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研究のすすめ方!バイオ研究はこうして作られる:#00045

 これまで10記事以上に渡って研究の進め方を述べてきました。とはいえ、自分の得た研究テーマが必ずしもそぐわないことがあるでしょう。個々のケースを踏まえて、全体をまとめてみましょう。(小野堅太郎)

 今までの記事を目次形式でまとめてみました。好きなところから復習してみてください。

1.演繹と帰納:科学をどう進めるか
2.研究テーマをもらったら:バイオ研究シミュレーション①
3.実験条件を決めたら次は?:バイオ研究シミュレーション②
4.様々な角度から仮説を検証する:バイオ研究シミュレーション③
5.疾患モデルをどう計画するか?:バイオ研究シミュレーション④
6.動物実験と臨床研究:バイオ研究シミュレーション⑤
7.マウスとラットの違い🐭
8.なぜ研究成果を発表するのか:バイオ科学論文の書き方①
9.論文を書く前に必ずやること:バイオ科学論文の書き方②
10.KJ法や翻訳ツールで丁寧な論文作成:バイオ科学論文の書き方③
11.統計学を全く勉強してない大学院生のためのバイオ研究統計
12.論文は投稿してからが本番

 上記の12記事を読み返してみると「研究の10分の1も話してないなぁ」と少し気が遠くなりました。研究者という道を進んだおかげで、小学校から習ったことがすべて今の自分に繋がっていることを感じます。これでも「研究」の極一部にしか過ぎないのです。

 下記に、研究の流れをまとめています。上のnote記事では、②実験・調査の立案と③論文(論理的文章)の作製、の2つについて概説したにすぎません。

①与えられたテーマへの理解
 ・必要な予備知識の習得
 ・論文検索(不明なことは何か)
②実験・調査の立案
 ・人材、設備、予算規模、時間
 ・どの手法を選択するのか(論文検索)
 ・スケジュールの調整(失敗込みで)
③実行と結果の精査
 ・十分なトレーニング、不適切結果の排除
 ・バイアスをできるだけ排除(盲検法)
④論文(論理的文章)の作製
 ・何を明らかにできたか(テーマの細分化)
 ・根拠の積み重ねによる仮説の証明(論文検索)
 ・投稿・リバイス・アクセプト

 今回公開したYouTube動画では、前半で小野を含めた各先生の「初めての研究」についてインタビューしています。大学院では、基本的に教員から何らかの研究テーマをもらます。後半は、上記にまとめた研究の「一般的な進め方」について概説しています。最後に、追加のアドバイスが吉野先生からあります。是非ご覧ください!

00:55 吉野先生の初めての研究テーマ
00:58 中富先生の初めての研究テーマ
04:25 小野先生の初めての研究テーマ
07:07 一般的な研究の進め方
13:22 追加のアドバイス!

補足・訂正

 吉野先生の九大農学部時代の初めての研究テーマは「フタトゲチマダニの季節的消長と越冬生態」でした。九州歯科大学の教員となった時は「歯髄支配三叉神経の研究」です。

 中富先生の北海道大学農学部での初めての研究は「蘚苔類におけるジャスモン酸(植物ホルモン)の合成について」でした。新潟大学歯学部に編入し、学生時代に「マウス切歯歯胚形成のしくみ」、九州歯科大学大学院で「軟骨形成」の研究をやっています。

 小野は学生時代に「凍結保存脳の解凍後の神経活動記録」「環境ホルモンの視床下部への影響」をやり、大学院で「脳弓下器官におけるアンギオテンシンⅡの神経興奮メカニズム」の研究をやっています。ちなみに「凍結保存脳の~」で語っている実験結果は信用なりません。次回の動画#00046で検証します。

 まあ、ほんと色々です。最後の「学会活動」については、面白い視点だと思います。現在の感染症状況ではオンラインでしか行われていないので、非常につまらないです。

全記事を無料で公開しています。面白いと思っていただけた方は、サポートしていただけると嬉しいです。マナビ研究室の活動に使用させていただきます。