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大学法人化を検証する①/大学財源の変化【動画解説】#00015

 新シリーズ「大学法人化を検証する」を全6回にわたってアップさせていただきます。最近の日本学術会議にまつわる報道でぽろぽろと大学の現状がTVで報道されているようです。何というか、日本学術会議がきっかけというよりも、法人化後の環境の変化に対して大学研究者の中で沸々と溜まった不満が漏れ出しているという印象です。本シリーズでは、真正面から不満決壊するような感じで「大学の現状」を吐露させていただきます。

 全体にわたってピンボケの動画で申し訳ないです。マナビ研究室ではぶっつけ本番のリアル感を味としていますので(というか、そうでないと時間的に動画発信できない)、撮り直しなしで編集者に頑張ってもらいました。ピントを合わせずに撮影してしまったという単純エラーを反省しています。

動画解説

 マナビ研究室に森本先生が初登場です。森本先生は歯科放射線学の教授をされていますが、本学に近い北九州大でMBAを取得されました。その時の修士論文のテーマが「大学法人化」だったわけです。小野が読ませていただいて大変面白かったのでこのシリーズ企画がはじまりました。

 国立大学だと「運営費交付金」という名目の予算が国から各大学に渡されます。九州歯科大学は公立大学ですので、同等の予算が一旦福岡県に入り、県から「運営費交付金」が拠出されます。ここから大学の全体的な運営が行われますが、各研究室への「研究費」が含まれます。法人化により「運営費交付金」は順次削減されています。教育や施設運営にかかる費用は減らせないため、結果的に大学から渡される「研究費」は法人化前(2004年以前)と比べてかなり少なくなっています。その分、「競争的資金」の配分割合が増加しており、書類審査等で採択された大学、もしくは科学研究費(科研費)を獲得した研究者個人の収入によって補填されているわけです。

 格差社会と言われますが、競争が激しくなれば勝つものは勝ち続け、負けたものは浮上できません。競争という努力の平等性は、どうしても格差を生んでしまいます。では、広く資金を非競争的に一律分配すると競争力が失われて、その分野のたこつぼ化を生じます(動画では「象牙の塔」と表現)。

 すなわち、バランスが必要でどちらかに偏ってしまうと、国際的な研究競争力を失ってしまいます。日本での研究資金配分は、そもそも他国と比べて一部の大学への配分が集中しており(次回#00016で詳細説明)、競争原理導入により加速している状態です。大学間だけでなく、大学内部の研究室間で、潤沢な研究ができるところと、そうでないところの差が大きくなっています。結果的に、弱小大学、弱小研究室は研究資金を失い、日本全体の研究力(論文数)の減少といった負の結果が出ているわけです。

 今回は法人化への流れと、その後の財源の大まかな変化についての話でした。次回は、研究費はどのように配分されているのか!?ということについて、深く突っ込んで説明していきます。

補足・修正

 動画中の「競争的資金」のところには大学で獲得したものと、研究者個人で獲得した科研費が混ざったもののようです。研究費についての詳細は、次回の動画をご覧ください!

編集者から

使用機材
 変更ありません。詳しくはこちらを参照してください。

ピンボケについて
 今回から6回にわたって「大学法人化について考える」シリーズをお送りするわけですが、撮影時間の都合上、まとめ撮りをするしかありませんでした。次の日に机の上に置いてあったSDカードを再生してみると、めちゃくちゃピンボケしている!やばい!と思ったのですが、撮り直しが厳しいということに…(´;ω;`)
 今回は撮影段階でピンボケに気づかなかったのが原因なので、この後の動画からはカメラの映像をモニタリングできるように小さいテレビを用意しました(残念ながら今シリーズ以降から活用していきます)。

 もちろん、ピンボケして動画が全く見れないというのは避けなければいけないので、きちんとリカバリーしています。どうぞご安心して動画をご視聴してください。


全記事を無料で公開しています。面白いと思っていただけた方は、サポートしていただけると嬉しいです。マナビ研究室の活動に使用させていただきます。