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オンライン読書会『ロング・グッドバイ』BOOK CLUB

2021年3月20日(日)にZoomを使用し、オンライン読書会を行いました。
今回の課題本はレイモンド・チャンドラー著『ロング・グッドバイ』です。

※本レポートは『ロング・グッドバイ』のネタバレを含みます。

主催2名、参加者は5名の計7名で行いました。

まずは参加者に「ロング・グッドバイ」のどういったところが好きかをたずねました。
「ミステリーとしてより、人物やその人間ドラマに惹かれる」「文章自体の良さ、細部の描写が好き」という意見が多かったです。今回の参加者はミステリーよりは、文学好きの方が多かったみたいです。

文章のリズムの良さも話題に挙がりました。原文を読める参加者の方がいらしたので、話を聞くと原文は韻を多く踏んでいるようで、読者はまるで詩を読むように、チャンドラー作品を読めたのではないか、という意見がありました。
日本では小説を読むとき、文章のリズムはさほど重要視されない気がしますが、海外だと重要視されるようです。

次に、物語を読んだうえでの疑問を挙げました。
主催から、「なぜ、マーロウはこんな大変な目に合いながら私立探偵の仕事をしているのか」という疑問を挙げました。
「マーロウの性格上、探偵という仕事しかできない」という意見があがりました(笑)また、マーロウのなかには、困っている人をほっておけない、義理を大事にするなどのロマンティシズムのようなものがあり、それを発揮できる探偵の仕事をしているのではないか、という意見もあがりました。主催としても、マーロウは実はものすごくピュアな部分を持っているのだろうと、思っています。

また、物語のラスト「マーロウはテリーを許せたのか」という疑問も挙がりました。
ここは文庫版p593「私は何も君の是非をはかっているわけじゃない。君を責めたことなど一度もない。」とあるように、テリーはその弱さから、人の言いなりになり、マーロウはそれを悲しく思っているということなのかなと、感じました。

個人的には、『ロング・グッドバイ』を読むと、強く生きるとはどういうことなのか、いつも考えさせられます。そして、同時にテリーやアイリーンのように、ピュアなものが現実に押しつぶされ失われていくという悲しみも感じます。

読書会をすることで、色々なことに気付けたなと思います。参加者のみなさま、本当にありがとうございました。

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