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新しい経営の形をデザインする(1) 今の経営システムでは、とても残念な5つのこと

前回の記事で、日本の経済の実績が少し残念だと書きました。昔も今も同じくらいマジメに頑張っているのに、なぜ、日本の経済だけが、他国ほど伸びていないのでしょうか? 

理由の一つは日本の企業経営の仕方に問題があります。
だって、昭和の頃からほどんど変わっていません。劣化しているというより、時代にアジャストできていないという感じでしょうか。
たとえば、昭和の頃は、一つの戦略が長期間通用したので、年功序列という制度には、それなりのメリットがありました。今ではデメリットもあることをみんな分かっています。よりよい制度が必要ではないでしょうか。


では、現在の日本企業の残念なところを、思いつくまま挙げていくことにします。


(1)労働生産性が低い

働いても、あまり、成果が出ない。

前回の記事で日本の労働生産性が低い理由をあげてみました。
(この記事の最後にリンクあり)

・無駄に労働時間が長い(働き方の問題?)
・効率の悪い仕事の進め方をしてる(これは仕事の手順ですね、ムダな会議やハンコ稟議など)
・儲からない仕事を続けている(経営戦略の問題?)
・働きの悪い従業員がいる(モラルハザード?)

労働生産性が低い理由はいろいろあると思います。どの企業でも、たくさんの問題点はあるはずです。


では、なぜ、労働生産性が低い状況のまま放置されているのでしょうか?

その理由は簡単です。
企業として「労働生産性が低い」ということを真剣に改善しようと強く思っていないからです。

では経営陣は何をしてるんでしょうか? 
そこで働く人は何をしてるんでしょうか? 

多くの人は、何かを一生懸命やっているはずです。
経営陣は営業利益をあげようと、営業は売上を作ろうと、スタッフは与えられた職務をミスなく処理しようと頑張っています。
それぞれがバラバラに努力していて、連動していないため結果に繋がりにくくなっています。

労働生産性を高めるということが、評価対象にならないから、やらないのかもしれません。

それぞれが自分の仕事にいっぱいいっぱいなのに、やり方を変えようなんて、なかなか言いにくいこともあります。


そもそも戦略や事業そのものが時代とマッチしていないのかもしれません。
儲からない仕事を一生懸命やっても、あまり儲からないのです(それって実は気がついていたりします)。

たとえばレコード針をたくさん売ろうと頑張っても、昔のようには売れません。ここまで需要が激減すれば、多くの企業が転業または廃業するでしょう。

ところが需要が微減の場合はどうでしょうか。減ったとはいえ、それなりに需要があれば、撤退するより努力してなんとか生き残ろうとするでしょう。転業や廃業はなかなかできません。日本企業の多くが、さほど儲からない仕事を一生懸命やっているのだとしたら、日本全体としてはムダなことです。ただ、当事者は、仕事を変えたくないっというのが本音でしょう。業界で支えられる売上、企業数、就業人数が減れば、倒産に追い込まれます。


戦略そのもに間違いがあれば、当然、労働生産性は低くなります。仕事のやり方なども、無駄が多ければ労働生産性は低くなります。これは明らかなことです。

おかしいとか、間違っているということをうすうす感じていても、変えることは難しいというのが、今までの日本企業の経営の姿です。
「景気が悪いからしょうがない」
「今が、我慢のしどころだ」
「ライバルもみんな厳しい」
そんな風に、原因を外にして、みんなで我慢した方がかえって楽な気持ちになれるのです。


正しい戦略のない努力は報われません。

労働生産性は企業が戦略的な経営をすることで、改善できます。場合によっては、既存事業を縮小し、新たな事業を進める必要があるかもしれません。


戦略とは大きな方向性を決めることです。戦略は事業戦略や競合戦略のように社外に向けたものと、人事組織戦略というように社内に向けたものがあります。戦略という大きな方向性が決まれば、それぞれの努力が連動するはずです。


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俺だけ残業かよ・・・


もし、理想的な経営があるとしたら企業としての戦略が明確です。そのためにやるべきことが明確になります。
従業員は戦略を理解し一定の目的をもって働くことができます。
成果が上がり、報酬に反映されます。

従業員がバラバラに努力していては、全体としての成果はでません。そういうことがなくなります。
努力しているようなふりをしているだけの人や無駄なことをしている人も明らかになります。

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(2)職場満足度が低い

世界主要国の職場満足度は日本が一番低いと言われています。ネット上で検索するとそんな記事がいくつも出てきます。
ただ、満足度というのは、人の感じ方です。国民性の違いもありますから、世界の順位を真に受けて、一概に落胆することはないとは思います。

職場の満足度を測る物差しは、人間関係や報酬、やりがい、自分自身の成長などいろいろな項目があると思います。なにをもって満足するか、それは、個人個人で違っています。とはいえ、世界と比較すると、満足している人が少ないというのは事実のようですね。

一部の企業や業界では、業績の悪さから、仕事がきつくなったり、収入が少なくなったりしています。弱い立場に追い込まれている人も多くなっています。ワーキングプアという言葉もあります。それでも、仕事がないよりマシだと、我慢している人もいます。このような状況なら職場満足度は低いでしょう。


人生という限られた時間の中で多くの時間を費やす仕事を通して、幸せを感じたり、充実していたり、自分の成長を感じたりできれば、よりよい人生になると思いませんか? 
昭和のころは、働いて給料が出るだけでも、ある程度満足していました。今の若者たちは、それだけでは満足できないのでしょう。


どうせ働くなら、充実した時間を過ごしたいものです。誰だって満足したいと思ってるでしょう。


職場満足度を高めるには、どうすれば良いでしょうか?

二つの方向があります。
①職場における現状の不満の原因を探り、改善する
②職場の満足度をあげる政策をする


直接、顧客から「お礼」を言われる仕事に従事している人は案外、満足度が高いのです。でも、多くの人は感謝されたり、認められたりしていないのではないでしょうか?
職場内に、理不尽な人がいると、やる気が失せます。自分だけ頑張っている、自分だけ責任をおさわれている気になってしまいます。また、理不尽な人を放置している組織にもがっかりします。人間関係が大きく影響しているのは確かです。


①職場における現状の不満の原因を探り改善すること、②職場の満足度をあげる政策をすること、小さなことからでも変えていけば、職場満足度を変えることは可能だと思います。
ただ、「本気になってやらないとなかなか結果がでない」「気がつけば利益優先という元の流れに戻ってしまっている」という「難易度の高い」課題でもあります。


一つ、気をつけないといけないことがあります。
満足するポイントは人によって千差万別なのです。このやり方だけが正解というものではなさそうです。
一つの満足ポイントだけを決めうちにしている企業だと最初からわかっていれば、その満足を求める人だちが集まってくるのでしょう。
しかし、すでにいる人たちを一つの物差しで語ることはできません。企業としてはいくつかの満足ポイントを決めて、多様なニーズに応える必要があります。



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時間に追われて・・・


もし、理想的な経営があるとしたら職場のメンバーが良い人たちで、尊敬できる人が多く、刺激にもなります。
顧客に素晴らしい価値を与える企業なので、感謝されてやりがいがあります。
仕事を通じて、自分の成長が感じられるので、とても充実感があります。


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(3)働き方の自由度が少ない

・大きな休みをとってリフレッシュする
・2年ほど会社を休んで、大学などでしっかり勉強する、他企業で経験を積む
・子育てでしばらく休業して復職する
・自分の能力を、他社でも貢献する
・親の介護のために地方で働きたい


上に書いたようなことは、日本の企業では、まだまだ少ないのですが、そうれればいいですよね?
自由度の分野は次の二つになります。

(1)個人のライフプランとワークタイムのバランス
(2)企業内、企業外も含めたキャリアディベロップメント

(1)は自分の生活にフォーカスしていて、(2)は自分のキャリアや成長にフォーカスしています。


日本の人事制度は、世界的に見れば特殊なのかもしれません。年功序列、終身雇用という制度です。社歴の長い企業はこの制度を引きずっています。
年功のある人は、既得権として高い給与を得ています。この給与を取り上げて一気に再分配するのは難しいでしょう。対立を生み、職場の雰囲気が悪くなります。

部分的に変えられる施策もありますが、働き方の自由度を高めるには10年くらいの時間はかかりそうです。しかし、最初の一歩がなければ、進みません。この課題も、案外、手強いテーマです。

働き方改革と言われています。コロナの影響でリモートワークも増えました。
これからどうなっていくのでしょうか?
期待半分といったところです。


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働き方が、がんじがらめで・・・


もし、理想的な経営があるとしたら
働きたい人が働きたいように働いたり、他企業で違う経験をしたり、大学や研究所で勉強したり、いろいろな選択肢が選べるような企業であれば、素敵です。
そんな企業なら、安心して自分の人生を賭けてもいい企業だなって思えます。


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(4)企業は社会的な器としての役割を果たしていない

わたしたちの多くは学校教育を経て企業に就職します。

学校では、正解が決まっていることを学ぶという「受け身」な立場です。これを続けていくと、正解を外に探すという意味での「依存」を生みます

学校教育が終われば「社会人としてなんでも一人でできるようになっている」というわけではありません。
保険や健康、対人関係、ライフプラン、マネープラン、将来の家族計画、福祉、行政との関係、納税など、人生では学ぶべきことは多いのです。

学生時代はともかく最終的には一人一人が自分の力で生きていかなくてはなりません。社会に飛び込む、社会人になると言うことは、ほぼ「会社に所属する」と言うことです。生涯教育やサポートは本人と行政任せでよいのでしょうか?


そこまで考えると
「会社はただ利益を追うだけ、、、で、良いのか?」
そういう疑問も浮かんできます。

一定の人は、必要に応じて、自分で勉強したり人に聞いたりして、社会で生きていく術を身につけていくでしょう。
しかし、自分でできる人ばっかりではありません。

真面目な人が報われる社会になってほしいと思うのです。才覚のある人、ずる賢い人だけが成功する世の中が正しいとは思えません。
いやいや会社は利益だけを追求するドライなものだという意見もあります。
判断は分かれますね。

確かに企業が従業員と仕事以上の関係性を持つというような考えは少なくともビジネスライクではありません。企業にここまで期待するのは、甘えでしょうか?
ひょっとしたら「日本的な期待?」なのかもしれません。

もしそうであれば、世界にも見習ってもらいたい「良いことだ」というふうに考えることもできます。
一方で、そんなことに気を配っていたら、企業の利益が減ることになるから「悪いことだ」と考えることもできます。

企業の持ち主である資産家は、利益を追求するから余計な費用はかけたくないと思うかもしれません。
しかし従業員が腰を落ち着けて仕事をする環境であれば、企業の成果が上がるかもしれません。また、社会的に落ちこぼれた人が少ない方が、治安の面でも、経済の面でも良い社会になって、結果的に利益が増えるような気もします。


社会も家庭も企業も、あたたかい方がいい世の中なのは間違いありません。

壊れた家庭で育った人の何割かが会社で救われるかもしれません。会社という縁で繋がった人に優しい手を差し伸べることは、悪いことではないとわたしは思います。



(社会貢献の場)
社会は、いろいろな人や組織の分業、役割分担、貢献で成り立っています。生活していくためには、社会に貢献し、対価を得ないといけません。その社会貢献の場が会社でもあるわけです。

(社会人の成長の場)
社会に出て、仕事を通してさまざまな経験をし、いろんな人と関係を持つことで、人間的に成長していきます。
企業が社員教育にかける金額は日本ではGDPの0.1%だそうです(2010~14年の平均:厚生労働省の試算)。一方、米国は2%台ということです。もっと従業員教育に費用をかけるべきかもしれません。
そして職務能力以外の成長もとても大切なことです。人間関係を通して学ぶこともいろいろあります。ずっと家にいるだけでは得られない経験や成長があります。

(社会人の受け皿)
「リストラなどで会社に属せない人たちの居場所はどこでしょうか?」
「社会と上手に折り合いがつけられない人もいますが、一生そのままでしょうか」
働く意欲があるのに、仕事を見つけられない人もいます。
いつの時代も一定の割合で弱い者は存在します。親や信頼できる人のいない人もいるでしょう。保険や税金、投資、法律などの知識を持たない弱者は、相談の仕方さえわからない人もいます。企業として、同僚として、知り合いとして、手を差し伸べることができれば、従業員にとってはありがたいことだと思います。



どんな人も、成長する可能性は十分にありますし、社会に貢献できる分野があると思います。
貢献する機会が与えられずに、自尊心が保てなかったり、生活できない人が出ています。心が傷つき卑屈になったり、絶望したり、暴力的になっていくのはよくありません。

企業は、自社の利益を追求する一方で社会の一員でもあります。社会貢献しろとまでは言いませんが、少なくとも従業員想いの会社であれば、忠誠心やモチベーションがアップし、利益にもつながる可能性があります。

目先の利益だけを目指してノルマをピラミッド式にブレイクダウンしたようなギスギスした人間関係では、壊れてしまう人も出てしまい、結果、長期的な企業の繁栄は難しいと思いうのです。


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いつも一人ぽっち・・・


もし、理想的な経営があるとしたら会社は社会に貢献する場であり、自分を成長させる場でもあります。
会社と距離を取りたい人には、それなりに、距離をとって接してくれます。
必要な人には、仕事以外のさまざまな情報(保険、納税、能力開発、健康などなど)やサポートを与えてくれます。
従業員の忠誠心や貢献意欲が高く、能力も上がっていくので、企業としての収益性も高くなります。

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(5)エゴを放置しすぎている

エゴ、ここでは個人主義、利己主義という意味合いで使っています。

会社や社会では、わがままばかり通していては成り立ちません。そこで、ルールができます。
ルールの範囲内で(?)、それぞれがわがまま通したり、我慢したりして一定のバランスで均衡します。それがそれぞれの企業や部署の雰囲気になります。

日本人はその空気感に敏感な人が多いので、一度作られた雰囲気は長く維持されます。それぞれのエゴが均衡するそのバランスは、それぞれの企業で大きく異なってきます。


企業内にはいろんなタイプのエゴがあります。いくつかあげてみます。

(権力志向の強いエゴ)
権力志向が強く部下に対して支配的なエゴの強い人がいれば、その部下たちは受動的になるしかありません。上司の機嫌を損ねないように、場の空気を乱さないように忖度します。
組織は上司が命令と評価する立場なので、反旗を上げるわけにはいかないのです。度がすぎるとブラックになります。
権力志向の強い人は出世するためなら、上司が間違っていても言うことを聞くし、とにかくがむしゃらに働きます。その結果、出世します。
出世するためなら部下や同僚、取引先からどう思われるか、さほど気になりません。上の立場からすれば、ほんとに便利で使えるやつなのです。

このような権力志向の強いタイプが経営陣の多くを占めている企業もあります。
権力志向の強い人のエゴは、自分が掴んだ地位や権限は絶対離しません。また、部下には支配的、高圧的になります。そのような支配的な高い地位の人に対して、改善や改革を急げば対立を生むことになります。


(消極的なエゴ)
多くの従業員は、自分の保身を第一にしています。
空気を読んで部署内でヒンシュクを買わない程度に努力します。やる気がなくてもクビにされないように努力するふりをします。叱られない程度に、仕事をします。他人の評価、いつも接する人からの評価が気になります。
自分の生活、目先の給料を守るために、会社のやり方がおかしくても、黙っている人が多いでしょう。文句を言って波風を立てることをするより、自分を押し殺していた方が楽だからです。言って変わるようなことは言いますが、面倒なことでまわりをわずらわせないのが大人の流儀とわきまえています。


「良い人でいたい」という人は、部下思いなので、部下にきつく言えません。部下から嫌われたくないのです。上司が一人、部下が十人なら、部下の味方をしがちです。普段接している人との悪い関係を避けるのです。これは正しいことでしょうか?


・・・・などなど


よく企業の不祥事として問題を隠蔽していたことが発覚するというニュースがありますよね?

権力志向の強いエゴを持つ人は、出世のためなら上司の言うことことには文句を言わず実行することは当然のことなので、隠蔽に協力します。
消極的なエゴを持つ人は、波風を立てたくないので、隠蔽に協力します。

権力志向の強い人は、自分の予算を達成するためだったり、自分の失敗が知れて出世にマイナスになるいけないと思い、隠蔽を決断し、部下に命じます。
保身の強い人は、自分の失敗で責められるのを避けるために、隠蔽を決断します。
人間なら誰だって、隠したいと思う気持ちはありますが、程度の差は人によってマチマチですし、社内の空気感があります。

会社には当然ルールがありますが、それを守る、守らないというのは案外放置されています。ルール違反があれば、本来、指摘し直すべきですが、見過ごされていることって案外多くないですか?
このような事例を経験して、ルールの守り方と非言語的なの拘束に対応していくのが組織の成熟?でもあるです。

新入社員や中途採用の人は、企業内のやり方、考え方、判断の仕方などで、おかしいと思うことはかならずあります。ただ、次第に染まっていきます。エゴの調整が入るのです。



会社の中には、いろんな個性があります。エゴも個性の一つです。
会社という組織は複数の人で成り立っています。多様な個性をうまく使えば良いのですが、いまくいかないこともあります。
普通の範囲つまり協調性の範囲を超えた場合の強い個性をエゴと呼ぶようです。

問題なのは「エゴは社内のルールを超えている」ということです。オーナー社長や創業者一人のエゴならワンマン会社として、それなりに機能します。
しかし、組織内にエゴが交錯したり、対立していては、企業全体としてもパフォーマンスは低下するのは明らかです。しかし、多くの企業では、はみ出したエゴを放置しています。


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悪気のあるエゴというわけではないのですが、「人間は今までのやり方を変えたくない」という心理的な傾向があります。これは、ほとんどの人が持っていると思います。

慣れ親しんだ仕事内容、仕事の手順を変えるのは、大変なことです。

多くの人は、転職、転勤、職務変更、システムの変更など、変化に対してネガティブです。面倒だし、そのために時間や労力をかけるのも嫌です。今までの方が予測がつくので、不安が少ないのです。
今までは経理の仕事で評価が良かったのに「営業に変わったら評価が下がるかも」と思えば異動を拒否したくなります。



環境や時代の変化に伴って、仕事の進め方、内容に変更はつきものです。
しかし、変更すると、エゴが顔を出します。

今までのやり方で実績を持っている人は、自分はまわりから認められているという自信があるから自分を変えようとはしません。たとえば新しいシステムが導入されても「パソコンとか苦手だから、今まで通り手書きでやるよ」と、変えません。

新しい部署に職務変更になっても「僕はこういう仕事は苦手だから」などといろいろ文句を言って、仕事をしない人もいます。

もちろん、そのような人はかなりワガママな人です。

経営がうまくいかない原因の一つは従業員が持つ、このような心理的な問題もあるのです。企業の戦略を変えても、自分の行動を変えたくないという従業員のブレーキがかかり、戦略が実行されないというのが現実なのです。


蛇足ですが
先ほどの仕事をしないワガママな人は、(元)偉い人が多く、パソコンの入力を部下にやらせたりして、他人の仕事を増やします。それだけでなく、関係にない人に批判、指示、命令したりして、組織の流れを乱したりします。人を振り回しておいて、自分は世間話をしていたりします。
部門長にとって、そんなワガママな人が自分より年上だったりするので、強く指導ができません。部下の不満がどんどん溜まっていきます。
このように会社のルールよりエゴの方が強いというのはよくあることです。
でも、おかしいと思いながら、なんとなく放置されているケースが多いのです。


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また、始まったよ・・・


もし、理想的な経営があるとしたら
人それぞれのエゴを良い状態でバランスさせます。
経営能力のある人が経営します。社内政治の勝者が経営したり、支配するのではありません(つまりエゴが会社を乗っ取って経営不全に陥ることがありません)。
現状での顧客への貢献、社内での貢献が評価されるので、変な方向へ努力する人がいません。

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●新しい経営の形をデザインする(1)


新しい経営の形として
『企業として戦略的な行動をとることで、しっかりと成果を上げていく』
ことを第一に考えるべきだと、私は思います。戦略経営です。方針がなければ、バラバラの動きとなり、組織として機能しません。

もちろん、短絡的な利益追求型では長期的に成果を得られません。それは戦略的とはいえません。
一時的な成果を自分の手柄だと思い経営陣が自信過剰になる、あるいは傲慢になれば、次の時代の流れに乗れません。縦社会では部下にノルマを無理を強いることになります。
バブル以降の多くの企業は結果的にこのような状態になっています。もちろんライバル企業も横並びの戦略や風土なので、自社だけが特別に無戦略という自覚はありません。

企業の存在は「顧客にどう貢献するか?」「社会にどう貢献するか?」ということです。まず外を見てニーズを理解し、つぎに内を見て何ができるかを知り、そして何をすべきかを決めるのです。
この大きな方向性を決めることが戦略です。何をどのように提供するかという外向きの戦略と、そのためにどうするかが内向きの戦略に分けることができます。
これは、当たり前といえば、当たり前のことです。理屈では理解できるでしょうが、実行するのがなかなか難しいのです。


チャンドラーは1962年に「組織は戦略に従う」と提唱しました。
その後、1979年にアンゾフは「戦略は組織に従う」と提唱しました。多くの新規事業は組織の反対にあい経営者の思い通りには進まなかったのです。つまり戦略は組織の許容範囲内のものしか実現できないということになります。40年も前から言われていることなのです。


経営戦略の決定も、効率的な働き方も、働き方改革も、やりがいも、社内の福利厚生も、すべて、人と組織という問題と言えるのかもしれません。


【新しい経営の形をデザインする】
新しい経営の形をデザインすることは「経営戦略を立てるまでの仕組み作り」と「人事組織面(働き方や仕事観の再構築を含む)」という2つの分野に分ける必要がありそうです。戦略が策定できても実際に戦略を進めるマインドセットが必要だからです。


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企業として、利益が出ないのはもちろんNGです。そのために長期的に社会に貢献できるよう自ら変革できるような組織による経営が望まれます。


その上で、顧客、従業員、社会が「より幸福」になるようにバランスの取れる経営が「次世代の経営システム」だと思います。

ただどの業種、どのポジションにも通用する完全無欠の「新しい経営システム」はあり得ません。企業は自社の個性やとりまく環境に応じて、「次世代の経営」と「今までの経営」を上手にバランスをとったり、組み合わせたりして、多くの選択肢から最適な手法を選ぶことが望ましいと思います。

そのためには、新しい経営の形を知っておく必要がある、新しい経営の形を考えておく必要があると思います。



新しい経営の形は、部分的な改善ではなく、今までの経営の不都合な点をすべて解決できる経営であるべきです。理想があれば近づけます。


そのような文脈で、この記事では、現在の経営のなかの「残念なこと」にフォーカスしたというわけです。


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●最後に

今回の記事で、現状の経営システムの中で、残念なことを5つ挙げてみました。
思いついたものを書き出したので、後から追加したり修正したくなるかもしれませんが。

ここまで、お付き合いしてくれたあなたは、今の経営に不満があり、なんとか変えていきたいと思っているのではないでしょうか?

自分の会社のどんなところに矛盾や問題を感じていますか?
よかったら教えてください。



今回、わたしが挙げたことは次の5点です。
(1)労働生産性が低い
(2)職場満足度が低い
(3)働き方の自由度が少ない
(4)企業は社会的な器としての役割を果たしていない
(5)エゴを放置しすぎている


(1)の労働生産性については、正しい戦略と正しい働き方を再構築することです。
(2)の職場満足度はモラル低下要因をなくすことと、承認欲求を満たすことが必要となります。
(3)(4)については、企業に収益的余裕、人員的余裕があってからの話になるでしょう。
そして、(1)〜(4)すべての課題に深く影響するのが(5)エゴの問題です。企業経営は多くの人の関わりがあるのですが、一人一人のエゴが複雑に絡みます。

最後のエゴの問題は、あなたにとって、少し意外だったかもしれません。


しかし、戦略よりも自分の立場のほうが大事というのが、現実ではないでしょうか?


新しい経営システムは、前にも述べましたが
(1)戦略関連
(2)人と組織関連
に大きく分けて進めていくことになりそうです。


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次の記事はこちらです。










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