コーヒーが好きすぎるただの女子大生がコーヒー屋さんを始めた話。

「まなみん、やってみたら？」

私が通っているコーヒー屋さんのマスターからこう言われたのは4月のこと。

なにをやるのか。

それは、「コーヒー屋さん」だ。

ちょうどその日、別の常連さんが来店して、「まいこさんのカレーを食べてきた！」と報告していた。

「まいこさんのカレー」は「やまんば庵」という一度聞いたら忘れられない古民家で週末営業しているという。

Instagramで調べてみると、そこには素敵な古民家が……！

名前からは想像出来ないほどの素敵すぎる場所がそこにあったのである。

しかもなんと、その古民家の2階で喫茶の営業をする人を募集しているとか。

既にマスターには声がかかっていたみたいだが、マスターには自分のお店があり、週末は営業出来ない。

そこで、いつも「コーヒー屋さんやりたいー」と話していた私に矢印が向いた訳である。

私はとにかく心ときめいてすぐにやまんば庵に行く予定を立てた。

そして、実際に足を運んでみると……。

想像以上の素敵な古民家で、一目惚れ。

「ここでコーヒー屋さんがやりたい！」とすぐに決断。

まいこさんも、私が相当のコーヒーオタクだということをInstagramから知っていたみたいで、それとなくコーヒー屋さんの話題に。

もちろん、その日にすぐ決まった訳では無いが、2回、3回と通う度に

「ここでコーヒー屋さんがしたい」という気持ちは膨らんでいった。

まいこさんも「やってみるー？」と、声をかけて下さって、「やる！」と決めたのが6月末。

オープンまでちょうど１ヶ月だった。

それから、7月1日に皆さんにコーヒー屋さんをやることを告知。

このご縁の始まりであるコーヒー屋さんにコーヒー豆を卸して貰い、(バタバタ、ギリギリですみません！)

毎日コーヒーのレシピ作りやケーキ類の試作。

もちろん、大学生のため、講義に課題に部活にアルバイト……。毎日時間に追われていて、現実泣きそうになったこともあった。

それでも、やりたい気持ちは変わらず、妥協せず少しずつ準備を進めていった。

こだわったのは、コーヒー豆、そして手書きのコーヒー豆カードとメニュー。Instagramも毎日更新した。

時間が無いのに細かいところまでこだわって自分でもバカだなと思いながら突き進んで行った。

そして、迎えた初日。

1番目のお客様は高校からの友達。

とても緊張していたから、ほっと頬が緩んで嬉しかった。

その子はコーヒーが飲めない子だった。

しかし、Manamiのコーヒーを少しお出ししたら、「コーヒー嫌いでも飲めた！」と言ってくれた。本当に嬉しかった。

また、別のお客様はManamiのコーヒーを精製別に2杯頼んで下さって、コーヒーも喜んでいたように思えた。

「失礼だけれど、予想よりも良かった」と言って下さってまたまた嬉しかった。

その後もわざわざ差し入れを持ってきてくれた友達や、前日にコーヒー屋さんで出会ったお客様、コーヒー好きが伝わるお客様、Instagramを見て遠くから足を運んで下さった方……。

気づいたら幸せな空間が出来上がっていた。

いや、幸せとか嬉しいとかを通り越して夢のようだった。

思えば、数年前人生に挫折し、目指していた夢を諦め、どん底に落ちた私。生きていても仕方ないと思っていた。

しかし、あの辛さがあったからこそコーヒーに救われ、コーヒー屋さんを目指すことになり、今がある。

そのことを考えると泣きそうになった。

今回、お店をするにあたり、もちろん自分が1番頑張ったのだと褒めてあげたいが、それだけでは掴めなかった夢。

家族に応援してくれる友達、コーヒー屋さんのマスター、まいこさん……。

たくさんの方にお世話になった。

なんか、生きるのも悪くないなって思えた。

↑マスターから頂いたDM。😭

私は決して行動力がある訳では無い。

ただ、「やる」という強い意志が私を動かしてくれただけ。

一歩踏み出す勇気も体力も気力も必要だったけれど、一歩踏み出してみたら、今までと全く違う景色が見えた。

コーヒーチェーン店で辛い想いをしながら働いたことも当日の接客に活きたし、これまで積み重ねてきたものは全て繋がっていたのだと思う。

初日でもたくさんの方にコーヒーを届けられたけれど、私の使命はまだまだこれからだ。

「人と人を繋ぐコーヒーを。」

今まで貰ってきた恩を返せるように。

まだ始まったばかりの夢への道を歩んでいこう。