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超理屈っぽい「なぜプロジェクトマネジメントが必要なのか?」

今回は普段考えているプロジェクトマネジメントの必要性を超理屈っぽく記事にしてみました。早口を想像してお読みください。

はじまり

スポーツも料理も難易度や手順で段階を踏んだマニュアルやレシピがあります。しかしプロジェクトという仕事にはそういうものがありません。個人の経験を個人が形式知にし、その形式知を実行できる発想力の有無によって「仕事ができる人、できない人」という評価がされます。とりあえずやってみて経験を詰むことが大事だという発想だからon job trainingなどを実施するのです。

でも本当にそうでしょうか?on job trainingの実施前に、もしくはその中で、経験を補完したり形式知にするサポートをする必要はないでしょうか?しているでしょうか?必要だと考える人も多いと思いますが現実的にはできていません。難易度や手順で段階を踏んだマニュアルやレシピが無いので教える方も教え方が分かりません。

ではなぜプロジェクトにはそういうものがないのでしょうか?

それは、特に日本では本当の意味でのプロジェクトが今まであまりなく、プロジェクトと呼びながらもルーティンワークのアレンジで仕事ができていたので、必要性が強くありませんでした。つまり本当のプロジェクトの歴史が浅いのです。しかし今は違います。VUCAな時代になり、本当の意味でのプロジェクトの仕事が増えています。以前は暗黙の了解となっていた目的、目標、成果も絶対にこれが正しい、目指すべきだ、というものはありません。また過去の事例を参照しても前提条件が大きく異なり、かつ、それを基に予測しても当たらないので過去にやったやり方が通用しなくなっています。

プロジェクトにマニュアルやレシピが無いもう一つの理由は、簡単につくれないからです。マニュアルやレシピがあればどんなプロジェクトでもうまくいくでしょうか?恐らくうまくいきませんし、ほとんど使えないでしょう。プロジェクトは個別性が強いのでそういうものがつくりにくい、つくっても他のプロジェクトでの再現性が低いのです。

しかし今は正解を出す時代から、最適解を創り出す時代になりました。マニュアルやレシピがない、つくれないと嘆いていても、何も対策をしなければプロジェクトが持つ不確実性リスクを全面で受け止め場当たり的に対処することになります。そうすると本当は何か価値を実現しよう!と思ってスタートした、本来「ワクワク」するような仕事は徐々に「モヤモヤ」したものになり、頑張っても成果に結びつかず自分たちはちゃんとしているのに問題に追われる、ということが起こり仕事は非常にストレスの高いものになります。プロジェクトの不確実性リスクは自分たちの内部だけにあるのではありません。外部環境や前提条件にもあります。だから自分たちが闇雲にストレスを抱えながら頑張ったとしてもそれだけではどうにもならないのです。仕事に大半の時間を使う現代人にとって仕事がストレスフルであることは大変な不幸です。

マニュアルがない、だけど不確実性によって「モヤモヤ」する。だからこそプロジェクトには俯瞰した視点でプロジェクトを計画、推進、コントロールする発想が必要になります。それがプロジェクトマネジメントです。プロジェクトマネジメントは、プロジェクト自体、つまりプロセスを対象にして大きな視点で状態を把握しながら計画し、小さな視点で実行していく、という2つの視点が行き来するプロジェクトを成功させるためのフレームワーク(枠組み)です。

フレームワークは物事を考えたり整理したりし、実行に移す判断をするための手段です。だから誰がどんな状況でフレームワークを使っても同じ答えにはなりません。フレームワークの存在意義は、ある方針を出すためにはどういう切り口で何について考えれば精度が上がるか、というものです。プロジェクトマネジメントも同じで、そのスキルがあれば必ずプロジェクトの正解を導けるものではありません。しかしプロジェクトを最適解に導くためには何を考えてどんな行動を取るとよいのかを知ることはできます。それぞれのプロジェクトで個別に考え、行動し、最適解を重ねればプロジェクトは何とかなるのです。

プロジェクトマネジメントとはプロジェクトの成功に必要な思考のフレームワークである、ということはプロジェクトマネジメントの必要性についてもうひとつ重要なことを示しています。それはプロジェクトにポリシーを反映するためにマネジメントが必要だ、ということです。最適解は誰かの意思によってしか生まれません。無限の可能性の中で、何かを基準に、その基準に最も適した解は何なのか、を決めるのが最適解を見つけるということだからです。マネジメントのスタンスも同じです。どういったポリシーでプロジェクトをつくっていくかということが、フレームワークを使いながら生み出す思考、行動、成果、価値に直結します。プログレッシブ(革新的)なのかコンサバティブ(保守的)なのか、アクティブ(能動的)なのかパッシブ(受動的)なのか。これが最適解だ、と考えるポリシーとスタンスを成果実現や価値実現に反映するための手段として、プロジェクトマネジメントは必要なのです。

おわり

ここからは活動のご紹介です。これまでプロジェクトマネジメントの知識体系はありましたが、理論と実践の体系はありませんでした。実践を前提にするなら経験を形式知にすることが必要です。理論だけでは絵に描いた餅になってしまうからです。management studioは世界標準の知識体系をベースにしながらアクティブなスタンスで、建築プロジェクトの経験を形式知にし体系的な理論にすることで、実践に使える新しいプロジェクトのフレームワークを制作し、チャレンジする仕事を「モヤモヤ」から「ワクワク」にしたいと思っています。インテリジェンスの高い仕事を世の中に増やしたい!ご共感いただけると幸いです。

management studio 吉見周平
HP https://www.mgmt-studio.com
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