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グラレコの教育利用

 グラフィックレコーディング(通称グラレコ)が教育に有効ではないかと考えている。講義の内容を学生にグラレコしてもらい、学生同士で学習に利用してもらう。この有用性について考察してみる。(小野堅太郎)

 講演などに対して、一枚の紙に絵と文字を使って要約をまとめるグラレコが広まりつつあるように思う。学生時代、美術部のある一期上の先輩が絵を使った試験資料を作っていて、非常に勉強になった。文字だけではなく絵が描いてあると理解のスピードが違う。あの資料はもう手元にないが、もしあれば学生たちに配りたい代物であった。

 ふと思ってネットで教育関係のグラレコを探してみると、結構いいものがたくさん閲覧できる。よくできてるなーと感心することしきりだが、これをうちの学生さんも学習資料として使ってくれたらなーと思うのである。印刷して学生に配るのは著作権の問題があったので、これまでできなかった。しかし、オンライン授業になるとURLを指定することができるので、容易に学生へ情報提供することができる。

 中には、ここちょっと教科書と違うなというものもある。そういうのをよく見てみると、よく学生が勘違いしてしまう事項であり、「ここの説明の言い回しを考えなくては」と逆に教員側が学ばせてもらった。つまり、教員に対して、グラレコは学生の理解度を確認する良いフィードバック情報となる。

 レポートを書かせても、ネット情報のコピペであったり、ほぼ同じ内容のものが複数あったりと、教育効果に関しては疑問がある。もちろん、Wordを用いて図や模式図を書いて立派なレポートを提出してくる学生もいて、レポート作成の能力差が学生間で大きい。

 グラレコは絵がうまい方が有利であろうが、文章構成だけでなく、内容やキャラクターの配置など構成力も必要になる。この構成力には「理解力」が直結するため、現状のレポート提出よりは学生を正しく評価できそうである。文章で書かれるとコピペを見抜くのが困難であるが、絵や構成を描き写したかどうかは容易に見抜ける。

 良くできたグラレコは公開し、学生同士で学習資料として共有できれば、結果的に教育効果を高めることになる。マナビ研究室で運営しているインスタグラムで公開させてもらえれば、他大学の学生も使用できるだろう。

 レポートよりグラレコは労力がかかるかもしれないし、講義の内容すべてをまとめるのは大変である。部分的な内容でまとめたものもOKにして、多くの学生から集めて一番よかったもの同士を繋ぎ合わせて公開するのも一手である。

 こんないいものを使わない手はないのである。

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