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【DJアプリ】マイクロインタラクション比較でわかったプロダクトの「立ち位置」と2つの心地よさについて

こんにちは!株式会社つみきでWebとAppのディレクションをしているmanami/Fと申します。(本名を出すのに抵抗がありニックネームで失礼。。)

この度部署をあげてマイクロインタラクションを研究していこうということになり、マイクロインタラクションについてぼんやり考える日々です。

ネタについて何を書こうか結構悩んだのですが、部署でも共有されているこの一文をふと思い出し。

[……]「こよなく愛する製品」と「許容範囲の製品」の違いを生んでいる要素がマイクロインタラクションであるケースは多いのです。(Dan Saffer『マイクロインタラクション − UI/UXデザインの神が宿る細部』)

あ、マイクロインタラクションがあるから好きなアプリ、そういえばあるなと。

それが今回取り上げるDJアプリのひとつ「edjing Mix」です。

DJ機材とDJアプリのUI

わたくし月1、2回くらい趣味でDJをしているんですが、最近はiPhoneやiPadに入れたDJアプリでプレイする人を現場でもちらほら見るようになりました。

私も移動中にセットリスト(流す曲のリスト)作るときなどにDJアプリを使っているのですが、DJ機材をうまくUIに落とし込んでいるんですよ。

といっても、DJ機材について知らない人はアプリのUIを見てもよくわからないと思うので、簡単な説明からしようと思います!「知ってるよ!」という方は読み飛ばしちゃってください!

DJ機材について

私はレコードを使えないのでCDJをベースに説明しますが、CDorUSBでDJする場合、CDJ2台でミキサーを挟むように設置して使用します。下は左の写真がCDJ、右がミキサーですね。

手順と基本のボタンについても簡単に解説してみました。

❶ CDを入れて音源を読み込む
❷ リソースを選択する(上の場合DISC(CD)設定)
❸ 回して曲選ぶ
❹ 押して曲決定する(最初「は?押す!?」ってなりました。初見殺しです)
❺ テンポフェーダー:テンポを上げたり下げたり
❻ CUEボタン:曲の流し始めをセットする
❼ 再生ボタン:CUEでセットした場所から曲を再生する
❽ 縦フェーダー:流してる曲の音量を調整して混ぜる。その下の横フェーダーでは音量のバランスを調整できます(つまみが左になるほどバランスが左側の音に傾き、右はその逆)
❾ イコライザー:高中低音を増したり減らしたり

DJアプリは基本、上記をそのままGUIに落とし込んでる感じです。

今回比較するのは、「edjing Mix」「djay」という2種類のDJアプリ。

現場でよく見かけるのは「djay」なんですけど、私は「edjing Mix」のほうが断然好きなんですよ。その理由が前述の通りまさにマイクロインタラクション。

なのでまずは、私が好きな「edjing Mix」のマイクロインタラクションを紹介しようと思います。

「edjing Mix」のマイクロインタラクション

edjingの好きなマイクロインタラクションベスト5はこちらです!

第5位 楽曲読み込みを促す点滅
第4位 再生ボタンの点滅

点滅って、次はここを触ればいいんだ!ってわかるので良いですよね。
子供の頃は光る鍵盤の通り抑えれば曲が弾けるピアノに憧れたし、アーケードの音ゲーもそういえば光るところを触るものがあったりしますね。人間が本能的に好きだと思う行為なのかも。

第3位 SYNC(拍の同期)
第2位 AUTOMIXしてるときのぬるぬるした動き

同期してる感がめっちゃ出ている!ので好きです。
気持ちいいと感じる表現だと思います。
SYNCと合わさってぬるっと動く横フェーダーも気持ちいい!

第1位 楽曲の入れ替え

最も好きなのがこれ。
ガシャ!ってなる感じ。これも気持ちいいですね。
ちゃんと針上げてレコード外して、別のレコードを置いて針を落とす。
今やデジタルデータでのDJが増えて忘れ去られていきそうな動きではありますが、だからこそロマンですよね。
カセットテープの出し入れ的な。

「djay」のマイクロインタラクション

edjingと比較するとかなりシンプル。
楽曲読み込みを促すボタン点滅はあるものの、他が総じてありません。

・再生ボタン点滅なし

・楽曲入れ替え時もパッとディスクが変わるのみ

・SYNCもボタンが点灯するのみ

マイクロインタラクションについては必要最小限ですね。
ただし、「edjing Mix」になくて「djay」にあるマイクロインタラクションもあります。

テンポフェーダー・横フェーダー、真ん中で引っかかる!

これ、実際のCDJにも付いているものなんですが、かなり使い勝手に影響するんですよ。デフォルトの設定にいかに素早く戻せるかこれにかかってくるので…。

止めるのはダメだけど、感覚で真ん中を知らせる必要があるとき、たとえば画像加工系のアプリの効果調整でもよく見かけるマイクロインタラクションですが、これ発明した人すごいな〜!と思います。
カッ、と引っかかる感じも心地よくて好きです。


まとめ

「edjing Mix」はゲームのようなエンタメとしてのDJ、「djay」はツールとして、必要に応じたマイクロインタラクションを選択している印象でした。

一人で家でMixするときに使うなら、演出が派手な「edjing Mix」が楽しく感じるかもしれないけれど、たとえば現場でお客さんを前にDJするならそのような演出は不要です。ツールとしてなら「djay」のほうがいいって思うかも。同じDJアプリでも、マイクロインタラクションを観察することで、立ち位置が全く違うことがわかります。

でも、比較してみてそれがわかった上でも、私は「edjing Mix」が好きだなと思います。それは体の感覚としての心地よさに加え、もう一つ、気持ちの面での心地よさ、「2つの心地よさ」がある気がしています。

すごく抽象的な言い方になってしまうけれど、マイクロインタラクションまでこだわって作られてると、作り手の愛!を感じるんですよね。顔が見える気がするというか。

今回の例でいうと「edjing Mix」を使ってると「きっとDJやるのが好きな人が作ってるんだろうな〜!!わかる!!私も好きやで!!」という気持ちになります。

だからこそマイクロインタラクションは「こよなく愛する製品」を生み出しうるんじゃないかな。ツールを超えて愛される一歩先のプロダクトのために、マイクロインタラクションを上手に使っていきたいなと思います!

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