なぜ、インクルーシブ教育が必要なのか(特別支援学級の児童を「邪魔だと思う人は手を挙げて」 …小学教員、一緒の授業の場で  読売新聞9月9日)

今回の事件は、特殊な教員がろくでもない対応をした、というだけの事件ではないように思える。学校全体がインクルーシブ教育の意味を理解しているのかどうかに関わる事件ではないだろうか。

多様な人たちが、一緒に活動することがこれから求められていく。その一つとして、この学校も特別支援学級の児童と普通学級の児童が一緒に授業を受けていたのではないか。

だとすれば、この教員は、その意味を理解して授業に取り組むべきだったのだ。授業のコントロールが出来ない状況になってしまったのかもしれないが、それを普通学級の児童を使ってコントロールすべきではなかったのだ。

色々な事態が生じて良いのだ。その事態一つひとつを教材だと思って、授業に取り組む覚悟が必要だったし、学校全体がそういう雰囲気を創ることが必要だったのだ。

これからもこのような事件が学校で起こり得る。多様性の尊重は、言葉で言うより現実的には非常に難しい。教員一人ひとりの自覚も必要だが、学校全体、地域全体、保護者全体の多様性を受け入れる土壌が必要だ。この事件をきっかけに、各地域で、各学校で多様性を受け入れる取り組みをしてほしい。

【教育記事から教育を考える】
2020年9月11日(金) VOL.687
作者:中土井鉄信
(教育コンサルタント・合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)

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