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《書き起こしレポート》 きみトリ・インスタライブ in Readin' Writin' BOOKSTORE

2021年6月2日、東京台東区・田原町にある書店にてインスタライブを行いました。こちらにアーカイブもありますが、少し音声の状態がよくないので、文字起こし版もお届けします。本もたくさん紹介していますので、ぜひご覧ください。

◆こんにちは〜

今回のインスタライブ、なんでやろうと思ったか。
・「きみトリ」を置いてくださっているお店を訪ねて、お礼を言いたい!
・ この素敵な本屋さんを、皆さんに知って頂きたい!

というわけで。「きみトリ」著者の舟之川聖子、稲葉麻由美、高橋ライチ、サポーターの佐々木彩子が、台東区・田原町の「リーディン・ライティン・ブックストア」さんを訪問します。
http://readinwritin.net/

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●[1:40ごろ]こちらが、店主の落合さん。シャツは、sou・souだそうです。(ご本人のアピール)

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落合さんについては、こちらの記事もぜひ。
https://book.asahi.com/jinbun/article/13756707

●[2:30ごろ]いま「きみトリ」を置いてくださっているのは、入り口からすぐの、こちらの棚。

『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』(三恵社/2020)。トリセツ(取扱説明書)というタイトルだけど、何か一つの答えがあるわけじゃない。社会の取り扱い方は、自分で決めていいのです。私たちのいくつかのトリセツを見て、あなたも自分のトリセツを作ってくださいね、という本です。「友だち」「仕事」など、10代の人が直面しやすい、15のテーマを取り上げています。

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●置いてある本も、棚も、どんどん替わるお店です。あなたがいらした時には別の棚にあるかもしれませんので、『きみトリ』を探せ! してください。
こちらはチェーン店ではない、独立系の書店さん。店主・落合さんに、本の場所だけではなく、セレクションについても、おすすめの本についても、いろいろなお話を伺うのが楽しいです。いつでも刺激的なお店。

●さまざまなイベントも開かれています。聖子と彩子は、今年の2月から、毎月第1土曜日の「お座敷一箱古本市」に出店中。そのご縁もあって、今回ライブ配信をさせていただくことになったのでした。
http://readinwritin.net/2018/11/22/お座敷一箱古本市-2/

あの棚もこの棚も気になる [7:10ごろ]

みんなでお店をウロウロ。

(ライチ)これ、私がいま気になっている本です。『少女だった私に起きた、電車の中でのすべてについて』(佐々木くみ、エマニュエル・アルノー/イースト・プレス/2019)。日本で12歳のときに痴漢にあった経験が、最初はフランスで出版されて、それから邦訳されました。
周りの本が他の本屋さんとは違うラインナップなので、目を引きますね〜。
新しい目で、本と出会える本屋さんですね。

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(ライチ)あ、この本、文庫になったんだ!『夫のちんぽが入らない』(こだま/講談社文庫/2018)。これはもう大変な名作ですので、お勧めします。はい。読書会もやりました。「えーーー」って、引かれてしまうタイトルなんですが。でも、それをおして、読んで頂きたい。

(彩子)私のおすすめは、奥の絵本コーナー。あ、大好きな『エリック』(ショーン・タン、岸本佐知子/河出書房新社/2012)もあります。

(ライチ)その横の小説コーナー。美術館みたいに、表紙が並んでます。

(聖子)本って、美しいな〜(ため息)。一つ一つ、丁寧に作られてるんですよね……。作ってみて、わかりましたけど。ああ、新潮社のクレストブックスも。こうして並んでいると、色が美しいですね。

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現代書館の山田さん、登場 [11:10ごろ]

フェミニズム入門ブック『シモーヌ』の編集長・山田亜紀子さんが、できたばかりの『シモーヌvol.4』の納品にいらっしゃいました。
(*この辺り、動画の音声が聞きにくいです。山田さん申し訳ありません!)

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●一般の書店では6/7ごろから発売ですが、こちらでは先行販売。取次を通さない小規模書店だからできることです。特集はアニエス・ヴァルダ。映画好きさんは、読まないと! なやつです。さらに、特集「多様で公正な世界を映し出すために」の中では、UPLINK Workers' Voices Against Harassmentによる映画業界(雇用者と労働者それぞれ)の意識調査アンケート報告が、10ページにわたって寄稿されているそうです。

●7/4には、ここで『シモーヌvol.4』と与謝野晶子の女性論集『新編 激動の中を行く』(もろさわようこ編集・解説/新泉社)の刊行記念トークイベントが開かれるそうです。どちらの話も聞けて、お得ですね。http://readinwritin.net/2021/06/01/新泉社『新編-激動の中を行く』&現代書館『シモ/

(聖子)ちなみに納品というのは、いつもこういう形で行われるのですか? 
(山田さん)小さな出版社ですので、編集と営業を兼ねてやっております。
(聖子)なるほど〜。あの、『シモーヌvol.2』メアリー・カサット特集も本当に、本当に良くて。イベントも視聴しました。素晴らしかったです。

●そして現代書館さんといえば、『#KuToo:靴から考える本気のフェミニズム』(石川優実/2019)

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(山田さん)去年、この本が訴えられました。匿名者による不可解な訴訟だったのですが、このたび全面勝訴したところです。ひどいデマを飛ばされまして……。ぜひ、買って応援していただければと思います。

( #KuToo 運動については、『きみトリ』の「シチズンシップのトリセツ」p.234でも触れています。)

●ただいま、Readin’Writin’BOOKSTOREさんで現代書館さんの本を2冊買うと、「シモーヌ」オリジナルのおしゃれなエコバックをプレゼント。『シモーヌ』『#KuToo』の組み合わせでもOKだそうですよ!

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店主・落合さんにインタビュー [16:30ごろ]

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フェミニズム関連の本が、とても充実したお店です。

(聖子)改めて、これはどうしてなのですか?

(落合さん)なんでしょうね……自分が知らなかったことに対する……恥ずかしさというか。周辺化されて、抑圧的な状況にある女性たちがいる、ということに全く気づかずに来ましたので。
……「罪悪感」は、ちょっと違うんですけどね。後ろめたさ、というか。
自分は男で、長男で、そこそこの進学校から国立大学に進んで、人気の就職先だった新聞社でそれなりの仕事を任されて。人との出会いはもちろんありましたが、基本的には自分の力でやってきたと信じていて、何の疑いもなかった。その場に入ってこられない人たちがいる、ということに無自覚だった。

一つのきっかけになったのが、この本『ウーマン・イン・バトル:自由・平等・シスターフッド』(マルタ・ブレーン、イェニー・ヨルダル、枇谷玲子/合同出版/2019)です。これが衝撃で。知りたくなって、いろいろな本を仕入れるようになりました。

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(彩子)このお話を聞きたいと、ずっと思っていました。というのは、私自身、こういったことを男性とも話したいのに、なかなか話せなくて。「いや俺は悪くないし」「優しくしてるし」と、逃げられてしまう感覚もあって。
どうしたらいいのか分からない時に、外見の属性で言うのは何ですけれど……こういう年代の男性である落合さんが開いている場に、これだけの本が並んでいるという事実に支えられて来たからです。
 フェミニズムの場には、やっぱり女性の声が多くて。「辛かったんだよ!」と、叫びのような声になってしまうこともあって。その中で、男の人とどう話せばいいのか、共に幸せになるにはどうすればいいのか。全く見えないけど、でも「落合さんがいるじゃん!」と、勝手に。笑

(落合さん)大学を卒業して新聞社に入った時、同期の記者20人ほどが全員、男だったんですよ。1期上に女性が2人いましたが、自分たちの後はまたしばらく男性のみの時期が続いて。でもその時は、そのことに何の違和感も疑いもなかった。そもそも女性が受験していないのか、受けても不合格になっているのか、それすら分からない。
 ……もう一つ言うと。
ある程度の年代になって、新入社員の面接を担当しました。一次試験を通った人たちの、二次面接です。始まる前に、人事の担当者がこういうことを言うんですね。「上にあげるのは、2:1にして下さい」。
男性:女性=2:1ということです。その時も、何の疑問も持たず、できる女の人を落としてそれほどでもない男性をあげる、ということをやりました。
最近ようやく、医学部入試の問題なども明らかになりましたが、自分も同じことをしていた。その、後ろめたさのようなものはあります。自分も下駄を履かされてそこにいたんだな、ということを自覚して。

(彩子)なかなか聞けないお話です。

(落合さん)マジョリティとは何か。ということでは……そう、これです。
『ふれる社会学』(ケイン樹里安、上原健太郎/北樹出版/2019)。
編著者のケイン樹里安さんが、「マジョリティというのは、何か問題があっても気づかずにいられる人、その場を立ち去れる人だ」という言い方をしています。「大変だったね」と言って、行ってしまえるのがマジョリティ。当事者は気付かざるを得ないし、逃げることができない。

(聖子)「社会」というキーワードが出たところで、ぜひ私たちの社会の本『きみトリ』のご感想なども伺えますでしょうか。

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[26:00ごろ](落合さん)自分に7歳の息子がいるので、最初は息子のことも考えながら読み始めたのですが。だんだん、自分に引きつけて読むようになっていきましたね。
例えば、「あなたには友達がいますか」。僕も、友達がいないんですよね。それで寂しいと思ったことも、全然なく。相談する人もいない。自分で全て決めて、やって来たので。

(聖子)……まさに、いろいろな「友だちのトリセツ」がある、という話ですね。

(落合さん)あとは、「仕事のトリセツ」。198ページに、さまざまな人のキャリアの変遷がありますが。僕も最初は新聞社、それから雑誌の編集をして、もう一度新聞記者になって、今は本屋になっていて。自分も、これの1人だなと思いました。もちろん、今もマジョリティではあるのですが。

(聖子)この本を実際に買うのは、大人の人が多いと思うのですが。その大人の人が実際に読んで、自分の中の10代に響かせて、それから自分の言葉で10代の人に届けて欲しい。という願いがあります。


棚のあちらこちらを、改めて [33:50ごろ]

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(麻由美)先ほどお話を伺ったフェミニズムの棚です。先ほどの『シモーヌ』、全部あります。『痴漢とは何か』(牧野雅子/エトセトラブックス/2019)、ああ、これは名著です。『韓国・フェミニズム・日本』(斎藤真理子/河出書房新社/2019)これも、面白いですね。

(ライチ)すごく読んでますね、麻由美さん。私は、読書家じゃないんですよね。気になる本はたくさんあるのに、買っても読み切らない……。

(麻由美)あと、とても気になっているのが、この韓国の棚です。韓国のフェミニズム小説は、かなり面白いですね。
あ、『ポン・ジュノ映画術:「吠える犬は噛まない」から「パラサイト半地下の家族」まで』(イ・ドンジン、関谷敦子/河出書房新社/2021)。
これは、超気になりますね!

(聖子)韓国の棚の下は、台湾のコーナーです。
今、台湾映画のデジタルリマスター版がどんどん上映されているのですが、私はそれで10代の頃に観ていた映画との出会い直しをしていまして。この5月には、劇場で20本の台湾映画を観ました。それをまとめているところなので、この棚は本当にありがたいです。

(ライチ)私はこれ、萩尾望都さんの『一度きりの大泉の話』(河出書房新社/2021)も気になってます。

(麻由美)竹宮惠子さんのこちら『扉はひらく いくたびも』(知野恵子/中央公論新社/2021)と、対で読むといいらしいですね。

(ライチ)マンガの話というより、嫉妬とか、人の心のドロドロした部分の話だと聞きまして。

(聖子)ルネサンスみたいですね。芸術が嫉妬で発展する……。

(ライチ)「実体験を自らが語る」ことに価値があると思っていて、惹かれるんです。だから『きみトリ』でも、自分の実体験をたくさん語っているのですが。一般化して「人ってこうだよね」と語ることで、魂が抜けちゃうようなところがあると思っています。生の人間として、自分の中に湧いてくるものの方にこそ、意味がある。

(聖子)そうですよね。私たち、別に「属性」を生きてる訳じゃないので。


階段、上がっていきます [42:20ごろ]

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お店の上は、ロフトになっています。書架を俯瞰。光が差し込みます。

(聖子)眺めがいいんですよね。一箱古本市に出るとですね、なんと、ここに6時間もいられるんですよ。本屋さんに6時間もいられるって、なかなかないでしょう? 最高です。
……ええと、棚には、いろいろな作品が飾ってあります。こちらの作品も購入できるんですね。そちらはひと棚ずつのレンタルで、いろいろな方が、それぞれのセレクションで本や作品を置かれてます。

●ここでコーヒーを注文。店主みずから、コーヒーを淹れてくださいます。

(聖子)そういえば、『ブックセラーズ』っていう映画、どなたかご覧になりました? NYの古本屋さんのドキュメンタリーなのですが。ここで一箱古本市をするようになってから、本屋さんへの思い入れが湧きまくっているので、この映画も、特別な気持ちで観ることができました。http://moviola.jp/booksellers/

●ここで、現代書館の山田さんも、リーディン・ライティンさん並びの「洋菓子レモンパイ」さんにケーキを買いに。
https://lemonpie-asakusa.com

(ライチ)先日、落合さんから聞いたお話ですが。こちらの「洋菓子レモンパイ」さん、オープン当時にはレモンパイという商品がなかったんですって。

(聖子)レモンパイはないのに、レモンパイという名前でオープン! 笑
レモンパイさん、すごく人気なので、平日でもすぐに売り切れてしまいます。12時のオープンとともに行かれるのがいいと思います。レモンパイの他に、チョコレートケーキも美味しいんですよ〜。

(ライチ)私は洋梨のタルトを買いました。あ、下からコーヒーの香りが……。
本とコーヒーの香りのマッチング。天国感がありますね。

●[53:50ごろ]美味しいコーヒー、いただきます。

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コーヒー豆は、徳島のアアルトコーヒーさん。マグカップは、長崎マルヒロさんの波佐見焼だそうです。コーヒーは一杯500円。本を買うと、100円引きになります。

(ライチ)タルトもいただきます。あ、「サク」っていった!

(麻由美)本屋さんで食レポですね。笑

(ライチ)私、ここで読書会をやりたいなと思いました。下で選んで本を買って、読んで、感想を紹介し合うような。時間を決めて集中して本を読むというのを家ではなかなかできないんですけど、そういう時間を仲間と作れたら楽しそうです。新しい本との出会いにもなる。

(聖子)と、いうことで。お知らせしたいことはまだまだありますが、きみトリの今や、今後の予定をご紹介して、終わりにしたいと思います。

◆お知らせ

●一箱古本市は、原則として毎月第一土曜日に開催。次は7/3の予定です。お座敷でゆっくりと、『きみトリ』を試し読みしていただけます。
http://readinwritin.net/2018/11/22/お座敷一箱古本市-2/

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●「学びのシェア会の作り方」講座(7/4)。この本の母体となった「学びのシェア会」の作り方ワークショップです。

●現在は、学びの現場とのコラボレーションも進めています。市民大学「シブヤ大学」さんや、オルタナティブスクール「ラーンネット」さんでの講座など。こういった場へも、ぜひどんどん、お声がけください。
SNSのフォローも、ぜひよろしくお願いします。
twitter: https://twitter.com/kimitori2020
Facebook: https://www.facebook.com/manabinosharekai

ご視聴くださった皆さま、お読みくださった皆さま、
どうもありがとうございました。

映画に出てくるような素敵な本屋さん
Readin’Writin’BOOKSTOREさんに、
ぜひご来訪くださいね。
我らが『きみトリ』もぜひこちらでお求めください。

(サポーター・彩子)

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