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スウェーデン留学のすゝめ

Hejsan!日本との時差は8時間、すでに一面銀世界のスウェーデンからこんにちは。社会人学生 Advent Calendar 2023の1日目、トップバッターを務めます、@manamin0521mと申します。まずはアドカレにご参加いただいた皆様、ありがとうございます!

さて、私は普段電気通信大学の夜間課程に在籍しており、電通大については昨年のアドカレの記事などに記載しているのですが、現在は大学の交換留学制度を活用させていただき、スウェーデンに約10カ月間留学させていただいています。なお留学前までは週5日のフルタイム正社員を続けつつ大学に通ってたのですが、留学にあたり新卒から務めていた会社を退職し、純粋な学生に戻っています。

今回の記事ではまず自分が留学している大学について紹介した後、スウェーデンの大学の魅力や制度面をお伝えできればと思います。


通っている大学について

スウェーデン南部のカールスクルーナ(Karlskrona)という街にある、ブレーキンゲ工科大学(Blekinge Institute of Technology)という大学に通っています。Software Engineeringという学部があることが大きな特徴だと思っていて、全般的にComputer Science系の現地生や留学生が多いです。大学はバルト海に面していて、毎日海を見る事が出来るところがお気に入りです。

大学敷地内にビーチバレーのコートがあります

所在地

スウェーデンといえば首都のストックホルムをイメージされることが多いのですが、自分の大学があるカールスクルーナはどちらかといえばスウェーデン第3の都市マルメ(Malmö)やデンマークの首都コペンハーゲンのほうが近いので、それらの都市を拠点として欧州を移動しています。フェリーも私のいる地域から就航していて、ポーランドの第3の都市グダンスク(Gdansk)にも比較的アクセスしやすいです。

カールスクルーナという街は17世紀ごろ、スウェーデン海軍の主要な軍港として栄えており、軍港は世界遺産に認定されています。個人的には、デジタルハーバードとも呼ばれる、欧州では著名なクリエイティブビジネススクール、Hyper Islandの発祥の地であることもアツいなと思っています。

受講科目

英語開講のComputer Science系の講義が充実していて、今期に開講されている授業は以下より見ることが出来ます。受講するにあって背景知識となる単位をそれぞれ取得している事が求められますが、学部生向けの授業に加え、院生向けの授業も受講する事が出来ます。(英語圏ではない場合、学部生向けの英語開講の講義が多くない)

私が受講する科目は以下となります.。

秋1クオーター
Introduction to scientific work (学部生向け)
Applied Artificial Intelligence (院生向け)
秋2クオーター
Networked Systems (学部生向け)
Introduction to Cloud Computing (学部生向け)
Introduction to Swedish, level 1  (留学生向け)

春1クオーター
Advanced Networking (院生向け)
Software Testing  (院生向け)
春2クオーター
Value-Driven Software Engineering (院生向け)
Usability and Interaction Design (学部生向け)

ちなみに前クオーターは英語力の面と内容の面でとても苦しみながら勉強していたのですが、無事すべての項目で合格する事が出来ました!

当初は受講した講義について書こうと思ったのですが、まだクオーターが1つ終わったばかりなので今後の記事で書くことにし、今回はスウェーデン留学全般に当てはまる内容を書こうかと思います。

スウェーデン留学の魅力

社会人留学において英語圏以外を選ぶ人はあまり多くはないかと思うのですが、通ってみるとじわじわ良さに気づいてきました。

ITスタートアップが盛ん

首都ストックホルムは一人当たりのユニコーン企業数が米シリコンバレーに続き世界2位

https://ampmedia.jp/2020/10/07/swedenstartup

首都ストックホルムは北欧のシリコンバレーとも呼ばれていて、スウェーデンのユニコーン企業としては、Spotifyやマインクラフトを開発したゲーム会社Mojangが有名です。社会保障制度が盤石だからといった面も大いにありますが、大学でもアントレプレナー系のイベントやハッカソンがよく行われるほか、自由にモノづくりができる環境も整っており、スタートアップが生まれやすい環境なのではないかと考えます。

大学にはLeapfrogという起業支援のプログラムの掲示があったり

Innovation Labという施設があったりします

電子化が進んでいる

キャッシュレス先進国
欧州の他の国では会計時に「Cash or card?」と聞かれることが多いのですが、カードで払う事が当たり前すぎて会計時に聞かれることはほぼなく、機械に無言でカードをタッチしています。到着したての時に「Card」と言った際には「Of course!」と返されました。現金を使ったのはカードが使えず、Swishという電子決済サービスのみを対象としているお店の1回のみです。

行政や各種申請
居住許可のビザを取る際はオンラインで申請が可能なので、日本にいる時に申請を進めておき、現地に着いた後に比較的すぐに移住許可カードを受け取る事ができたので、当時他に留学を検討していた欧州の他国に比べスマートだと感じました。

大学の入学手続きや賃貸の契約なども全てオンラインで行う事ができ、紙が必要になった事はあまりありません。

ただ、BankIDや国民番号を活用して多くの手続きが行われるのですが、滞在が1年未満の場合はこれらを発行する事が出来ないので、留学生の場合は厄介に感じる事があるかもしれません。

このように電子化が進んでいる中で生活していると、日本で導入したいと思うサービスに出会ったりなど、複数アイデアを得る事が出来るように思います。

英語力が高い

英語を第2言語とする国の英語力レベルランキングである、EF英語能力指数ランキング2023において113カ国中の6位であり、例年高順位のスウェーデンでは、欧州の別の国では英語が通じないケースも多かったスーパーやレストランの店員さん、公共交通機関の運転手さん、年配の方とも英語で会話する事ができ、街中で英語が通じないことは稀です。もちろん現地学生とも不自由なく会話できます。(ただ移民が多い国なので、母国語とスウェーデン語のみを話す方もいます)加えて会話のスピードも速すぎず、発音も癖がなく聞き取りやすいので、英語力向上といった面でもかなりおすすめです。

日本人が少ない

私のいる地域が田舎であるほか主観にもなっていまうのですが、他の有名な国と比べるとマイナー国である分日本人留学生が比較的少なめであり、私が認知している限りではそれほど日本人コミュニティも大きくないので、強制的に英語環境に浸かれるように思います。現地の日本人に助けられることも多いので、この点ではメリット・デメリットそれぞれあるかとは思いますが、甘えにくい環境です。

加えて移民大国であり、もちろんメリット・デメリットそれぞれありますが、様々な国からの移民や移民2世の方が多いので多様な文化や価値観に触れる事が出来ます。

Fikaの様子

スウェーデンの意外な点

思ったほど生活コストが高くない

スウェーデンといえば社会福祉が充実している分、①税金が高く物価も高いのでは?➁寒い上に世界情勢上、暖房代が高いのでは?と以前の私は思っていたのですが、一般消費税が25%である一方で、食料品は12%の軽減税率が適用されるので、食費においては自炊をすれば大きな負担を感じる事はありませんでした。

またスウェーデン人は再利用が大好きで、Second Handと呼ばれるリサイクルショップが各都市に複数あるので、衣服などたいていのものはそこで安価に手に入ります。

また以下のリンクより生活コストを他の北欧諸国の首都と比べると

ノルウェーデンマーク>>>>>>>>>フィンランド>>スウェーデン

といった順になっています。

自分が各都市に旅行をした時に感じた物価差としてもほぼ同様で、北欧の中では比較的生活コストが低めかと思います。物にもよりますが、体感としては日本の1.5倍くらいですかね。

暖房代に関しても、セントラルヒーティングというシステムで家全体を暖めるため、家賃に暖房費(や光熱費)があらかじめ含まれている事が多く、特段高価だとは感じません。

加えてスウェーデンは、日本の1.2倍ほどの国土ながら日本の1割程度の人口な事もあってか、家賃も日本と比較すると安価に感じました。自分は家賃・光熱費・水道費・通信費などすべて込みで月5万円の家に住んでいます。

室内はとても温かい

スウェーデンといえば極寒で、日照時間が短いというイメージがあるかと思いますが、その分冬は室内で楽しむことが多いです。加えてどの建物もセントラルヒーティングシステムを採用しているほか、断熱性に優れていることもあり、建物全体がとても暖かいです。

個人的にはバスルームが床暖房な事が多いのが嬉しいですね。

スウェーデンの大学の制度

さて長くなってまいりましたが、大学についてより詳細に紹介していければと思います!

単位制度

単位においては欧州で用いられるECTS(=credits)を使用しており、1年は4クオーターに分割され、1クオーターあたり2つの科目(計15ECTS)を取ることが一般的です。

欧州のECTSでは、原則として、1年間(1学年暦)の学習をおおむね60ECTS単位(1,500から1,800時間程度)の学習量とし、1ECTS単位は、25~30時間のフルタイム学生の学習量(a面接指導、課題読書、自習、試験のプレゼンテーション等を含む)に換算する。

https://niadqe.jp/glossary/5272/

時間割

授業は一コマ2時間なことが多く、朝8時から夜20時までのいずれかの時間、いずれかの教室にて毎週バラバラに時間割が組まれています。

日本では固定の時間帯かつ固定の教室だったので、スウェーデン方式だと曜日単位の予定を立てづらいほかアルバイトもしづらく、現地学生はどうやって過ごしているんだ!?と思っています。夜の授業のケースはそれほど多くないのですが、朝8時からの講義はけっこう頻繁に行われていてかなりしんどいです。。。

自分の大学のケースになりますが、時間割を詳しく見てみたい方は以下よりご確認ください。

1科目あたり週に2回授業があり、1クオーターで2つの科目というのが一般的であるため、最初はスカスカな時間割に驚きましたが、課題は時間がかかるものが多いので、空き時間は図書館にこもり、課題に取り組んでいることが多いです。

課題が忙しくない時期かつ3~4連休になったときには他国に出かけています✈

課題

こちらは各大学によって異なるかもしれないのですが、1クオーターあたり2~3つの提出物が課されます。うち2つは合否のみ判定(GU)し、特にハードな提出物1つはA-Fで成績をつけます。

成績

The course will be graded A Excellent, B Very good, C Good, D Satisfactory, E Sufficient, FX Insufficient, supplementation required, F Fail. The assignments 1 and 3 will be graded G Pass, UX Insufficient, and supplementation required, U Fail.

シラバスより

引用したように成績をつける課題やテストはA-FXが合格で、Fが不合格、合格か否かだけを見る課題は、G-UXが合格でUが不合格です。なお合格している場合でも、一定以下のグレードの場合は獲得できるECTSが目減りします(閾値は後ほど調査して記載予定)。日本よりグレートが細かいですが、どこにより力を入れるべきか明確なところが良いなと思います。


フィードバック

驚いたのはそれぞれ返却が遅い分、A-Fで成績をつける提出物やテストについては、受講生一人一人に対して項目ごとにフィードバックコメントをいただくことができます。テストも項目ごとに採点結果を見ることが出来るので、どこが足りなかったかを把握する事が出来ます。

剽窃チェック
なお、かなり精度のいい剽窃チェッカーがシステムに組み込まれているため、他の人の提出物と何パーセント一致していたかなどが各項目ごとに確認できるようになっています。全員共通の問題文などがひっかかっていて驚きました。

テスト

完全に匿名化された状態で、大学のコンピュータ室を利用して行います。なんとテスト時間は1科目あたり5時間。実際に受けてみた感想としては、5時間もあればリーディングやライティングのスピードが足枷になることはほぼなく、じっくり考えて問題に取り組む事が出来るように思いました◎

再提出・再テスト

課題やテストが提出できなかったり、不合格であった場合は他のクオーター末に2回まで再提出・再テストを受ける事が出来ます。日本だと問答無用で翌年再履修だったため、基準に満たなければばっさり不合格とし、同年内に再挑戦できるシステムに驚きました。

There will be two submission opportunities for all assignments. The first one will be in January 2024, and the second one will be in May 2024.

システムでのアナウンスより

おわりに

長くなってしまいましたが、スウェーデンの大学の魅力が伝わっていたら幸いです◎ まだまだ書きたいことがたくさんあるので、別の機会に書ければと思います!いいねいただけますと続編を書く原動力になります✨

ではでは、以降の社会人学生アドベントカレンダーもお楽しみくださいませ✨明日はcapp365さんです!


サポートは書籍や勉強会参加費に活用させていただきます。学んできたことを記事にしたいと思います!