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「うまくいかない」ときをどう過ごすか?

いざ終わってしまうと、本当にあっという間でした、ワールドカップ。

今大会のハイライト、もちろんいろいろありますが、
やはり「三苫の1ミリ」は強烈でした。

決勝戦、前半でアルゼンチンが2点リードして、
フランスはほとんど「何もさせてもらえていない」印象すらあったので、
これはアルゼンチン優勝で決まりかな…と思っていた時間帯もありました。

でも、後半30分過ぎのPK奪取から始まって、
そこからわずか数分での同点劇。
本当に「サッカーは何が起こるかわからない」を地で行く試合だったし、
なかなかうまくいかない、自分たちの思う展開で試合を運べない中でも、
それ以上の失点は絶対に許さない守備の粘りだったり、
選手交代でどうにか試合のペースを取り戻そうという試みだったり、
その瞬間瞬間に、チームとしてできる最大限のことを続けていったからこそ起きた結果だったのだろうと思います。

思えば、日本代表だって、
ドイツ戦もスペイン戦も、前半は本当に何もさせてもらえない、防戦一方の展開だったけれど、
大量失点を食い止めた、1失点で留めたからこそ、あの逆転劇につなげることができたわけだし、
もう少し長期的なスパンで見ると、
優勝したアルゼンチンだって、グループリーグの初戦で、絶対に勝ち点3を計算していたであろう「格下」サウジアラビアに負けてるんですよね。
今大会初のジャイアントキリング、ほとんどの人が想像だにしていなかったであろう結果だったし、
「今大会のアルゼンチン、大丈夫?!」と多くの人が感じたはず。
でも、終わってみれば、あの後は一度も敗れることなく頂点に立った。

アルゼンチンみたいに優勝するような強いチームにだって、
長丁場の戦いの中では、「うまくいかない」瞬間はちゃんとあって、
もちろんそれは、全てのチームに起こりうる。
そんなときに、「うまくいかない」ことがプレッシャーになってズルズルと自壊していくようなチームもあるだろうし、
うまくいかないなりにもなんとか手堅くまとめて、難局を乗り越えていくチームもある。

この違いってどこにあるのだろう?と考えると、
もちろんいろいろな要因があるのだと思うのですが、
たとえば、どれだけいろいろなシチュエーションを経験して、経験値が自分の中に溜まっているか、とか、
経験はしたことがなくとも、起こりうる状況を想像して、そこに対してしっかりと必要な準備をできていたか、とか、
難しい状況に追い込まれても、自分たちは乗り越えられる!という自信を持てているか、とか、
そういうことなのかなあ、と。

すべてに共通するのは、事前にどれだけ準備できていたか。
絶対に優勝する、7試合を戦い抜くんだ、と最初から考えていれば、
その間起こるであろう様々な「うまくいかないこと」を、ありとあらゆる観点から想定し、検討して、必要な策を講じたり、
短期的な手当ては難しかったしても、「これは想定内だ」と落ち着いて対応することができる。

そういう意味では、「何を目標にするか」は、どこまでを視野に入れて準備に取り組むか、と同義だし、
自分たちが現時点でできていること、できないこと、稀にはできること、その区別と確度を客観的に、正確に分析できているか、ということでもある。

なかなか目には見えづらい、一日一日の成長、積み重ねも、
「稀にできるかもしれない」ことが、少しずつ成功率が上がっていって、「基本的にはできるはずのこと」に進歩していったり、
今までだったら、「これが起きたらもうお手上げ」だったはずのことも、「状況次第だけど、どうにか対処できるかもしれない」に変わっていって、
だんだん物事の完成度、練度が上がっていく。

そう考えると、日々の積み重ねって絶対に無駄じゃないし、
こうやってテレビで見ているスーパープレーも、そうやって少しずつ練度を上げていった先に結実したものなんだ、と考えると、
ありきたりだけど、なんだかすごく勇気をもらえた気がします。

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