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骨粗しょう症で歯医者さんが気を付けること #00051

 なぜ骨粗しょう症を予防する必要があるの?先生、なぜお薬手帳もないのにあの患者さんが薬を飲んでるかもって解ったの?という疑問を解決します。(船原まどか)

 歯科にとっては「骨粗しょう症」は今やほとんどの歯医者さんが気にかける病名になりました。なぜかというと、骨粗しょう症を治療する薬の中に、歯の骨に影響を与える副作用があるものがあるからです(歯科に関わる副作用がない薬もあります)。

 これまで歯科では骨粗しょう症は一般的には注目されていませんでした(もちろん研究はされていましたが)。このように新しい薬が開発されると、それに伴い新たな副作用が出てくる可能性があるので、他の職種もですが医療系も生涯知識のアップデートが重要だという例だなと感じます。

 さて骨粗しょう症シリーズはまだまだ続きます…

1回目:お薬手帳を見なくても、どういった人が薬を飲んでいるか予想できる→「もしかしてお薬服用していませんか?」とこちらから能動的に声かけができる
2回目:薬を知って、その薬が「どう」なのか理解する下準備ができる
3回目:実際の薬がなんとなく解るようになる
4回目:実は「骨粗しょう症」よりも気を付けないといけないものがわかるようになる

 という予定で進めていきたいと思っています。それにしても4回目を話すための前置きが長すぎますね…。骨粗しょう症ととある疾患で使う薬には種類(用量は違う)が同じものがあるのですが、骨粗しょう症で使う場合よりも圧倒的にMRONJのリスクが高くなります。薬の種類が同じなのでごちゃごちゃになっている場合があるので、4~5回目あたりで詳しくお話しできればと思っています。

01:20 骨粗しょう症はどんな人に多い?
02:35 要介護原因と骨粗しょう症
03:59 骨粗しょう症の原因

補足・訂正

【骨粗しょう症の検査】
最も一般的なのがDXA法(2重エックス線吸収法)
レントゲン検査:2種類のX線を測定部位にあて、骨とその他の組織の差で骨密度を測定する。腰椎と大腿骨頸部の2か所。

【骨粗しょう症の診断】
検査結果と若年成人(20~44歳)の骨量の平均値(YAM値)との比較で行います。
※YAM(Young Adult Mean)値:若い人の骨密度を100%とする。骨量がYAM値の70%未満であれば骨粗しょう症、70~80%であれば骨量減少と判断されます。骨量がYAM値の80%未満の人は注意が必要です。

+(加えて)

 骨粗しょう症は主に骨密度と骨折の有無によって診断されるため、患者さんが自覚していない骨折の確認のためにレントゲン検査も行い、YAM値も加味して診断が行われます。

動画クイズの答え

 YouTube動画エンディングのクイズの答えは、「女性は閉経に伴い、骨代謝に関係するエストロゲンの分泌が低下するため」。

 エストロゲンには骨形成を進め、骨吸収を抑え、骨代謝のバランスをコントロールする働きがあります。女性の場合は加齢に伴う閉経によりエストロゲンの産生量が低下し、骨量が減少します。
 男性では男性ホルモンであるテストステロンが骨形成をコントロールしていますが、男性は女性ホルモンほど加齢によって減少しないため、女性のような閉経に伴う骨量の減少はありません。
 また最大骨量も女性より男性の方が多いため、男性より女性の方が骨粗しょう症になる方が多くなります。
 

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