0コンマ数秒の世界の中で。
今年はDAZNを契約していないので、生では追えていないのですが、
去年から、久しぶりにF1を追いかけ始めています。
まだF1が地上波とかBSでやっていた頃は、
眠い目こすりながら日曜の夜、毎戦見ていたものですが、
地上波から、そしてBSからも撤退してしまい、
有料放送でしか見れなくなってからはすっかりご無沙汰だったのですが。
去年エスパルス目当てで、DAZNの無料トライアルを申し込んだら、
なんとF1も見れる!ということを知り、
また日曜の夜が楽しみになる週末が帰ってきたのでした。
F1というと、どうしてもドライバーの様子やレースの展開、
レース中だと特にコース上でのオーバーテイク(追い抜き)シーンとかがピックアップされがちで、
それはそれで注目に値することではあるのですが、
個人的に印象に残っているのは、別のエピソードだったりします。
これはしばらく前のことですが、ルール改正でレース中の給油が禁止され、
ピットストップで主にやることがタイヤ交換だけになった結果、
ピットストップの時間が尋常じゃなく短くなった時期がありました。
そのたった数秒から、さらに0コンマ数秒を削り取るために、
ピットクルーは日夜タイヤ交換の練習を繰り返している、みたいなコメントを解説者の方がしていて。
「そうか、日々鍛錬しているのはドライバーだけじゃないんだな」
と、そのとき妙に納得したんですよね。
もちろんドライバー本人は、アスリートとして、
レースでより早く走るため、日々修練しているのだろうと思いますが、
コース上でのドライビングミスと同じくらい、
ピットストップのミスでロスするタイムって大きいんですよね。
ドライバーが必死こいて攻めた走りをして、
ようやく削れるタイムが1周あたり0コンマ数秒という世界。
そんな中で、タイヤのはめ方・外し方をちょっとミスしただけで、
1秒2秒なんて簡単に失われてしまう。
逆に言うと、ピットでの0コンマ数秒の違いが、
ピットから出たときに、順位を争っている他の車の前で出られるか、後ろで出るかを左右するなんてことも十分ありうる。
今までだったらピットに入っている間に逆転されていた相手に対して、
順位をキープしてレースに戻れるということもあるかもしれない。
そう考えると、ドライバーだけじゃなくて、
裏方たるピットクルーも、レースの結果を大きく左右しうる、一人の「競技者」なんですよね。
ピットストップ中は、どんな最速ドライバーでも、作業が終わるのを黙って待つしかできない。その瞬間、マシンは完全にピットクルーの手に委ねられる。
たった数秒のシーンだし、展開が早すぎてろくに映りもしないのですが、
この「隠された重要シーン」「もうひとりの競技者」の存在を意識しながらレースを見ると、
より楽しめるのかもしれません。
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