を解説する際に、挿絵のように用いることができます。かるたの札のように描かれた和歌本文のイラストももちろんですが、その下にある豆知識のイラストも、その和歌を理解する勘所が示されていて魅力的です。挿絵のように用いるほかにも、「このイラストはその歌を表しているでしょう?」といったクイズもできるかもしれません。
イラストはとてもコンパクトにまとまっているので、解説プリントなどに加えると、資料のわかりやすさがワンランクアップすることでしょう。
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