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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

(36) 通勤時間が爆長くなったので毎日本を一冊ずつ読むことにした

 通勤時間を利用した読書の記録です。急に本が読めるようになって、一日二冊以上読んだ日もあった。自転車を買って、図書館でたくさんの本を借りられるようになってうれしい。

200. ルポ 医療事故

 図書館で借りた。いろんな医療事故のケースを紹介してくれる本。加湿器の中に蒸留水を入れるはずが、新人1年目の看護師さんがアルコールを入れてしまって、急性アルコール中毒で死亡した ってケースが載ってて、うちの部署の新人ちゃんとか本当にやりかねない!!!(看護師ではないが!!!)と恐ろしくなった。普段わたしは部署内で「モノを動かしたら定位置に仕舞って」「収納するときは視認しやすいように整理して入れて」って自分でもうんざりするくらい言いまくってるんだけど、それは正しいんだな。って思った。部署の新卒ちゃんにこの話をしたら、「急性アルコール中毒で死亡した」ってところでイヤ〜😖みたいな顔をしてて、そうだね、いやな話をしてしまったね…… と思った。

201. 四大公害病

 図書館で借りた。水俣病の記述は、いつもネコが出てくるところで悲しくなる。イタイイタイ病について「主婦の罹患が多かったので、長らくただの『地方病』のような扱いになっていて、広まるのが遅れた」みたいなことが書いてあって、高度経済成長期マジで最悪だと思った。これを読んだ直後に偶然「四大公害病ってなんだっけ?」って会話があって、即答できてラッキーだった。

202. 生きながら火に焼かれて

 図書館で借りた。中東シスヨルダンの小さな村で生まれた少女が、婚姻前の性交渉をしたことによって「名誉の殺人」の対象になり、義兄に火刑にされた。病院で文字通り死にかけていたところ、奇跡的に助けが!20回以上の手術を経て、現在はヨーロッパで暮らしている−−という女性の書いた自伝。少女時代のことよりも火あぶりにされてからのほうが紙面が割かれているのだけど、本人が何を考えながら生きてきたのか、何に葛藤していたのかが濃く書かれていて興味深かった。特に、初恋の男性との間に生まれた息子(その子供を妊娠したから火刑にされた)とどう人間関係を築いていくか、また現在の夫や娘たちにどうカミングアウトをするか というところは、一種の親近感すら感じさせる内容だと思う。にしても、こういう少女が騙されてしまう男って、判を押したようにイヤなヤリチンだよね……。この村の文化は強烈な処女崇拝があって、処女の少女と結婚したぞ!とアピールするために、結婚初夜の次の朝は鮮血のついたシーツを干す文化があるらしい。わたしは処女じゃなくなったとき血が出なかったから、その地域に居たらひどい目にあってるかもしれん。気持ちわる〜。

203. 自死: 現場から見える日本の風景

 図書館で借りた。人が孤独死した部屋をミニチュアにする人的なニュアンスかと思ったら、いろんな自死のパターンから日本社会を考えてみる本だった。精神薬の薬害(これって右に右折?)でむしろ希死念慮が高まっちゃうって部分に結構ボリュームがあって、「この人の言いたいことはもしかするとここなのかもしれん」と思った。これがどこかで見た「世間には精神薬を『飲まないほうがいい』と言ってくる非専門家がいる」みたいなやつか、と。まあ確かに、例えばうつ病になりやすい性格というものがあるとして、それが変わらない限り環境をどう変えてもうつ病にはなってしまうのだとしたら、そこでするべきなのは精神薬を飲んでその場しのぎを繰り返すよりも自分の認知を変えることだろう っていう発想になるのは分かるんだけど、精神科医の判断はどうなん? とモヤモヤした。つい最近も20万の自己啓発セミナーによって精神科の薬は要らないことが分かった!!これが俺の解決方法!!みたいなツイッター漫画がアホのように流行ってたけど、精神的に参ってる人がそういうのに縋りたくなっちゃうのは分かるから、マジで本当のことを教えてくれーー(床に寝転がる)。こういう話題の本はまた見つけたら読むつもり。

204. AV女優ちゃん1

 帰りの電車で読むべき本ではなかった!(笑) 峰なゆか先生のAV女優人生を綴る漫画。ビッチ=上位カーストに囲まれ憧れて暮らし、痴漢で「女の価値」を感じ、色々あってAV女優へ……。という一連の流れが濃すぎて、なゆゆ流石っす!と思った。なゆゆ好きなんだよね、お子さんを産んでからあんまり見てないけど。
 巻末に田嶋陽子さんとの対談が載ってるんだけど、なゆゆは一見下世話なトピックを語っているように見えてガチのフェミ思想でぶん殴ってくるところが最高だなと思う一方で、田嶋陽子さんの話していることは全部「知ってます」というか、「まだそこか」感が否めないことだったので、ちょっとうーんと思った。

205. ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪

 図書館で借りた。新卒の5月、初配属された部署で休憩時間に『ブラック企業2』を読んでいて、そのときの直属の上司に心配されたのを思い出す。今はわたしがその上司の立場になった。月日が経つのは早いものだ。
2012年の本なんだけど、あの頃ってTwitterがかなり勢いが強くて、ワタミとかヤマダ電機とかを吊し上げるようなものもいっぱいあったよね。ブラック企業アワードみたいなのもあった。あのときの空気を思い出した。今はもっとTwitterって、パブリックなものって印象がある。政治家が増えたからかな。
 社訓を必死に覚えさせられる、挨拶を執拗に仕込まれるなど、大学生の時に読んで「そんなんあるのかよ、マジ気持ちわりぃな」と思ったところを読み返すと、未だに「マジ気持ちわりぃな」と思えて、わたしはまだ大丈夫(?)と思った。
 冒頭に書いた『ブラック企業2』の思い出が強すぎて、『ブラック企業』は読んでなかったんじゃなかったっけ? と思って読んだんだけど、案の定読んでたわ。見覚えがあった。

206. 大卒だって無職になる "はたらく"につまずく若者たち

 図書館で借りた。働くことにつまずいてしまった若者を支援するNPO法人の理事長が書いた本。ほぼずっと会話調で、「働くところがないなんて嘘だろう。その気になればどこでも働けるだろう!」と飲み屋でうなる友人Aに、著者が若者の働きづらさについて滔々と説くというつくりになっているのだが、こうやって飲み屋で自分の仕事が偉大だって話をしたい男めちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃいっぱいいるよな…… とちょっと懐かしい気持ちになった(感染症のおかげで、もう1年くらい飲み会やってないよー)。年に1回しか会わない友達に語っているっていう設定だったけど、年1で自分の仕事の偉大さアピールはマジでやばいでしょ。それが「男らしさ」なのか? 知らんけど。読み終わって、「そもそも、『大卒だって無職になる』って言うけど、大卒で出産・育児のために無職になる女って腐るほどいるけどなー」って思った。

207. 吃音の世界

 図書館で借りた。自らも吃音に悩んでいた医者が、吃音との付き合い方を教えてくれる本。吃音は子どもに多い症状で、30代以降になるとほぼ気にならなくなると言う人が多いが、1%の人は症状が残るということ。「どもりやすい言葉」とそうでない言葉があって、言葉の出だしを言い換えることで対応しているということ…… など、知らないことばかりでとても勉強になった。吃音外来で対応した患者のケースも勉強になった。学校の授業で当てられて辛い思いをしてしまっている子どもを助けるために書く診断書の例などが出ていて、吃音を持っている人が読んだら心強く感じるだろうと思った。(巻末にメールアドレスがあるのも、力強さを感じる。)
 吃音の人が話しづらいと感じる人の特徴として、「せっかち」とか「人の話を先取りする」とかがあって、身に覚えがあったので、本当に変えたいな、そこ。と思った。せっかちはしょうがないにしても、後者は人間的によくないよね。

208. マンガ 認知症

 友達が面白かったと言っていたので買って読んだ。認知症とはなんたるものなのか、祖母が認知症になった漫画家さんのエピソードと、認知症の心理学の専門家の解説によって教えてくれる本。認知症の本は、昔『認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ』しか読んだことがなかった(これめっちゃいい本ですよ!)ので、一から勉強するつもりで読んだ。老化の物忘れは「思い出せない」、認知症は「覚えられない」という判別方法がとても分かりやすかった。
 『認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ』にもあったけど、認知症の方が「そうだ」と言っている事実を「違うよ」と否定してしまうのは、やりがちだけどダメなんだな。 でも確かに、読めば「そうだよね」と思う。あと「認知症の姿には生き様が出る」というのもその本にあったと思うんだけど、私は認知症になったらどうなるのかな〜って思った。興味の強い分野なのでいろんな類書を読んでみたい。

209. 変半身(かわりみ)

 図書館で借りた。安定の面白さ、村田沙耶香。この軽〜いタッチで狂っているところが、「村田沙耶香だなあ!」とワクワクした。生き物は生殖のための容れ物、人間は種を生かすための存在っていう考え方が通底しているところが「さすがです」と思う。早稲田文学に載っていた「満潮」も掲載されていて、久しぶりに読んだんだけど、村田沙耶香は性交渉で番っていない夫婦を描くのが上手だよなーと思った。

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