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PMBOK 7th:標準3章:冒頭説明と原則①PMBOKのスクラムガイド化と、スチュワードシップの守備範囲の広さ。

さて、やっと本題の「原則(Principles)」に入ります。
3章は冒頭に原則[principles]の説明があり、その後に12のセクションにそれぞれの原則が書かれています。今日は最初の原則「スチュワードシップ」まで読んでいます。

スチュワードシップと聞けば、サーバント・リーダーシップの話だと思うじゃないですか。でも読んでいくと、なんかSDGsとかグローバル環境まで話が広がってしまっています。
そういえば3.6章にはリーダーシップの章があって、3.1章とどう書き分けられてるのか?も気になりますねー。

はじめに

管理者[profession]の原則[Principals]は、戦略や意思決定や問題解決に対する基本的なガイドラインを提供します。幾つかの領域では、原則は法則や規則として提供されますが、それらは本質的に規範的です。

プロジェクトマネジメントの原則は、本質的に規範的ではありません。
プロジェクトに関わる人々の振る舞いについてのガイドを意図しています。
原則は幅広に作られているので、個人や組織が整合性を維持するたくさんの方法があります。

原則は、必要ではありませんが、モラルを反映することができます。倫理コードはモラルに関係しています。管理者の論理コードは、管理者に期待される品行を示します。「PMI倫理・職務規定」は、プロジェクト管理で最も重要であるとされた4つの価値で構成されています。

・責任
・尊重
・公正
・誠実
https://www.pmi.org/-/media/pmi/documents/public/pdf/ethics/pmi-code-of-ethics.pdf?v=84d99a84-a6ac-49cb-9c5a-e2266f704ca9&sc_lang_temp=ja-JP

12の原則は、これら4つの価値に沿っています。
これは世界中のプロジェクト関係の、異なる業界や文化的背景、異なる役割や様々なタイプのプロジェクトから成るコミュニティで特定されました。

プロジェクト管理の原則はガイダンスを提供するので、どう適用するか・どの程度適用するかは、組織やプロジェクトや成果物、開発チーム、ステークホルダなど様々な要素の文脈に影響されます。原則はそれぞれ調和し、互いに否定しません。
しかしながら実務では、原則どうしが重なることがあるかもしれません。例えば、複雑さのナビゲーションが、理解や評価、相互作用かリスクの反応の最適化に対して有用な情報を提供するかもしれません(ダメだよく判らない。。多分3.9章のこと。原則を全部読んでから見直します。)

プロジェクト管理の原則はまた、一般的な管理原則と重複するところがあります。例えば、プロジェクトとビジネスはどちらも価値を届けることに焦点を当てます。

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それぞれの原則についているセクション番号(3.1~3.12)は、重要度や順番を意味しません。各セクションは、先頭にまず原則がラベルで示され、その下に説明が付記されます。

以降のセクションの説明は以下の通りです。(先頭の原則は[STEWARDSHIP])

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前置きが長くなりましたが、3.1章だけでも見ておきましょう。。

3.1 スチュワードシップ[STEWARDSHIP]

勤勉で、礼儀正しく、思いやりのあるスチュワードであれ。

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(スチュワードシップの詳細については、サーバント・リーダーシップも併せて参照ください。以降、スチュワードシップはこのまま訳します。)

スチュワードシップは異なる文脈では、微かに異なる意味になることがあります。ある時は、何かのケアを任せられることを含みます。また別の時は、リソースを計画し使い管理することに対する責任に焦点が当たります。またある時は、価値と論理を維持することを意味します。

スチュワードシップには、組織内外の責任が含まれます。
(ここに、内外の責任の例が記載されています。長くなるのでいったん省略)

スチュワードシップは、信頼を生じさせ持続させるような行動や決断と同じくらい、信頼の理解と受容を反映します。スチュワードシップはまた、明示・暗示された義務と強く結びついています。例えば;

高潔[integrity]
スチュワードはあらゆる関与やコミュニケーションにおいても誠実で、倫理的に振舞います。最高水準を持っていて、価値や標準や、彼らの組織に期待される振る舞いを反映します。スチュワードはロールモデルを提供し、彼らの関与や仕事や決断で個人的・組織的な価値を体現することにより、信頼を築きます。PMの文脈では、この義務はしばしばスチュワードに、以下のような挑戦を要求します。
・チームメンバーやステークホルダーたちの言動を考慮する。
・共感的であること、内省的であること、フィードバックに対してオープンであること。

気配り・ケア[care]
スチュワードは組織的な担当事柄の信託者[fiduciaries]で、(担当事項を)勤勉に監督します。高パフォーマンスのプロジェクトでは、厳密に定義された責任の範囲を超えて、勤勉に監督する管理者がいることがあります。スチュワードは担当事項に細心の注意を払い、自分の個人的な事項のように扱います。

ケアは組織の内部的な商務に関係しています。環境や、資源の持続的な使用や、地球上の人々の状態に対する考慮などは、組織のポリシーや原則に反映されるべきです。(SDGsの話ですかね。)

プロジェクトは、予期しない・期待しない変化をもたらします。プロジェクトの実践者は、ステークホルダーが認識しできるように、プロジェクト成果の負の側面を特定し、分析し、管理しなければなりません。(リスク管理ですね。)

ケアは透明性の高い作業環境や、オープンなコミュニケーションチャンネルや、ステークホルダーがペナルティーや懲罰の恐れなしに心配を口にする機会を作ることを含みます。(心理的安全性か。)

信用性[Trustworthiness]
スチュワードは、彼らの役割やプロジェクトチームや権限を、組織の内外に正確に表現します。この姿勢で人々は、各人がどれくらいリソースにコミットしたり、決断を下し、何かを承認できるのか、理解します。

信用性はまた、各人に、個人的な関心と組織や顧客の間の衝突について、積極的な特定必要とします。このような衝突は、信用と信頼をひそかに傷つけ、道義に反したり違法なふるまいを引き起こし混乱を招いたり、最適でない成果を生みます。スチュワードは、このような信頼の侵害を防止しなくてはなりません。

コンプライアンス
スチュワードは、法律や規則や規制や、組織内外から指定された要求に従わなければなりません。しかしながら、高パフォーマンスのプロジェクトではコンプライアンスをプロジェクトの文化に統合する手段を模索し、異なったり潜在的に衝突するようなガイドラインを調整しています。

スチュワードはガイドラインによるコンプライアンスの遵守に努め、自分たちや自組織や、ステークホルダーや社会全体を守ります。もしスチュワードが、設定済みのガイドラインと、質問やアクションや計画が衝突するような場面に遭遇した際には、適切な助言や指示を求めます。

*** 義務の例はここまで ***

スチュワードシップは、透明性と信頼性を持ったリーダーシップを要求します。プロジェクトは、プロジェクトの成果物に影響される人々と同じくらい、デリバリする人々の生活に影響を及ぼします。

プロジェクトは、交通渋滞の緩和や、新薬の開発や、人々が互いに影響し合う機会を創設したりして、社会に影響を与えることができます。これらの影響は、例えば緑地の減少や、薬の副作用や、個人情報の漏洩などネガティブなインパクトを与えます。プロジェクトチームと組織のリーダーたちは、このような事実とインパクトを注意深く考慮し、組織とプロジェクトの目的(広いニーズとグローバルなステークホルダーの期待)のバランスを取ることに責任を負います。

組織は、財務や技術や社会や、環境的なパフォーマンスのことを順次ではなく同時に取り上げるビジネスに対し、全体論的な見方をすることが増えてきました。世界はこれまでになくつながっていて、資源は有限で環境は共有されています。スチュワードの決定は、プロジェクトを超えて影響していくのです。

最後に

ここまで読んで確信したのは、「PMBOK がスクラムガイド化した」ということです。
スクラムガイドは、スクラムの公式イベントと成果物、理論(透明性・検査・適応)および価値基準(確約・勇気・集中・公開・尊敬)でできてますが、これに似ている。

マネジメント標準2章が、公式イベントにあたり(って言っても、こっちは何でもありのフレームしかないけど)、3章は価値基準に相当するのだと思います。相変わらずもやもやするのは、でこの原則は誰に対してどうしろと言ってるのだろうか??ということです。

プロジェクト管理は、誰が何をすることなのだろうか?
そこが、すっぱり削除されプロジェクトに委ねすぎた気がするのです。
従来のウォーターフォールなら、PMが担うでいいですよね?いやそうでないこともあるよね??スクラムなら、皆で話し合ってどこを誰が担うのか決めればいいってことなんですかね???それって標準って言えるの?

また、スクラムの価値基準は「Must」なのに、PMBOKの原則は「May」と言ってる感じがしますね。すべてが曖昧過ぎる、もっと言えば逃げてる感じがするのです。

あとどうでもいいですけど、スチュワードシップって概念は、日本語にないので判りづらいですよね。スチュワードを執事って解説する人もいるけど私は、スチュワードって客室乗務員よねー!と思いました。そう思うとちょっと判りやすくないですか?(笑

では次回は、3.2章「TEAM」と3.3章「STEAKHOLDERS」あたりまで行ければいいなーと思います。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。次回も頑張ります!

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