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意外性のある大人にあこがれる

小学校の卒業文集で、ページ埋めに行われたアンケートの「将来、教育ママになるランキング」で2位になった私。昔から、だまっていると「怒ってる?」とよく心配されました。

そこで、ほほえみ顔を練習しましたが、目が笑ってなくて、もっと怖いと言われる始末。

新しい場所に行くと、人が私のあとをついてくる。しかし、私は方向音痴。結果、みんなで迷子になる。

そんな、説得力のある顔というか、まじめな顔をしております。

若いころは流行りの服が似合わず、このカクカクシカク顔(お堅い顔)が嫌いでした。しかし、大人になるにつれて、この顔ゆえの得する点というものが見えてきまして、今ではそれを楽しんでいます。

得する点とは何かというと、意外性です。あえて誇大広告をふりかざすなら、ギャップ萌えというやつでしょうか。

昔は、頭よさげな顔のせいで周りの期待値が高くなりがちで、息苦しいなんて思ってました。しかし、カクカクシカク顔でちょっと面白いことを言うと、周囲がはっと振り向いてくれるという、省エネ社交術に目覚めまして、今ではだいぶ楽しく暮らしています。

そんな私が改めて、もっと意外性に磨きをかけたいと、久しぶりにライバル心に火が付いた話です。

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それは、小5の子供が通う小さな音楽教室での、小さな発表会での話。子供はそこでバイオリンを習っています。その日は、バイオリンを習う4人の生徒さんの発表会でした。会場は、音楽教室の一番大きな教室で、観客はその家族。

小さな発表会とはいえ、チケット制ですので受付の方が二人たっていました。そこで、名前を確認してパンフレットをもらい中に入ります。

4人の奏者は、小学生2人、高校生1人、60代の方1人。という顔ぶれで、それぞれ10分くらいの演奏でした。ファミリーだけの10人ほどの観客とはいえ、人前で演奏するのはやはり緊張します。

わが子は、一番手。みるからに、ガチガチです。その後の奏者も、最初こそ緊張で音が外れていましたが、だんだんと普段の練習の成果が出て、立派に最後まで弾き終えました。

みんな無事に演奏をおえ、たくさんの拍手を受けて、誇らしげな家族の笑顔にあふれ、発表会は幸せいっぱいの雰囲気でした。

まず一番最初の意外性との出会いは、60代の生徒さんでした。演奏から察するに、おそらくバイオリンを始めて、まだ数年という感じ。演奏中もずっと笑顔で、心の底から発表会を楽しんでいるという雰囲気です。何歳になっても挑戦する勇気の先にある、密度の濃い幸福感というものを見せてもらった気がします。

もし私が、最近バイオリンを始めたのなんていったら、周囲は驚くに違いありません。そして、さらさらっとバイオリンを弾き始めたら、かっこいいですよね。憧れます。

そして、この発表会で私の心を刺激した意外性の持ち主と、もう一人出会ったのです。その方は、受付の方。

受付には二人の女性が立っていて、一人は20代、もう一人は50代くらい。発表会がおわり、音楽教室を出るときにも受付の方は私たちを見送るために待っていてくれました。

受付のミニテーブルに用意されたクッキーを子供が食べている間に、受付の年配の女性と少しおしゃべりをしました。話題はもちろん、バイオリン発表会で立派に演奏をし終えた子供の話です。

素晴らしい演奏だったというおほめの言葉から、ステージに上がる勇気というトピックになり、最終的にお互いのステージに上った時の話になりました。

私は、小さい時にピアノを習っていたので、ピアノの発表会でステージに上って、緊張した~という、音楽教室なので、音楽関係の話をするものだと思った私の、本当にありきたりな話です。

ところが相手は、

「私、音楽はやってないのよ。それに、すごいステージって苦手で、、。でも、マジシャンになる練習をしてた時、マジックのステージに上がったことがあるんだけど、すっごい緊張して、もう無理!って辞めたわ。」

マジシャン?


マジシャン?

人を外見で判断してはいけないと、普段から肝に銘じていますが、見るからにマジシャンとは対極にいるような、紅茶の似合うマダムな雰囲気の方なのです。そのマダムがマジシャンになろうと、ステージに上がった。というパワーワードが、脳みそを駆け巡り、そのあと会話をつなげるのに苦労しました。

こういう意外性が、私は大好きです。この日の午後は、しばらくこの二人のことを考え続けてしまいました。

まじめそうなのに、ちょっと抜けてる。奇抜な恰好してるのに、まじめ。そんな、みんな持ってる先入観を逆手にとって、さらには手玉にとって自分のものにする。というパワーがこの意外性、ギャップ萌えにはある気がします。

昔は、周りの決めつけが息苦しかったのですが、今ではそれを楽しめるようになりました。自分を知って、それを武器にする。おばさんになったからこその図太さも味方につけて、もっと人生楽しんでいきたいなと思います。









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