【読書の秋】アルケミスト 夢を旅した少年

今回の本はパウロ・コエーリョ著の『アルケミスト 夢を旅した少年』です。

BTSのSUGAがファンミーティングでおすすめしていたことがあると言うのを見かけて手に取ってみました。
この本は最近、読書感想文を書くようになってから読んだ本の中で一番スラスラ読み進められず、読むのに時間がかかった一冊でした。
単に私との相性が悪かったのか、外国語の本を翻訳されている文章だからなのか明確な理由を挙げるのは難しいのです。
ただ喜怒哀楽の感情の描写があまりなく、目の前で起こっている現象から意図を汲み取る場面が多いので主人公の気持ちになりきって読むことが出来なかったからかもしれません。

この本は主人公のサンチャゴという少年が繰り返し見た夢の内容を確かめるために旅をするお話です。内容の確かめ方は占ってもらったり、人に話を聞いてもらったり、本を読んだりと様々です。
ただサンチャゴが最初から最後まで貫いたのは自分の身体で行動し目で見た物を信じ、次の行動へ移っていくことだったと私は感じました。
どの人からどんなアドバイスをもらっても、それを実行するのはサンチャゴ自身で、実行するかどうかを決めるのもサンチャゴ自身なんです。

これは私自身の考え方にとてもよく似ていて共感出来る部分であって、特に違和感なくスッと馴染んだ感覚でした。

自由と責任はセットであると私は考えていて、その心は自由に何かを決めたからには決めた自分自身に全ての責任があると思っているんです。

「あの人のアドバイスを聞いたから失敗した。あの人のせいだ。」ではなくて「あの人のアドバイスを聞いたら失敗してしまった。鵜呑みにしてしまった自分の責任だ。」と考えているんです。

サンチャゴは占い師の老女、セイラムの王様、クリスタルの商人、キャラバンで出会ったイギリス人、砂漠のオアシスで出会った少女、そして錬金術師。たくさんの人に出会い、その人たちの経験からのアドバイスをもらいます。
何を信じ、どんな行動を取るべきか、自分の内面と向き合い、最終的に夢の内容を確認していきます。

自分で決めてきたことだからこそ、後ろを振り返っても後悔ではなく教訓や糧にして前に進んで行くことが出来るのではないかと思いました。

私がこの本を読んで印象に残った文章が二つあります。

一つ目は『夜明けの直前に、最も暗い時間がくる。』です。
これはBTSのTomorrowに似たような『太陽が昇る前の夜明けが一番暗いから』という歌詞がありますよね?
苦難や困難な状況は終わりかけが一番辛く、それを乗り越えれば事態は良くなっていくだろうという意味です。
この本で描かれている場面は砂漠だったので、その情景を想像するのはいつもこの言葉をイメージする時と違う感覚でした。そして確かにその言葉が出てきた時のサンチャゴは困難な状況に置かれていたのでぴったりな言葉だなと後から感じました。

二つ目は『一度起きたことは二度と起こらない。二度起きたことは必ず三度起きる。』です。
日本のことわざに『二度あることは三度ある』というのがありますが、これはそれに備えて準備が必要だよという意味じゃないですか。
一度起きたことは二度は起こらないという発想がなかったのでとても新鮮でした。一度だけでは次があるかどうかは分からない、けれど二度あることはそれだけ頻繁に起こることだよという意味でしょうか?

久しぶりに読書感想文を書いたので、取り留めもない感じになってしまいましたがスラスラと読み進められなかった割りには最終的なオチはとても好きな終わり方でした。
最後まで読むともう一回最初から確認の二周目をしたくなるような本ですよ!

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