マガジンのカバー画像

YouTube動画解説:マナビ研究室

102
マナビ研究室が公開しているYouTube動画の解説記事を集めています。動画の補足説明や、訂正などをしています。影機材・設備・編集・音楽などの情報も記録しています。
運営しているクリエイター

#歯科

MRONJになったら何される? #00093

むし歯も早めの治療が良いように、MRONJも予防と早めの発見・治療が大事だと思う次第です。(船原まどか) やっと治療の話です。MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)について知りたいと思い学会参加をすると、専門の先生がかなり詳しく説明をしてくださるのですが、そのお話しをフムフム!と聞くための触りの部分を今回は動画でお話ししていますMRONJの治療は①保存療法(患部の洗浄、服薬治療)②外科療法(患部骨の削合・小手術)があります。どちらを選択するかは、どの薬剤を何年服用していたかなどによ

抜歯するのかしないのか(MRONJ) #00092

だいたい歯科衛生士が歯科医師を熱く見つめている時は、アポイントがおしているか、患者さんの歯を抜いて頂きたい時。(船原まどか) 個人的にはそうです。 骨吸収抑制薬とMRONJの話が続きますが、やっと本題に入ってきました…。そもそもなぜMRONJが歯科業界で問題になったかというと、骨吸収抑制薬服用患者の「抜歯後にMRONJになった」という報告が出てきたからです。そうなるとやはり原因となる薬は休薬、抜歯は避ける…といきたい所ですが、骨吸収抑制薬は休薬しても効果は残る・長期休薬のデ

チタンの接着操作 #00091

歯科接着シリーズ。今回はチタン冠とレジンセメントの接着について簡単に解説します。(池田弘)  チタンは、生体適合性と機械的性質に優れた金属です。インプラント体をはじめ、種々の用途に使用されています。日本では、2020年より歯冠修復物として保険適用となりました。  ひとことでチタンと言っても、様々な種類があります。その中でも保険で使用できるチタンは純チタンのタイプ2です。1種から4種まであるチタンの中では、比較的に軟かいグレードです。保険適用チタン冠は、作り方も指定されてお

金銀パラジウム合金の接着 #00090

歯科接着シリーズ。今回は金銀パラジウム合金(通称、キンパラ(またはパラ))とレジンセメントの接着操作について簡単に解説します。(池田弘)  ご存知の通り、金銀パラジウム合金(キンパラ)はいわゆる銀歯の素材です。現在の日本で最も使用されている歯科材料です。金銀パラジウム合金は、金合金の代替材料として約70年前に誕生しました。金の含有量は12%程度であり、パラジウムが約20%、銅が約20%、そして銀が約50%の貴金属合金です。開発当時は比較的安価な合金として日本の保険医療に最適

保険CAD/CAM冠の接着

日本の保険診療におけるCAD/CAM冠は、クラウンやインレーなどの歯冠修復物(補綴物)として広く普及しています。一方、脱離や破折などが課題として挙げられます。今回の記事では、できるだけ臨床的失敗を少なくするため、保険CAD/CAM冠の正しい接着操作について解説します。(池田弘) 現在、日本の保険診療におけるクラウンやインレーなどの歯冠修復物(補綴物)として最も使用されている材質は金銀パラジウム合金です。しかし、金銀パラジウム合金の価格はこの20年間で約10倍に高騰しています

骨粗鬆症と骨がん #00079

 タイトルがなんとなくショッキングになってしまうのですが、骨粗しょう症治療薬が、がんの骨転移治療にも使われています、という内容です。(船原)  自分自身は口腔外科にお世話になっていた時期に、周囲で骨粗しょう症…BMA…乳がん…骨転移…というワードが飛び交っていたので、骨粗しょう症治療薬は乳がんや前立腺がんの治療時に時に一緒に登場する、といことを自然に学びました。しかし現在、学生さんと話していると、皆さん骨粗しょう症のことはしっかり勉強しているのですが、①具体的にどんな薬に副

"MRONJ"って何? #00078

骨粗しょう症治療薬の副作用「薬剤関連顎骨壊死」です。最初にMRONJと聞いた時は麻雀ゲームのタイトルかな?と思いました。(船原)  MRONJシリーズが長らく続きましてやっと本命のお話しです。MRONJは2003年に顎骨壊死(BRONJ)として報告されてから、今も解明に向けて研究が続けられている歯科・医科のホットトピックです。今回は①現在MRONJと呼ばれるに至った簡単な歴史②診断基準③現在言われているリスク因子(ポジションペーパー2016)について10分程度でお話ししてい

診療報酬明細書(レセプト)の申請 #00075

 国民皆保険の日本ですから、診療に伴う医療行為には加入している保険の枠組みから一部(7割以上)が支払われます。医療機関が申請するものを「レセプト」と言い、厳密なる審査の後、医療機関に支払われます。この仕組みについて解説します。(小野堅太郎)  レセプトとは「診療報酬明細書」のことです。ドイツ語のRezeptから来ています。動画では「保険者」と出てきますが、個人ではなく、国民健康保険保険団体連合会とか社会保険診療報酬支払基金などなど患者が加入する保険団体のことです。医療機関は

歯は弱い!?:#00069歯の話⑦

人体で最も硬いのが歯(のエナメル質)なのに、なんとその歯が「よわい」という衝撃の事実。最後まで怒らないで読んでくださいね。(吉野賢一) 歯の硬組織:人体を構成する硬くてしっかりした組織を硬組織と言います。歯にはエナメル質、象牙質、セメント室の三種類の硬組織があり、エナメル質は人体で最も硬くて頑丈です。 歯の軟組織:象牙質の内側には歯髄腔という腔所(すきま)があり、ここに存在するのが歯髄と呼ばれる軟組織です。歯髄は神経や血管などを含んでいて歯の感覚(痛覚)や歯への栄養補給を

接着前処理:プライマー #00068

インレーやクラウンなどの歯冠修復物(補綴物)の接着操作は、予後の成否を決める重要なステップです。しかし、修復物の材質やセメントに応じて適正な操作は異なり、複雑です。前回の記事(#00065、66、67)では、接着前処理の概略、材質の分類、粗造化の方法について解説しました。今回は、接着前処理のプライマーの種類について解説します。(池田弘)  プライマーの塗布は、冠内面を粗造化した後におこないます。ここで言うプライマーとは、接着性モノマーを主成分とする液体のことで、歯冠修復物と

接着前処理:粗造化 #00067

インレーやクラウンなどの歯冠修復物(補綴物)の接着操作は、予後の成否を決める重要なステップです。しかし、修復物の材質やセメントに応じて適正な操作は異なり、複雑です。前回の記事(#00065と66)では、接着前処理の分類、そして材質を分類しました。今回は、接着前処理の粗造化の方法について解説します。(池田弘)  粗造化とは、歯冠修復物の内面に凹凸を形成し、セメントと修復物の間でマイクロレベルの機械的嵌合を獲得するための操作です。臨床的に使用できる粗造化の方法は、サンドブラスト

接着における材料の分類 #00066

インレーやクラウンなどの歯冠修復物(補綴物)の接着操作は、補綴の成否を決める重要なステップです。しかし、適正な操作は修復物の材質によって異なるため複雑です。前回の記事(#00065)では、接着前処理の概略を紹介しました。今回は、接着前処理における修復用材料の分類について解説します。(池田弘)  歯冠修復物の材質は、金属、セラミックス、レジン系複合材料の3つに大別できます。さらに、金属は貴金属と非貴金属に、セラミックスはガラスセラミックスと高密度焼結体に、レジン系複合材料はレ

歯冠修復物の接着操作 #00065

インレーやクラウンなどの歯冠修復物(補綴物)の接着操作は、補綴の成否を決める重要なステップです。しかし、適正な操作は修復物の材質によって異なるため複雑です。今回はレジンセメントを用いた歯冠修復物の正しい接着操作について解説します。(池田弘)  レジンセメントを用いた歯冠修復物の接着操作では、口腔内試適・咬合調整を行った後、冠内面をサンドブラストなどで粗造化し、プライマーの塗布、そしてレジンセメントを用いて支台歯に装着します。この操作の中の粗造化とプライマー塗布のステップは接

骨粗しょう症で歯医者さんが気を付けること #00051

 なぜ骨粗しょう症を予防する必要があるの?先生、なぜお薬手帳もないのにあの患者さんが薬を飲んでるかもって解ったの?という疑問を解決します。(船原まどか)  歯科にとっては「骨粗しょう症」は今やほとんどの歯医者さんが気にかける病名になりました。なぜかというと、骨粗しょう症を治療する薬の中に、歯の骨に影響を与える副作用があるものがあるからです(歯科に関わる副作用がない薬もあります)。  これまで歯科では骨粗しょう症は一般的には注目されていませんでした(もちろん研究はされていま